鄒家道士恋物語 憧れていた師兄に溺愛されていました?!~恋の自覚は体から~

オジカヅキ・オボロ

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38 想い03

「んッ」

 びくりと腰が跳ねたのは、解かれていた腰帯をさらに乱され、晒された性器を撫でられたからだ。すっかり熱くなっていたことを報され、知られてしまうのは恥ずかしい。けれどそれを訴えようにも口は封じられていたし、握り込まれた熱を擦られるのは、脳が蕩けてしまいそうなほど悦かった。

「あ、ッ、にぃ……さ、ま」

 蜜がしとどに溢れる頃、ようやく口が解放される。そうして、何かで濡れた指が後孔に宛がわれると孔の周囲でゆるく円を描く。
 今はそんな些細な愛撫すら、淫らな悦へと変換された。
 指がナカを広げるのと同時に性器を扱かれるのは、そうされることが気持ちいいことだと覚え込まされているような気がする。気持ち悦さに我を忘れてしまいそうで、怖い。
 だが追い詰められている今は、自分が今感じていることが怖いという感情であることもわからない。

「ッあ、ああ……ッ」

 広げられているのとは違う動きで、指がくちくちと音を立ててナカを擦ってくるのはたまらない。

「アっ、にぃ、さま……もぉ……っ」
「もう少し、待って」

 指が抜けていく感覚に震えたが、すぐにそこへ熱いものが宛がわれた。それが何かを理解するより先に、ナカへ挿入ってくる。ナカを全部舐めていくように奥へと入る冰淵の熱に、腰がびくついた。
 痛みや違和感、異物感より先に、どうしようもない快感に襲われる。未知の快感は恐ろしく、雪游の何もかもを攫っていってしまいそうで、できることといえば目の前の冰淵にしがみつくことくらいだった。
 安心するのにすべてを奪われてしまうのではないかと危惧と期待、異なる思いが胸に交錯する。

「ぁ、ッああ……ッ、もぉ……」
「ン……、出していい」

 ぐっと腰を引き寄せられると同時、視界や体の奥の熱が弾ける感覚。強い悦楽に体が浸食された。

「ッあ、ああ……ァアア……!」

 冰淵の腹に擦られていた雪游の熱が弾け、白濁を白濁を放つ。息つく暇もなく、抽挿を再開されてしまう。達したばかりで敏感になっていた体には毒のようにきつく、つらい。

 このままだと、もっとおかしくなってしまいそうだ。

 少しでも動きを緩めてほしくて、しがみついた背中に爪を立てた。

「っあ、にいさま、待って……!」
「待てない」
「……ッ」

 耳許で囁かれた声こそ甘い毒そのものだったに違いない。今までに聞いたことがないような、何かを堪えているようで堪えきれていない、欲の染み出た声。
 雪游の顔だけでなく、体まで朱に染まってしまいそうだった。

「あ、アッ」

 一際奥まで貫かれた。ナカで何か吐き出されたような濡れた感覚。そこで冰淵の動きがようやく止まり、雪游はようやく体の力を抜いて冰淵にもたれた。
 くったりと体を預け、荒い呼吸を繰り返す雪游をどう思ったのか、冰淵が雪游の肌や頭を撫でてくれる手は優しい。片腕で抱きしめてくれるのも落ち着かされる。首許や鎖骨のあたりに口付けを繰り返され、吸い付かれるのは少しくすぐったかった。

「…………」

 撫でて甘やかしてくれる間に戻ってきた力で、抱きついた腕にぎゅうと力を入れる。冰淵は腰や背中を包むように抱きしめ返してくれた。

「大丈夫か?」
「うん……」
 強がり半分で頷くと、冰淵がこめかみに口付けをくれる。その後で頬を撫でてくれている冰淵は、少しだけ戸惑ったような表情をしていることに気付いた。
 まだ動くのが億劫だが、手を伸ばすと雪游のほうから冰淵の頬を撫でた。

「兄さま、何かあるなら、言ってほしい」
「……その」
「うん?」
「…………触り足りないから、まだ触れてもいいだろうか」

 大きく瞬きし、言われたことを咀嚼する。
 つまり、求めてくれているということか。それなら雪游に拒否は考えられなかった。冰淵に欲しがってもらえるなら、これ以上ないほど嬉しいから。

「いいよ。……うれしい」

 照れながら言うと、今度はくちびるに口付けされた。
 抱きしめられて繋がったまま、ゆっくりと牀へ押し倒される。見下ろしてくる冰淵から垂れた長い黒髪は、まるで天蓋のようにふたりを外から隔絶しているように思えた。

「っ、ふ……」

 冰淵にじっと見つめられているのが気恥ずかしく、つい横を向いてしまう。
 いつもはひんやりとした手のひらが、雪游の体のあちこちに触れ、撫でていく手つき、感触、感覚に気を取られていると、繋がったところを少しずつ揺らされた。

「あ……ァッ」

 ひくりと腰が震えた箇所を何度も責められると、声が漏れてしまう。我慢もできずに零してしまう声をみっともないと思ってしまうが、冰淵にはどう思われているだろう。

「雪游」

 囁くように呼ばれ、首筋を食まれる。それも甘い淫楽となり、冰淵の熱を咥えたところがひくひくと震えた。まるでまだ食べ足りないというような反応をどう受け取ったのか、冰淵の突き上げが徐々に強くなっていく。
 体を暴かれるのは、頭の中を掻き回されるよう。

「ア、ッあ、あ、にぃさ、ま、ッ」

 しがみつき、律動が与えてくるひどい快楽を享受する。与えられる悦のせいで、おかしくなってしまいそうだ。

「雪游……もう、少し」

 冰淵が名を呼ぶ声音は甘さばかりで、耳からも蕩けてしまう。これ以上耐えることなんてできないと、頭を大きく振った。

「もぉ……に、さま、ゆるして……ッ」
「ん……出して」

 性器に冰淵の手が触れると、それだけで達してしまいそうだった。数度撫でられ、擦られると溜まらない。体の奥、腰の奥からせり上がってくるうねりのような快楽が、身の内を大嵐のように蹂躙する。
 腰をよがらせるのは、冰淵の腰に脚を回してしまったのはおかしくなってしまいそうな悦楽から逃れたいためなのに、かえって深い悦に犯される。

「あ……ぁ、ああっ、ア、アア……ッ!」

 泣くような、絞り出すような喘ぎとともに熱を吐き出す。すぐ後で、冰淵も欲を吐き出したらしいことはわかった。
 腕が冰淵から敷物の上へと落ちる。荒い呼吸はすぐには整わない。

「雪游」

 甘い声は愛しいものを呼ぶ響き。冰淵のそんな表情や声を聞いたことがなく、しかもそんな声で自分を呼ぶなんて思いもよらず、照れや羞恥はある。けれど、冰淵に名を呼ばれて無視することはありえない。
 睫毛を何度か震えさせた後で視線を上げれば、汗で額に貼り付いた前髪を冰淵に払われ、額に口付けられた。抱きしめられると、頬や目許、目尻にも何度か口付けされるのはくすぐったい。
 色んな修行をした後のような疲労感。ぼんやり冰淵を見上げていると頭を撫でられる。

「疲れたなら眠っていい。……あとのことは、やっておく」
「ん……」

 ごめんねともありがとうとも言うのが億劫で、小さく頷く。それから目を閉じると、冰淵の手のひらが頬を撫でてくれるのを感じながら眠った。
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