7 / 48
07 祓い02
「っ、なに……っ?」
冰淵の手のひらが、雪游の頬を撫でる。鼻先が触れそうなほど間近から、冰淵が雪游の瞳を覗き込んできた。
「まず、おまえの体内の過剰に回った陽の気を吐き出させる。その後は……おまえの様子次第」
おまえの様子次第、と言われても何をされるのかもわからないが、そのことに恐れを抱く余裕もない。冰淵を信じてされるがままでいるしかなかった。
雪游の性器にまとわりつく温かい指は、先端を撫でて擦りあげてくる。
師兄の肌の温度はいつも雪游よりずいぶん低いと思っていたが、今は冬に抱え込んだ温石のような温かさだ。
そうして、体の奥に熱が渦巻く感覚。
これが何なのかわからなくて、おそろしい。
体内の熱は冰淵が与える熱に反応しているらしく、翻弄されていく。
「ぁ、ッあ……あっ」
意図しない声が口から零れ、噤みたくてもできずに溢れるがままだ。
「我慢しなくていい」
低い声で囁かれ、背中を撫でられるのも良くない。腰のあたりに溜まってきた熱を増させているし、もっと声を聞きたくもあるし褒められたくもある。
「あっ、ぁ、ア、っ、にい、さま……おかしく、なる……っ」
「誰でもこういう時はおかしくなる。おまえだけではない」
たとえ嘘でもそう言われると安堵する。醜態をさらしているとわかっているから。
「も、ぉ……ッあ、ああ、あ……ッ」
何か熱いものを吐き出す。
冰淵が背を撫でてくれた。
荒い呼吸を繰り返し、冰淵にぐったりともたれかかる。しばらくは動けそうにもない。
「……雪游。具合は?」
頭を誰かに撫でられるのは、ひどく久しぶりではないだろうか。なんだか自分が幼子扱いされているような気がするが、今は反論も反発もできそうにない。
冰淵に上体を密着させるように抱きつきながら、ふるりと首を横に振る。
「さむい……」
「…………」
冰淵が雪游の背を撫でた。
「おまえが浴びたのは大量の陰の気。それを体外に出そうと、おまえの中の陽の気が一時的に増幅していたが、増幅しすぎて一度崩れた陰陽の均衡がまた崩れた。だから一度増えすぎた陽の気を出させたが、大量の陰の気はまだ体内にある」
「…………」
雪游自身ががどういう状況なのか、教えてくれているのだろうか。
「陰の気の滅し方は色々とある。……あの場は癖地の中でも、女の死が多かった場所。産褥で亡くなった女を葬る場所だったのだろう。つまりおまえの中にいる陰の気は女由来で、一番手っ取り早いのは、内からではなく外から男由来の陽の気で滅する方法になる」
一度言葉を句切ると、冰淵にしては珍しく歯切れが悪くなった。
「この場でできる方法はふたつある。片方は時間がかかり、片方は早めに終わるだろうが、体にも負担はかかる」
「はやいほうがいい……」
とにかく寒い。風邪を引いた時の悪寒を数十倍ひどくしたような感じだ。これに時間をかけて終わらせるなんて、あまり我慢ができそうもない。それに、時間がかかるのも体に負担がかかるのだ。どうせ体に負担がかかるなら、早く終わらせたほうがいいに決まっている。
冰淵は次の言葉を言い躊躇う気配があった。だが結局、思い切った様子で言う。
「早い方法は、……私に抱かれてもいいかどうか」
究極の選択ではないだろうか。
だが、あまり時間がないのは、わかる。
何しろ自分の体だ。気の流れを探れば、少しずつだが陰の気に浸食されていっていることくらいは雪游にだってわかる。もしかしたら他に方法があるのかもしれないし、ないのかもしれない。ただ、他の方法を探るにはあまりにも動けなさすぎた。それに相手は冰淵だ。彼の言葉を疑うことなどありあえないし、雪游に嘘を言うなんて考えられない。
冰淵なら身を任せても悪いようにはされないはず。
だから頷いた。
「っ、ン……ッ」
何かを受け入れるようなところではないところへ、濡れた指が入れられる。不思議と痛くはない。
「そのまま力を抜いて……」
いい子、と囁かれて頭を撫でられても、している行為を思えば背徳感がある。
圧迫感が増しても、痛みはなかった。
「雪游、腕の力を少し緩めて」
「……ん……」
乱れた呼吸を整えながら、こくりと頷く。腰を引き寄せられると、冰淵に跨がったまま彼を見下ろす。
見上げてくる彼の深い紫紺の瞳から目が離せなくなりそうだ。
そうして、何か熱い塊が雪游の窄まりに宛がわれる。
「雪游」
頭が引き寄せられ、顔が間近になり――くちびるが重なった。
驚いている間に、宛がわれた熱がナカを犯していく。
「あ……ぁ、ァッ」
腰の力が入らず、掴まれて引き寄せられるがまま、熱は奥を穿った。
それだけかと思えば体を揺さぶられ、ナカを擦られていく。
「や、ァ……ッあ、ぁア、ン……っ」
自分の口から漏れている甘ったるさを感じる声が、雪游には信じられない。けれど自分の意志で出しているわけではなく、声を堪えようとしても熱がナカを擦るたびに体がびくびくと震えるし、口も力が入らない。
清廉潔白、深謀遠慮、泰然自若を矩規清規、家規とする鄒家の人間なのに、これでは家規に反してしまう。
自分ひとりのことならまだいい。けれど冰淵は鄒家を渢雪とともに背負う立場であり、地仙への期待も道士の中で一際高い。
けれど、これは陰気を祓う対処だ。
そこに希望を見いだす。決して敬愛やまない師兄の輝きを曇らせたわけではないのだと。
体は裏腹に熱を溜めていく。
先ほど陽気を吐き出した時のように、何かがせり上がってくるような、呑まれてしまうような、我を忘れるような感覚。
こわい。
自分を手放すような、我を忘れていく感覚は恐ろしい。けれど冰淵はその奥へと雪游を落とし込んでいくようで容赦がない。
「あ、ア、ッ、もぉ……ッ」
「……イッて……ラクになる」
本当だろうか。いや、冰淵が言うならそうだろう。
疑いは一瞬で、先ほど触れられた雪游の昂ぶりに触れられれば、もうもたなかった。
「ァ、あっ、ああ、ッア、も、ぉ……あ、アア……ッ!」
びくびくと体が震え、熱を吐き出す。冰淵はぐったりとした雪游に構わずナカを何度か突き上げると、そこで何かを吐き出し、ナカを濡らした。
「は……ぁ……」
何度か整わない呼吸を繰り返したことは覚えている。
あたたかい。
先ほどまでのどうしようもない寒さが、少しずつ薄れていく感覚。陰気が散っていっているのだろう。しばらくすれば元に戻るはずだ。
抱きしめてくれる冰淵の腕に安堵する。
お礼を言わなければと思うが、意識はそこで途切れた。
冰淵の手のひらが、雪游の頬を撫でる。鼻先が触れそうなほど間近から、冰淵が雪游の瞳を覗き込んできた。
「まず、おまえの体内の過剰に回った陽の気を吐き出させる。その後は……おまえの様子次第」
おまえの様子次第、と言われても何をされるのかもわからないが、そのことに恐れを抱く余裕もない。冰淵を信じてされるがままでいるしかなかった。
雪游の性器にまとわりつく温かい指は、先端を撫でて擦りあげてくる。
師兄の肌の温度はいつも雪游よりずいぶん低いと思っていたが、今は冬に抱え込んだ温石のような温かさだ。
そうして、体の奥に熱が渦巻く感覚。
これが何なのかわからなくて、おそろしい。
体内の熱は冰淵が与える熱に反応しているらしく、翻弄されていく。
「ぁ、ッあ……あっ」
意図しない声が口から零れ、噤みたくてもできずに溢れるがままだ。
「我慢しなくていい」
低い声で囁かれ、背中を撫でられるのも良くない。腰のあたりに溜まってきた熱を増させているし、もっと声を聞きたくもあるし褒められたくもある。
「あっ、ぁ、ア、っ、にい、さま……おかしく、なる……っ」
「誰でもこういう時はおかしくなる。おまえだけではない」
たとえ嘘でもそう言われると安堵する。醜態をさらしているとわかっているから。
「も、ぉ……ッあ、ああ、あ……ッ」
何か熱いものを吐き出す。
冰淵が背を撫でてくれた。
荒い呼吸を繰り返し、冰淵にぐったりともたれかかる。しばらくは動けそうにもない。
「……雪游。具合は?」
頭を誰かに撫でられるのは、ひどく久しぶりではないだろうか。なんだか自分が幼子扱いされているような気がするが、今は反論も反発もできそうにない。
冰淵に上体を密着させるように抱きつきながら、ふるりと首を横に振る。
「さむい……」
「…………」
冰淵が雪游の背を撫でた。
「おまえが浴びたのは大量の陰の気。それを体外に出そうと、おまえの中の陽の気が一時的に増幅していたが、増幅しすぎて一度崩れた陰陽の均衡がまた崩れた。だから一度増えすぎた陽の気を出させたが、大量の陰の気はまだ体内にある」
「…………」
雪游自身ががどういう状況なのか、教えてくれているのだろうか。
「陰の気の滅し方は色々とある。……あの場は癖地の中でも、女の死が多かった場所。産褥で亡くなった女を葬る場所だったのだろう。つまりおまえの中にいる陰の気は女由来で、一番手っ取り早いのは、内からではなく外から男由来の陽の気で滅する方法になる」
一度言葉を句切ると、冰淵にしては珍しく歯切れが悪くなった。
「この場でできる方法はふたつある。片方は時間がかかり、片方は早めに終わるだろうが、体にも負担はかかる」
「はやいほうがいい……」
とにかく寒い。風邪を引いた時の悪寒を数十倍ひどくしたような感じだ。これに時間をかけて終わらせるなんて、あまり我慢ができそうもない。それに、時間がかかるのも体に負担がかかるのだ。どうせ体に負担がかかるなら、早く終わらせたほうがいいに決まっている。
冰淵は次の言葉を言い躊躇う気配があった。だが結局、思い切った様子で言う。
「早い方法は、……私に抱かれてもいいかどうか」
究極の選択ではないだろうか。
だが、あまり時間がないのは、わかる。
何しろ自分の体だ。気の流れを探れば、少しずつだが陰の気に浸食されていっていることくらいは雪游にだってわかる。もしかしたら他に方法があるのかもしれないし、ないのかもしれない。ただ、他の方法を探るにはあまりにも動けなさすぎた。それに相手は冰淵だ。彼の言葉を疑うことなどありあえないし、雪游に嘘を言うなんて考えられない。
冰淵なら身を任せても悪いようにはされないはず。
だから頷いた。
「っ、ン……ッ」
何かを受け入れるようなところではないところへ、濡れた指が入れられる。不思議と痛くはない。
「そのまま力を抜いて……」
いい子、と囁かれて頭を撫でられても、している行為を思えば背徳感がある。
圧迫感が増しても、痛みはなかった。
「雪游、腕の力を少し緩めて」
「……ん……」
乱れた呼吸を整えながら、こくりと頷く。腰を引き寄せられると、冰淵に跨がったまま彼を見下ろす。
見上げてくる彼の深い紫紺の瞳から目が離せなくなりそうだ。
そうして、何か熱い塊が雪游の窄まりに宛がわれる。
「雪游」
頭が引き寄せられ、顔が間近になり――くちびるが重なった。
驚いている間に、宛がわれた熱がナカを犯していく。
「あ……ぁ、ァッ」
腰の力が入らず、掴まれて引き寄せられるがまま、熱は奥を穿った。
それだけかと思えば体を揺さぶられ、ナカを擦られていく。
「や、ァ……ッあ、ぁア、ン……っ」
自分の口から漏れている甘ったるさを感じる声が、雪游には信じられない。けれど自分の意志で出しているわけではなく、声を堪えようとしても熱がナカを擦るたびに体がびくびくと震えるし、口も力が入らない。
清廉潔白、深謀遠慮、泰然自若を矩規清規、家規とする鄒家の人間なのに、これでは家規に反してしまう。
自分ひとりのことならまだいい。けれど冰淵は鄒家を渢雪とともに背負う立場であり、地仙への期待も道士の中で一際高い。
けれど、これは陰気を祓う対処だ。
そこに希望を見いだす。決して敬愛やまない師兄の輝きを曇らせたわけではないのだと。
体は裏腹に熱を溜めていく。
先ほど陽気を吐き出した時のように、何かがせり上がってくるような、呑まれてしまうような、我を忘れるような感覚。
こわい。
自分を手放すような、我を忘れていく感覚は恐ろしい。けれど冰淵はその奥へと雪游を落とし込んでいくようで容赦がない。
「あ、ア、ッ、もぉ……ッ」
「……イッて……ラクになる」
本当だろうか。いや、冰淵が言うならそうだろう。
疑いは一瞬で、先ほど触れられた雪游の昂ぶりに触れられれば、もうもたなかった。
「ァ、あっ、ああ、ッア、も、ぉ……あ、アア……ッ!」
びくびくと体が震え、熱を吐き出す。冰淵はぐったりとした雪游に構わずナカを何度か突き上げると、そこで何かを吐き出し、ナカを濡らした。
「は……ぁ……」
何度か整わない呼吸を繰り返したことは覚えている。
あたたかい。
先ほどまでのどうしようもない寒さが、少しずつ薄れていく感覚。陰気が散っていっているのだろう。しばらくすれば元に戻るはずだ。
抱きしめてくれる冰淵の腕に安堵する。
お礼を言わなければと思うが、意識はそこで途切れた。
あなたにおすすめの小説
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
男同士で番だなんてあってたまるかよ
だいたい石田
BL
石堂徹は、大学の授業中に居眠りをしていた。目覚めたら見知らぬ場所で、隣に寝ていた男にキスをされる。茫然とする徹に男は告げる。「お前は俺の番だ。」と。
――男同士で番だなんてあってたまるかよ!!!
※R描写がメインのお話となります。
この作品は、ムーンライト、ピクシブにて別HNにて投稿しています。
毎日21時に更新されます。8話で完結します。
2019年12月18日追記
カテゴリを「恋愛」から「BL」に変更いたしました。
カテゴリを間違えてすみませんでした。
ご指摘ありがとうございました。
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
俺の幼馴染が陽キャのくせに重すぎる!
佐倉海斗
BL
十七歳の高校三年生の春、少年、葉山葵は恋をしていた。
相手は幼馴染の杉田律だ。
……この恋は障害が多すぎる。
律は高校で一番の人気者だった。その為、今日も律の周りには大勢の生徒が集まっている。人見知りで人混みが苦手な葵は、幼馴染だからとその中に入っていくことができず、友人二人と昨日見たばかりのアニメの話で盛り上がっていた。
※三人称の全年齢BLです※