最強猫耳少女は、今日も俺を甘やかす ~ご主人様は前世で働きすぎました。異世界では働いてはいけません~

メイン君

文字の大きさ
2 / 8

第2話「甘やかすって決めたんだニャ」

しおりを挟む
 飼い猫のミラとともに異世界に転移してしまったようだ。

「ミラはこの世界を知ってる風だけど、今ってどういう状況なんだ?」

 ミラに聞いてみる。

 よく分からない状況なのに、異世界転移って言い切ってるもんね。
 俺よりは、状況を把握しているのだろう。

「簡単に話すとね……。レンヤ様が現世で倒れた時に、魂がどこかに連れていかれそうだったんだ。それに飛びついたら、私の魂も一緒に神様のところに連れてかれたんだ」

 猫は昔から霊を見ることができる、霊界と人間界の監視役と言われることがある。

 それで、俺の魂が見えたから飛びついたってことか。
 俺の魂は猫じゃらしみたいなものだったらしい。

 なんて思ってはみたものの、魂でも何でも俺に懐いてくれたことが素直に嬉しい。

「神様に会ったの?」

「うん、輪廻の神様が異世界に転移転生させてくれるっていうから、一緒の世界に転移させてもらったの」

「なるほどね。にわかには信じがたいけど、状況が状況だし、そうなんだろうね」

「ただ、二人一緒の世界に送ると、加護はどちらか片方に一つだけしかつけることができないって言ってたよ」

 転移の特典的なものとして、加護が与えられるらしい。
 ラノベ風に言うと、チート能力ってやつだ。
 一つの転移に一つのチートってことだろうか。

「それはどうなったの?」

「加護はわたしに付けてもらったんだ。レンヤ様を護れるようにって」

 そう言って、ミラは嬉しそうに微笑む。
 銀髪美少女、可愛いな……。
 猫の姿も可愛かったけど、今の姿も異世界で一番可愛いのではないだろうか。

 元々無かった能力の付与、俺はミラが幸せなら、他に特に欲しいものはない。
 加護がミラを幸せにするなら、神様に感謝したい。

「その加護ってどんな能力なの?」

「『護主人様ごしゅじんさま』という加護名なんだけど……、レンヤ様のためなら、通常の10倍の力を発揮できるっていう能力なんだよ」

「ごしゅじんさま……?」

「そう、この世界でレンヤ様を幸せにするのに、すごく向いてる能力でしょ?」

 俺のために行動するときは10倍の力を発揮できるらしい。
 例えば、俺を護る為に戦う時は、力が10倍になるとのことだ。

「ミラ……」

 能力を選ぶときですら、俺のことを考えてくれたということに、少し涙ぐんでしまった。

「それにね、猫の姿のままじゃ不便だろうということで、この姿にしてもらったんだ」

 ミラの話によると、加護とは別に人化をサービスしてくれたらしい。
 ついでにこの世界の言葉が分かるように、自動翻訳スキルを俺たち二人に与えてくれたとのこと。

「俺は前世でミラに何も与えられなかった……。贅沢ぜいたくな食事や、走り回れるほどの大きな家、俺はミラを幸せには――」

 そんな俺の言葉をさえぎるようにミラが言う。

「レンヤ様、それは違うよ! わたしは前世でも十分幸せだったよ。毎日たっぷり愛情をこめて優しくなでてくれた。わたしが体調を崩した時は、ただでさえ少ない睡眠時間を削って看病してくれた」

 ミラの綺麗な銀色の瞳が、真っすぐに俺を見つめてくる。

「ミラ……」

「ずっと、ずーっと、レンヤ様のたっぷりの愛情に包まれてたよ。わたしは世界で一番幸せだと思ってたよ」

 ミラが満面の笑みを浮かべる。

「そんなこと……」

 俺は大したことはしていない。
 ミラのことは世界で一番可愛いと思っていたけど、可愛がっていたのは俺がミラのことを好きだったからだ。
 俺がしたくてしていただけだ。
 感謝されることではないはずだ。

「だから……、今のこの世界ではわたしがレンヤ様のことを、たっぷり愛することにしたんだ。これはわたしが、したくてすることなんだよ」

 ミラ自身が、好きでするんだと言ってくれる。
 俺が思っていたことを、同じ風に返されてドキッとした。

「だったら、お互いに――」

 お互いに力を合わせてこの世界で過ごそう、と言おうとした。

 ミラは人差し指を俺の口にあてて、それ以上は言わせないよと片目をつぶった。

「駄目だよっ……! レンヤ様は、前世で働き過ぎだった。この世界では何もしなくて良いの。わたしが、たっぷりレンヤ様を甘やかすって決めたんだニャ!!」

 それはミラの宣言だった。
 嬉しくも、なんだかちょっと恥ずかしくもある、ミラの心のこもった幸せな宣言だった――。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無自覚人たらしマシュマロ令嬢、王宮で崇拝される ――見た目はぽっちゃり、中身は只者じゃない !

恋せよ恋
ファンタジー
 富豪にして美食家、オラニエ侯爵家の長女ステファニー。  もっちり体型から「マシュマロ令嬢」と陰口を叩かれる彼女だが、  本人は今日もご機嫌に美味しいものを食べている。  ――ただし、この令嬢、人のオーラが色で見える。  その力をひけらかすこともなく、ただ「気になるから」と忠告した結果、  不正商会が摘発され、運気が上がり、気づけば周囲には信奉者が増えていく。  十五歳で王妃に乞われ、王宮へ『なんでも顧問』として迎えられたステファニー。  美食を愛し、人を疑わず、誰にでも礼を尽くすその姿勢は、  いつの間にか貴族たちの心を掴み、王子たちまで惹きつけていく。  これは、  見た目はぽっちゃり、されど中身は只者ではないマシュマロ令嬢が、  無自覚のまま王宮を掌握していく、もっちり系・人たらし王宮譚。 🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。 🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。 🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。 🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。 🔶 エール📣いいね❤️励みになります! 🔶表紙はAI生成画像です🤖

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

処理中です...