聖女ですが何も知らない狼獣人をだましています

植野あい

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聖女 アルミナ

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 自分ばかり感じているのが恥ずかしくなって、手を伸ばし、彼の熱い肉の幹を握った。先ほどよりもっと大きくなっている気がして、心臓が跳ねる。

「俺のは触らなくても」
「ううん」
「……してくれるのは嬉しい」

 ファルクは熱っぽく私を見つめた。情欲に濡れ、息遣いも荒い。私の頬にチュッとかわいい音を立てて口付ける。

「でも俺はベル姉が怖いことはしないから、安心して」

 私が何かを怖がって、ファルクを感じさせようとしてると思ったらしい。ドロワーズの中に入っていた手が止まってしまった。

「ち、違うの……触ってるほうが興奮するから……」

 やめないで欲しくて、私はポソポソと彼の胸元に顔を埋めながら言った。あともう少しだけ、あの高まりを知りたくてたまらなかった。

「……っ」
「ねえ、ファルク……今のもっと」

 ギリッと歯噛みする音が微かに聞こえた。

「わかった」

 またファルクの手が下着の中に入り込み、私は期待に大きな息を吐く。

 気持ちよさにうっとりしながら片手でローションを手繰り寄せ、中身を出してファルクの雄の証を刺激し始めた。これに触れていると、ものすごくドキドキする。ファルクもそうなんだろう。さっきよりも張り詰めている。

 向かい合って横になり、キスをしながら、手でお互いの大切なところを触る。部屋の中はいやらしい水音と、熱く湿った息で支配された。

「んんんっ……!!」

 何度も快感に負け、手が止まりながら私は首を振る。

「だめ、気持ちよくて……おかしくなる」
「大丈夫、俺はとっくにおかしいよ」

 ファルクは私の首筋にキスをしながら、息を荒くして応えた。これが本物の情交でなくて何だと言うのだろう。果ては呆気なく訪れた。

「あっ……あぁっ……ふ、う、うぅっ」

 ふわっと身体が浮くような、とびきり甘い気持ちよさに私は溺れた。初めての絶頂を、他人の身体で味わってしまった。
 しかもこれは一度知ったら病みつきになるような、まだまだ高みがありそうな、渇望が止まないすごいものだ。

 波が収まってきて、罪悪感を振り払うようにファルクのものを扱けば、温かい飛沫が勢いよく腕にかかった。彼も達してくれた、その証拠にまでひどく興奮を覚える。

「……ベル姉」
「その呼び方はやめて」
「え?」

 抱きしめようとしたファルクに、つい冷たい言い方をしてしまった。驚きと戸惑いにファルクの大きな耳がぺそりと折れ、私は懸命に取り繕う言葉を探す。

「だって姉と弟なら、こんなことしない。そうでしょう?」

 どうにか正論めいた理由をつけて、ベリンダの存在を消そうとする汚い自分に愕然とした。でも、私は私の名を呼んで欲しかった。

「うん……じゃあ何で呼べば?」

 アルミナ、なんて言ってしまったらどうなるんだろう。

「わからないけど、別にいいじゃない。ここには私とあなただけ」

 結局、私は誤魔化した。ファルクは訳がわからないというように、何度も瞬きをする。彼の余計な考えを打ち消すように、頬を撫でて私からキスをした。しっとりと甘い唇を舐め、乱れた黒髪に指を通す。

「今は名前なんていらないでしょう?」
「……うん」

 彼は、考えるのをやめたかのように服従して頷いた。こうやって優しくしてやれば、この人は簡単に私のものになる。

 そうしたら、身体が戻っても関係を続けられるかもしれない。

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