鄒家道士恋物語 憧れていた師兄に溺愛されていました?!~恋の自覚は体から~

オジカヅキ・オボロ

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06 祓い01

 何がどうなっているのか。自分の体なのに少しもわからない。
 寒いと熱いが同居する体を、自分で抱きしめる。

「雪游? どうした……」
「さむ、くて……あつい……」
「……!」

 紫焔が雪游の手首を掴むと脈を取ってくる。それからすぐに顔を覗き込まれ、瞳をまっすぐ見つめられた。

「陰の気にやられてたか」

 面倒な、と溜息を吐かれても、雪游にはどうしようもない。

「どう、なるの」
「そりゃあ対処しなけりゃ最終的には死ぬ」

 こともなげに言ってくれる。

「紫狼がおまえの兄さまとやらをそろそろ連れてくるだろうから、合流したら宿にでも戻れ」

 震え、頷くのが精一杯だ。

「今夜中には対処しないと間に合わないだろうが……まあ若い道士を導くようなヤツなら、見ればわかるか……」

 近いところで狼が鳴く声が聞こえた気がした。

「雪游」

 冰淵の声が聞こえ、ハッとして顔を上げる。足早に傍へ来てくれると、瞳を覗き込まれた。

「自己紹介は後回しだ。この男の連れがあんただな?」
「連絡を頂き感謝する。彼をこちらへ」
「紫狼に載せればいい。ふたりだと飛行速度が落ちるだろう」
「……わかった」

 冰淵に抱き上げられると、あたたかくてふさふさしたところへ寝かされた。
 どうなるんだろう。
 こんな時はどんな対処法があったか。習った気がするのに、重い頭は回らず、どうしても思い出せない。

 宿に到着すると、紫狼の背からすぐに冰淵に抱き上げられた。条件反射のように首へ腕を回す。子どもの頃はよくこうして抱き上げられた。その頃のクセが抜けきっていないのかもしれない。

「別の部屋を用意させる。あなたにはそちらの部屋を」
「助かる。じゃあ……また詳細は明日にでも」

 霞がかった頭に、ふたりのやりとりのいくつかが聞こえる。そうして目を閉じてしばらく抱きついたままでいると、何かの上に下ろされた。

「雪游」
「兄さま、……さむくて、あついんだ」

 冰淵ならどうにかしてくれると信じ、薄青の衣服の袖を掴む。

「…………」

 彼が黙っていたのは、わずかの間だった。
 冰淵は壁を背に寝台へ座り込み、雪游を彼に跨がらせるように抱き込んだ。おとなしくされるままになるが、イヤではない。
 先ほど抱き上げられた時も感じたが、冰淵の体臭と香の香りが合わさると、雪游にはひどく落ち着く香りになる。幼い頃にはよく一緒に眠っていたから、その記憶が刷り込まれているのかもしれない。
 香は伽羅だと聞いたことがあるが、伽羅香単体では深い木々の香りがするものだ。冰淵と合わさると甘さや清さまで感じられるようになるのが不思議だった。この香りに包まれていたいがために、冰淵の部屋へ行ったことも一度や二度ではない。
 ぽんぽん、と背を撫でるように叩かれ、ハッと我に返る。

「なぜ私を待たなかった?」
「その……これも依頼の延長なら、兄さまに力は借りれないって思って。あんな強い陰気があったなんて、予想、してなかった。……見込みが甘かったのは、ごめんなさい」
「私が合流した時には陰気は晴れていた。おまえの符か、彼が晴らしてくれたのだろう。……おまえが無事で良かった」

 抱きしめられ、頭を撫でられる。まるで子どもの頃にかえったみたいに。冰淵にそうされるのが好きな子どもだったことを思い出す。もちろん成長した今も好きだが、当然、口には出していない。もう子どもではないし、恥ずかしいから。
 けれど他に誰もいないならいいかもしれない。そろそろと冰淵の背に腕を回し、縋るようにぎゅっと抱きしめ返した。

「そのまま抱きついていなさい。……目も閉じていて構わない」
「ん……」

 霞がかかった思考の中、言われるがまま冰淵の首へ重い腕を回して抱きつく。

「ッあ?!」

 唐突に、下半身――陰部へ何かが触れた。何か温かいものに包まれると、根元からぞわぞわする刺激が与えられる。

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