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聖騎士エミル・シュナイダー
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「アルミナ様、少しよろしいですか?」
「シュナイダー卿」
出迎えてくれたアルミナ様の、花が咲くような笑みにこちらの口もほころんだ。傲りかもしれないが、私の訪問を喜んでくれているのではないだろうか?
アルミナ様は以前と違い、自由時間であっても外に出かけることはなくなり、部屋で勉強に勤しむことが常となっている。
ちらりと見える室内の書き物机には、本と羊皮紙が広がっていた。
「村長夫人がこちらを分けてくれました。よろしければ、どうぞ」
「まあ、ありがとうございます」
「ヘーゼルナッツのペーストが練り込まれたチョコレートで、口の中で溶かしてゆっくり味わうものだそうです」
私の部屋にあったものと同じ、小さな丸テーブルを囲んで座るが、アルミナ様が置き直した椅子の距離は近かった。私は鼓動が高鳴るのを感じながら、当たり障りのない菓子の説明をする。
アルミナ様は丸みを帯びた白い指先で小さな三角錐の形をしたチョコレートをつまみ、口に入れた。
「……!」
普段から丸い目を全開にして、アルミナ様はコクコクと頷く。おいしかったようだ。口を閉じたまま、私も食べろと手つきで示されるので従った。
それは確かに、主張しすぎないヘーゼルナッツの香りとチョコレートの香りが渾然一体となっていて、よい味わいだった。
この瞬間、同じ味が口の中で広がっているという事実が尊い。なのに貪欲な私は、本当に同じ味なのか確かめられたらと思ってしまった。アルミナ様の小さな桃色の唇はどのような感触か知りたくなった。
困ったことに、アルミナ様は生身の女性になってしまったのだ。以前のアルミナは、強力な神聖力のなせる業なのか、傍にいても薄いベールの向こうにいるような感覚だった。
区別として女性ではあっても、どこか人間とは思えていなかった。女神様に対して抱くような愛だった。しかし記憶と神聖力を奪われた今は違う。
自惚れでなければ、私に心を許してくれている。誘うような目つきや、非常に近い距離がそう示しているのだった。
ほんの少し距離を縮め、華奢な肩を引き寄せ、口づけを交わせたらと妄想だけが膨らむが、理性が私を押しとどめた。甘い味が溶けて消えていく。
「これ、本当においしいですね。ありがとうございます、シュナイダー卿」
「お礼なら村長夫人に言ってください」
「でもシュナイダー卿が頼んでくれたのでしょう?」
ふわりと微笑み、自分の頬に手を当てるアルミナ様の仕草は、記憶を失う以前よりずっと大人の女性だ。
「まあ、それはともかく。話があるのです」
「何でしょう?」
「リューブ街の、ベリンダについてです」
「シュナイダー卿」
出迎えてくれたアルミナ様の、花が咲くような笑みにこちらの口もほころんだ。傲りかもしれないが、私の訪問を喜んでくれているのではないだろうか?
アルミナ様は以前と違い、自由時間であっても外に出かけることはなくなり、部屋で勉強に勤しむことが常となっている。
ちらりと見える室内の書き物机には、本と羊皮紙が広がっていた。
「村長夫人がこちらを分けてくれました。よろしければ、どうぞ」
「まあ、ありがとうございます」
「ヘーゼルナッツのペーストが練り込まれたチョコレートで、口の中で溶かしてゆっくり味わうものだそうです」
私の部屋にあったものと同じ、小さな丸テーブルを囲んで座るが、アルミナ様が置き直した椅子の距離は近かった。私は鼓動が高鳴るのを感じながら、当たり障りのない菓子の説明をする。
アルミナ様は丸みを帯びた白い指先で小さな三角錐の形をしたチョコレートをつまみ、口に入れた。
「……!」
普段から丸い目を全開にして、アルミナ様はコクコクと頷く。おいしかったようだ。口を閉じたまま、私も食べろと手つきで示されるので従った。
それは確かに、主張しすぎないヘーゼルナッツの香りとチョコレートの香りが渾然一体となっていて、よい味わいだった。
この瞬間、同じ味が口の中で広がっているという事実が尊い。なのに貪欲な私は、本当に同じ味なのか確かめられたらと思ってしまった。アルミナ様の小さな桃色の唇はどのような感触か知りたくなった。
困ったことに、アルミナ様は生身の女性になってしまったのだ。以前のアルミナは、強力な神聖力のなせる業なのか、傍にいても薄いベールの向こうにいるような感覚だった。
区別として女性ではあっても、どこか人間とは思えていなかった。女神様に対して抱くような愛だった。しかし記憶と神聖力を奪われた今は違う。
自惚れでなければ、私に心を許してくれている。誘うような目つきや、非常に近い距離がそう示しているのだった。
ほんの少し距離を縮め、華奢な肩を引き寄せ、口づけを交わせたらと妄想だけが膨らむが、理性が私を押しとどめた。甘い味が溶けて消えていく。
「これ、本当においしいですね。ありがとうございます、シュナイダー卿」
「お礼なら村長夫人に言ってください」
「でもシュナイダー卿が頼んでくれたのでしょう?」
ふわりと微笑み、自分の頬に手を当てるアルミナ様の仕草は、記憶を失う以前よりずっと大人の女性だ。
「まあ、それはともかく。話があるのです」
「何でしょう?」
「リューブ街の、ベリンダについてです」
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