黒い屋敷とバラの庭に閉じ込められた少女

愛憎少女

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3章 Dedicated to an angel

#17 初対面の印象

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『ルリア様。この方は新たな世話係であり、ルリア様が "助けた"者ですよ。』

「ぇ、えっ…?」「私、が……?」

ジェシカの言葉を聞き、カミーユは "自分を助けたのがセリーヌではない事" だと知り驚き、ルリアは "助けた" という言葉が良く分からず首をゆっくりと傾げる。

『…あれ?セリーヌ様は言ってなかったのか?最初に倒れてるカミーユを見つけたのは、ルリア様なんだ。』

「へ、そうだったんですか……?」

驚いた顔をしたカミーユを見、ジェシカはきょとんとした顔になりながら言うと、カミーユにその事を話し、ルリアは人形の隙間からじっとカミーユを見つめていた。


___彼女の僅かな動きに合わせて揺れる、屋敷に誰1人として居ない、夜空に輝く星の様な金色の髪。
その髪と同じ色の金色の瞳。

"絵本に出てくるお姫様みたい"

ルリアは、人形の隙間からカミーユを見、心の中でそう呟く。
それ程までに、彼女の髪や瞳は珍しく、絵本でしか金の髪を見た事がないルリアは、無意識にカミーユを見つめ続けていた。


__一方、カミーユも自身を見つめているルリアを見つめ返していた。

人形の隙間からでも分かる、とても紅い、紅い瞳。
吸血鬼な為に日に当たる事が出来ず、焼けていない白い肌は、彼女を更に人形の様に思わせた。

__けれど、背中からはえる左右対称の翼は、彼女を人形ではなく吸血鬼と認識させて____否、よく見ると彼女の翼は、片翼が蝙蝠の翼ではなく沢山の装飾がぶら下がっている翼で、カミーユはその不自然さに首を傾げた。

『さ、とりあえずルリア様。着替えましょう。』

「う、うん…」

ジェシカはしばらく黙り、2人が互いを見つめているのを眺めていたが、パンっと手を軽く叩き笑って言うと、2人は手を叩く音で我に返りルリアは慌てて頷く。

『カミーユはそこの机に皿を置いてくれる?』「あ、は、はいっ…!」

ジェシカはにこりと笑うとカミーユに指示をしつつルリアに手を差し伸べると立ち上がらせ、カミーユも慌てて返事をすると近くにある丸いテーブルに料理を置こうと歩き出した。


『さ、今日はどれを着ましょうか。…まぁ、どれも同じようなデザインですけれど。』

「…これ、これがいい…」

ジェシカは手を掴んでいるルリアの手を離すとクローゼットに近付き開け、後から近付いてきたルリアに尋ねる。
クローゼットの中は、彼女が今着ている水色のドレスが多かったが、全てデザインがどことなく違く、ルリアはその中の1つを指差すと、ジェシカはそのドレスを手に取った。

『さ、着替えましょうか。カミーユ、この服を持っていて。』「はいっ…!」

そして言うと、手に持ったドレスを皿を置いた後、こちらに近付いてきたカミーユに渡し、カミーユが受け取ったのを見るとルリアを着替えさせる為にかがみ込む。
ルリアはかがみ込んだのを見ると、手に持っている人形を抱きしめながら彼女に背中を向けた。
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