35 / 48
35 鄒家にて02
「……無礼をした」
「構わない。見られて困るようなものは何もない。小僧に用があるんだろう? 話は終わったから、一緒に行くといい」
「え、あ……紫焔、ありがとう」
「どういたしまして。お兄さまと仲良くな」
ひらひらと手を振る紫焔に小さく頭を下げて、迎えに来た冰淵と客間を出る。
「兄さま、大事な用事だった?」
「いや、そうではない、が……」
「?」
「廊下でする話でもない。部屋へ」
「はい」
半歩後ろに従ったまま頷き、冰淵に導かれるように彼の部屋へと向かう。ちらりと見える冰淵の表情は、いつもと変わらないようでいて少し厳しいとも思えた。
何かやらかしただろうか。覚えはないが、覚えがないからやらかしていないとは断言できない。
冰淵が誰かに対して怒るところは見たことがない。不正や違反を叱ることはあっても、それは怒りとは別のものだ。
怒りだけではない。喜怒哀楽の幅は緩やかで穏やかで、表面に見える感情の種類は多くなかった。
怒りに関しては一度も見たことがないと言っていい。だから冰淵が怒るようなことがあるとすれば、誰が聞いても絶対に雪游に非があることに違いない。
正直に冰淵に訊いて、謝って、直せるところは直し、指導が必要なところは指導を願おう。叱られるのはいつだって、気が重いけれど。
そのせいか、こんなに冰淵までの部屋が遠いと思ったことはなかった。
「入りなさい」
冰淵が開けてくれた扉から彼の部屋へ入ると、伽羅の香りがする。普段と変わりない香りに、少しだけ心が落ち着いた。
冰淵は奥の窓辺の傍、下床より一段高くなった小上がりへ円座を敷くと、雪游をそちらへと招く。雪游は冰淵が座ったのを見てから座った。
「……おまえが私のことで悩んでいることがあると、渢雪兄上や劉どのから聞いた」
「…………」
叱られるわけではないとわかった。けれど、それ以上に問題ではないだろうか。
まさかオレの悩みの内容までは知らないだろう。そう思いたいが落ち着かない気持ちになり、指がそわそわと動く。
「言うことでおまえを困惑させてしまうのではと思っていたが……黙っていることで困らせるのなら本末転倒だ。……だから言う」
冰淵がそっと手を伸ばすと、雪游の手を取る。冰淵の指は、初夏だというのにいつもより冷えている気がした。
左手を、両手で包まれる。
「私は、おまえのことが好きだ。これからも好きでいるだろう。……押しつけるつもりはない」
そんな風に言われれば、悟るところもある。
もし仮に、想いを拒むようなことがあれば。冰淵はきっと家を出てしまうだろう。それだけはダメだし――嫌だ。それに、想いを拒むなんてありえない。
左手を包んでくれていた両手が離れようとして、雪游は咄嗟にその手を掴んだ。冰淵が、夕闇色の瞳に困惑を浮かべて雪游を見る。
「雪游?」
「兄さま。……冰淵兄さま。……オレも、好きだから」
どこにも行かないで。
冰淵の手を自分の胸許へ引き寄せ、抱きしめる。ぎゅっと目を閉じてしまったのは冰淵がどんな顔をしているのか、見るのが怖かったからだ。
けれどくちびるに触れられてしまった。――くちびるで。
「に、兄さま?」
「すまない、……おまえも同じ気持ちを抱いてくれていると思ったら、想いが溢れてしまった」
俯いた冰淵が雪游から手を取り返す。その顔は常に見ない表情。よく観察すれば、目許がほんのりと赤い。そっと離れようとした冰淵の、今度は袖を掴んだ。
「オレの、溢れた想いはどうすればいい?」
視線を上げた冰淵を真っ直ぐに見つめる。耳まで顔が赤い自覚はあった。夕闇色の双眸に見つめられているのは恥ずかしくもあるが、偽りのない想いは真っ直ぐ伝えたい。
「……また、触ってほしいって、思ってるのは……はしたないってわかってるけど」
「雪游」
「陰気のせいかと思ってたけど、綺麗に晴れてるって言われたから、じゃあこれは陰気のせいじゃないんだって。でも、ずっと思ってた。また触れて欲しいって。……気持ち良かったから、も、あるとは思うけど。でも他の人に触れてほしいとは思わなかった。兄さまにだけ触ってほしい」
どんなに他人に触れられることを想像しても、相手が渢雪すら違うと思えた。
「…………」
「師弟たちに嫉妬もしたし……なんでだろうって思ってたけど、気持ちを整理して考えて、恋だって気が付いたんだ」
きっかけは街で聞いた女性たちの話や、渢雪の言葉を聞いて考えた結果だ。それらがなかったら、いまだに気付けなくて煩悶していた可能性はある。
「ずっと傍にいたから、当たり前すぎて気付かなかったっていうのもあると思う。でも、ちゃんと考えたら、昔から冰淵兄さまがオレにとって特別で、好きな人だ」
好きだと伝えたい気持ちが先走り、言葉や話がぐちゃぐちゃになっている自覚はあった。けれどどうしても気持ちは伝えなければならない。伝えたい。
「この前の鬼狩りも、兄さまが門弟を庇った時に……すごく嫌なこと思ったし、それが独占欲だってわかったら、落ち込みもした。別に兄さまはオレだけのものじゃないのに」
今度は雪游が俯く。その頬を、冰淵の大きな手のひらが撫でた。双眸は優しく細められている。
「……同じことを、私は何度も思ってきた」
「え? 兄さまも?」
「ああ。兄上にさえ妬いたことも、一度や二度ではない。……そして、触れたいとも」
「!」
渢雪にまで。
驚きは顔に出ただろうが、冰淵はかすかに微笑み、親指で雪游のくちびるを撫でる。ぞくりとしたものが背を抜けた。
「とはいえ、昼日中から触れていいものでもない。……眠る前に、またおいで」
「う、うん」
わかった、と頷くと、今度は額に口付けされる。
くすぐったくて恥ずかしい。けれど嬉しい。複雑な気持ちをひとつの胸に抱きながら、冰淵の部屋を辞した。
「…………」
顔がにやけそうになるのを必死に誤魔化している。誤魔化せているかはわからない。だから誰とも遭遇したくはなかった。心は浮かれていて、足許はふわふわとしている。
冰淵が自分のことを好いてくれている。
自分ばかりが冰淵を好きというわけではなかった。
「……うれしい」
言葉に出すと、本当に嬉しさが溢れてくるようだ。だって誰が思いつくだろう? 鄒家冬君、他家からも一目置かれている鄒冰淵が、道士に成り立ての若輩者である鄒雪游を好きだなんて!
「雪游師兄!」
突然声をかけられ、反射的に振り向く。師弟のひとりが驚いた表情をしていた。
「あ……ごめんごめん。何かあったか?」
「何かじゃありませんよ。剣の稽古、見てくれるのは師兄でしたよね?」
言われて思い出す。そう、昼からの剣の稽古を見る当番は自分だ。
「悪い。すぐ行くよ」
「皆もう準備出来ているので、あとは雪游師兄だけです」
「優秀だな……」
浮かれてばかりもいられない。
気持ちを切り替えながら、師弟と回廊の角を曲がった。
「構わない。見られて困るようなものは何もない。小僧に用があるんだろう? 話は終わったから、一緒に行くといい」
「え、あ……紫焔、ありがとう」
「どういたしまして。お兄さまと仲良くな」
ひらひらと手を振る紫焔に小さく頭を下げて、迎えに来た冰淵と客間を出る。
「兄さま、大事な用事だった?」
「いや、そうではない、が……」
「?」
「廊下でする話でもない。部屋へ」
「はい」
半歩後ろに従ったまま頷き、冰淵に導かれるように彼の部屋へと向かう。ちらりと見える冰淵の表情は、いつもと変わらないようでいて少し厳しいとも思えた。
何かやらかしただろうか。覚えはないが、覚えがないからやらかしていないとは断言できない。
冰淵が誰かに対して怒るところは見たことがない。不正や違反を叱ることはあっても、それは怒りとは別のものだ。
怒りだけではない。喜怒哀楽の幅は緩やかで穏やかで、表面に見える感情の種類は多くなかった。
怒りに関しては一度も見たことがないと言っていい。だから冰淵が怒るようなことがあるとすれば、誰が聞いても絶対に雪游に非があることに違いない。
正直に冰淵に訊いて、謝って、直せるところは直し、指導が必要なところは指導を願おう。叱られるのはいつだって、気が重いけれど。
そのせいか、こんなに冰淵までの部屋が遠いと思ったことはなかった。
「入りなさい」
冰淵が開けてくれた扉から彼の部屋へ入ると、伽羅の香りがする。普段と変わりない香りに、少しだけ心が落ち着いた。
冰淵は奥の窓辺の傍、下床より一段高くなった小上がりへ円座を敷くと、雪游をそちらへと招く。雪游は冰淵が座ったのを見てから座った。
「……おまえが私のことで悩んでいることがあると、渢雪兄上や劉どのから聞いた」
「…………」
叱られるわけではないとわかった。けれど、それ以上に問題ではないだろうか。
まさかオレの悩みの内容までは知らないだろう。そう思いたいが落ち着かない気持ちになり、指がそわそわと動く。
「言うことでおまえを困惑させてしまうのではと思っていたが……黙っていることで困らせるのなら本末転倒だ。……だから言う」
冰淵がそっと手を伸ばすと、雪游の手を取る。冰淵の指は、初夏だというのにいつもより冷えている気がした。
左手を、両手で包まれる。
「私は、おまえのことが好きだ。これからも好きでいるだろう。……押しつけるつもりはない」
そんな風に言われれば、悟るところもある。
もし仮に、想いを拒むようなことがあれば。冰淵はきっと家を出てしまうだろう。それだけはダメだし――嫌だ。それに、想いを拒むなんてありえない。
左手を包んでくれていた両手が離れようとして、雪游は咄嗟にその手を掴んだ。冰淵が、夕闇色の瞳に困惑を浮かべて雪游を見る。
「雪游?」
「兄さま。……冰淵兄さま。……オレも、好きだから」
どこにも行かないで。
冰淵の手を自分の胸許へ引き寄せ、抱きしめる。ぎゅっと目を閉じてしまったのは冰淵がどんな顔をしているのか、見るのが怖かったからだ。
けれどくちびるに触れられてしまった。――くちびるで。
「に、兄さま?」
「すまない、……おまえも同じ気持ちを抱いてくれていると思ったら、想いが溢れてしまった」
俯いた冰淵が雪游から手を取り返す。その顔は常に見ない表情。よく観察すれば、目許がほんのりと赤い。そっと離れようとした冰淵の、今度は袖を掴んだ。
「オレの、溢れた想いはどうすればいい?」
視線を上げた冰淵を真っ直ぐに見つめる。耳まで顔が赤い自覚はあった。夕闇色の双眸に見つめられているのは恥ずかしくもあるが、偽りのない想いは真っ直ぐ伝えたい。
「……また、触ってほしいって、思ってるのは……はしたないってわかってるけど」
「雪游」
「陰気のせいかと思ってたけど、綺麗に晴れてるって言われたから、じゃあこれは陰気のせいじゃないんだって。でも、ずっと思ってた。また触れて欲しいって。……気持ち良かったから、も、あるとは思うけど。でも他の人に触れてほしいとは思わなかった。兄さまにだけ触ってほしい」
どんなに他人に触れられることを想像しても、相手が渢雪すら違うと思えた。
「…………」
「師弟たちに嫉妬もしたし……なんでだろうって思ってたけど、気持ちを整理して考えて、恋だって気が付いたんだ」
きっかけは街で聞いた女性たちの話や、渢雪の言葉を聞いて考えた結果だ。それらがなかったら、いまだに気付けなくて煩悶していた可能性はある。
「ずっと傍にいたから、当たり前すぎて気付かなかったっていうのもあると思う。でも、ちゃんと考えたら、昔から冰淵兄さまがオレにとって特別で、好きな人だ」
好きだと伝えたい気持ちが先走り、言葉や話がぐちゃぐちゃになっている自覚はあった。けれどどうしても気持ちは伝えなければならない。伝えたい。
「この前の鬼狩りも、兄さまが門弟を庇った時に……すごく嫌なこと思ったし、それが独占欲だってわかったら、落ち込みもした。別に兄さまはオレだけのものじゃないのに」
今度は雪游が俯く。その頬を、冰淵の大きな手のひらが撫でた。双眸は優しく細められている。
「……同じことを、私は何度も思ってきた」
「え? 兄さまも?」
「ああ。兄上にさえ妬いたことも、一度や二度ではない。……そして、触れたいとも」
「!」
渢雪にまで。
驚きは顔に出ただろうが、冰淵はかすかに微笑み、親指で雪游のくちびるを撫でる。ぞくりとしたものが背を抜けた。
「とはいえ、昼日中から触れていいものでもない。……眠る前に、またおいで」
「う、うん」
わかった、と頷くと、今度は額に口付けされる。
くすぐったくて恥ずかしい。けれど嬉しい。複雑な気持ちをひとつの胸に抱きながら、冰淵の部屋を辞した。
「…………」
顔がにやけそうになるのを必死に誤魔化している。誤魔化せているかはわからない。だから誰とも遭遇したくはなかった。心は浮かれていて、足許はふわふわとしている。
冰淵が自分のことを好いてくれている。
自分ばかりが冰淵を好きというわけではなかった。
「……うれしい」
言葉に出すと、本当に嬉しさが溢れてくるようだ。だって誰が思いつくだろう? 鄒家冬君、他家からも一目置かれている鄒冰淵が、道士に成り立ての若輩者である鄒雪游を好きだなんて!
「雪游師兄!」
突然声をかけられ、反射的に振り向く。師弟のひとりが驚いた表情をしていた。
「あ……ごめんごめん。何かあったか?」
「何かじゃありませんよ。剣の稽古、見てくれるのは師兄でしたよね?」
言われて思い出す。そう、昼からの剣の稽古を見る当番は自分だ。
「悪い。すぐ行くよ」
「皆もう準備出来ているので、あとは雪游師兄だけです」
「優秀だな……」
浮かれてばかりもいられない。
気持ちを切り替えながら、師弟と回廊の角を曲がった。
あなたにおすすめの小説
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
男同士で番だなんてあってたまるかよ
だいたい石田
BL
石堂徹は、大学の授業中に居眠りをしていた。目覚めたら見知らぬ場所で、隣に寝ていた男にキスをされる。茫然とする徹に男は告げる。「お前は俺の番だ。」と。
――男同士で番だなんてあってたまるかよ!!!
※R描写がメインのお話となります。
この作品は、ムーンライト、ピクシブにて別HNにて投稿しています。
毎日21時に更新されます。8話で完結します。
2019年12月18日追記
カテゴリを「恋愛」から「BL」に変更いたしました。
カテゴリを間違えてすみませんでした。
ご指摘ありがとうございました。
中年冒険者、年下美青年騎士に番認定されたことで全てを告白するはめになったこと
mayo
BL
王宮騎士(24)×Cランク冒険者(36)
低ランク冒険者であるカイは18年前この世界にやって来た異邦人だ。
諸々あって、現在は雑用専門冒険者として貧乏ながら穏やかな生活を送っている。
冒険者ランクがDからCにあがり、隣国の公女様が街にやってきた日、突然現れた美青年騎士に声をかけられて、攫われた。
その後、カイを〝番〟だと主張する美青年騎士のせいで今まで何をしていたのかを文官の前で語ることを強要される。
語らなければ罪に問われると言われ、カイは渋々語ることにしたのだった、生まれてから36年間の出来事を。
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
俺の幼馴染が陽キャのくせに重すぎる!
佐倉海斗
BL
十七歳の高校三年生の春、少年、葉山葵は恋をしていた。
相手は幼馴染の杉田律だ。
……この恋は障害が多すぎる。
律は高校で一番の人気者だった。その為、今日も律の周りには大勢の生徒が集まっている。人見知りで人混みが苦手な葵は、幼馴染だからとその中に入っていくことができず、友人二人と昨日見たばかりのアニメの話で盛り上がっていた。
※三人称の全年齢BLです※