最強猫科のベヒーモス ~モフりたいのに、モフられる~

メイン君

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第一章 モフはモフを呼ぶ

第18話「オークキングの討伐に向けて」

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 アルフレッドと会ってから一週間。

 冒険者たちにはギルドからの緊急依頼として、オークの集落殲滅せんめつ作戦への呼び出しがかかった。
 完全な強制ではないが、十分な参加報酬と後の優遇が約束されているため、多くの冒険者が参加することになった。

 兵の編成が完了し、今日出陣をむかえるところだ。

 街の外に兵士と冒険者が集結している。

 その数、兵士がおよそ500人と、それを束ねる騎士30人程、冒険者はおよそ200人くらい集まっている。

 冒険者はBランクからDランクが中心で、Aランクも三人いるらしい。
 兵士や騎士の強さもだいたい同じ分布になっているようだ。
 騎士の中にもAランク冒険者同等の強さの者が、三人ほどいるとのことだ。

 兵たちの戦力って、結構な機密事項だと思うけど、アルフレッドがこと細かに教えてくれた。
 あんなにペラペラ教えていいものなのだろうか。
 そんなアルフレッドは、街の防衛という名の留守番だ。

 前線に向かいたがっていたけど、「伯爵を継いだのですから無茶はおやめなさい」とじいに止められていた。
 俺もまったくその通りだと思う。

 調査隊の報告によると、オークの集落は発見されているだけで5つ、オーク自体の数はおよそ300体と推測されている。
 
 さらに新たな調査で、オークキングらしき存在と、その配下にオークジェネラル2体の存在が確認されたらしい。

 オークは強さに個体差があって、多くはDランクの下位からCランクの上位に位置するとの話だ。
 身長は人より大きく、2メートル弱くらいの個体が一番多い。
 豚顔に筋肉質の体で、腕力は人の平均値を圧倒するとのことだ。
 なかにはBランクの猛者オークもいるらしい。

 ちょっとした連携を取って複数で襲ってくることもあり、Bランク以上の冒険者でも油断すると窮地におちいることがあるそうだ。

 ただ、これらの普通のオークは兵士や冒険者がしっかり連携をとって戦えば、なんとかなる相手だそうだ。

 問題なのは、オークキングとオークジェネラル……。

 作戦参加者には過去にオークキングを見たことがある者はなく、書物等の記録をもとに強さを推しはかっているそうだ。

 その強さはAランク冒険者が複数であたって尚苦戦する強さと言われているそうだ。
 この布陣で大丈夫なのか不安になる。 

 一応、作戦らしきものはあるそうだ。
 簡単に言うと、騎士と冒険者のAランククラスの実力者で取り囲んでボコるのだ。
 道具や武器はオークよりも人族の方が優れているらしく、そういうものでもアドバンテージを取っていくらしい。
 囲んで、弓矢で射すくめるとかね。

 今回の戦いの目的は、全ての集落の破壊と、魔王オークキングおよびオークジェネラルの討伐だ。

 街の平和のためにも、成功させないとね。


 今回の遠征は、騎士団長のグレゴリー子爵が率いることになっている。

「閣下、では行ってまいります!」

「ああ、頼んだぞ! 良い報告を待っている」

 グレゴリーがアルフレッドと言葉をかわして出陣となった。


◇◇◇


 途中から街道をれ、林道を進んでいく。

 行軍のため、縦一列にならんで進む俺たち。

 俺はリルの肩に乗せられている。
 リルがその方が落ち着くと言うんだから、俺に不満などあるはずがない。

 冒険者のハンズが、ちょくちょくリルに話しかけてくる。
 ギルドの地下闘技場で、俺がガルムと戦った時に、立会人だった男だ。
 見た目がちゃらい男だ。

 確か一流とされるBランクに上がったばかりだったはずだ。

「リルさん、今回はリルさんの雄姿がたくさん見れそうで、俺参加して良かったです」

 ハンズはなぜかリルに敬語だ……。
 リルの方が十歳以上年下だろうに。

 ちゃらくて敬語だとなぜか下っ端感が高まる。
 まあ気にしないでおこう。

「ハンズったら、ここ最近ずっとリルちゃんのことばかりなのよ」

 ハンズの隣で苦笑いする女の人は、モニカ。
 ローブを着ていて杖を持っている。
 このお姉さま、その見た目通り魔法使いなのだそうだ。

 今度魔法教えてくれないかな。

 魔法と“飛行”を上手く組み合わせれば空が飛べるかもと考えている。
 まだ空を飛ぶことは、あきらめてないよ!

「そこのワイル……シュンの動きを間近で見て、価値観が変わったね俺は!」

 ハンズよ……。

「離れて見てた俺たちでもほとんど目で追えなかったからな」

「俺たちも負けないように頑張ろうぜ」 

 ハンズの後方を二人の冒険者がついて歩く。
 この四人でパーティーを組んでいるんだそうだ。

 後ろの二人……。

 名前わすれた……。
 まあ、そのうちきっと覚えるさ。

 わいわいと歩いていると、俺の猫耳が前の方を歩いている騎士たちの話し声をとらえた。
 壁一枚へだてても、ネズミの足音を感知するというキャットイヤーは伊達じゃない!

「ちっ……、のんきなもんだぜ! 冒険者どもはピクニック気分のようだ! あんな子供やワイルドキャットなんか連れてよ」

「ヴァレミー、やめておけ……。今回の作戦で冒険者たちの役割は大きい。林や森の進軍は彼らの得意分野だ」

「でもよ、団長。戦闘になったら足手まといだぜ、あんな奴ら」

「やめておけと言っている……。それにだ、あの少女とワイルドキャットは閣下がだいぶ肩入れしているのだ」

「えっ……、伯爵閣下が?」

「ああ……。『我が軍の秘密兵器だ! くれぐれも迷惑をかけないように』と言っておられた」

「なんかの間違いだぜ。あんな奴ら俺なら三秒で倒せるぜ」

「強さをおごるなといつも言っているだろ。閣下には閣下のお考えがあるのだろう」

「へいへい、あいかわらずの忠臣ぶりですな~」

 そんな会話がうっすらと聞こえた。

 たしか片方は、出陣の時にアルフレッドと話をしていた男、騎士団長のグレゴリー子爵だ。
 もう一人はヴァレミー男爵というらしい。
 声からして、ヴァレミーは結構若そうな感じだ。

 結構離れてるし、冒険者たちには聞こえない距離だろう。

 進軍していて思ったけど、冒険者と騎士ってあんまり仲が良くないなあ。
 お互いが相手のことを見下すというか……。

 アルフレッド自体は冒険者からの評判も悪くないから、貴族と冒険者が対立してるわけではないと思う。 
 でも……、あの伯爵様は冒険者みたいなものだから、参考にならないか……。

 これから一緒に戦うんだし、仲良くしてほしいもんだ。
 みんなモフモフ成分が足りてないんじゃね?


 ――――ん?

 何かの気配を感じた。

 近くではないけど、そう遠くない距離。

 俺が左に目を向けると、同時にリルもそっちに視線を向けた。

「シュン……」

「クルニャン(何かいるね!)」

 うさぎとかなら良いけど、この気配を押し殺しているような気配は……。

 他の冒険者たちは誰も気がついていないようだ。

「ハンズさん、ちょっと離れるね!」

「クルニャン!(行こう! リル!)」

 俺はリルの肩から飛び降り、気配の方向に駆ける。
 後ろからリルがついてくる。

「ちょっと! リルさ~ん!」

 ハンズの叫ぶ声が、遠ざかっていった。
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