最強猫科のベヒーモス ~モフりたいのに、モフられる~

メイン君

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第一章 モフはモフを呼ぶ

第31話「みんなおいでよ!!」

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 今日の昼間、リルが家を購入した。

 今後について、リルがミーナに話をしているところだ。
 俺はリルの膝の上で、丸くなっている。

「というわけで、家を買ったから明日引っ越すつもりだよ。今まで家に置いてくれてありがとね」

「そうなんだ……。リル、おめでとう。今やこの街の英雄だもんね」

 リルが引っ越しをすることを告げると、ミーナが笑顔だけどちょっと寂しそうな顔をした。

 最近は凄く仲良かったもんね。
 ミーナはリルが出て行っちゃうことが寂しいのだろう。
 だけど、めでたいことだから我がままを言えないといった感じだ。

 甘いな、ミーナ。

「それでなんだけどね……。良かったらミーナも一緒に新しい家に住むのはどう?」

「えっ!?」

 リルの突然の申し出に、ミーナが驚いている。

「あ……、ギルドから少し遠くなっちゃうから嫌だよね……」

 リルはミーナの驚きを、否定の意味と受け取ったようだ。
 しょんぼりと耳が垂れている。

 実際はギルドから遠くなるといっても、少し遠くなる程度だ。

「クルニャ(ミーナは嫌がってるわけじゃないよ)」

 言葉は伝わらないけど、歯がゆい気持ちを少し伝えたくなった。

「違うのよ。その……、せっかくリルが買ったばかりの家に私が一緒に住んだら、邪魔かなって……」

「そんなわけないよ! リルはミーナと過ごしたこの家での生活が楽しかったよ!」

「リル……」

「だからリルは、ミーナと一緒に暮らしたいと思ってるよ。……どうかな?」

 リルが不安そうにミーナに問いかける。

「……ありがとう。リル、私の気持ちも同じよ。これからもよろしくね」

 笑顔でリルにつげる。

 なんとかお互い素直に気持ちを伝えられたようだ。
 リルもミーナもすぐ遠慮するからね。
 二人とも優しいからなんだけどさ。

「クルルゥ……(なんだか恋の告白を見せられた気分だよ……)」

 小さくため息をつきながらも、俺はこれからの楽しい生活に思いをせたのだった。

 その時、ミーナが思いついたかのように言う。

「そうだ、新生活始めたら、もっと本格的に料理を作るようにするね!」

「う、うん……」

「……ルニャ~(……まじか~)」

 ミーナの言った“本格的”という言葉が酷くおそろしい。
 ミーナの本気・・に俺は立ち向かえるのだろうか……。

 でも、作ってるうちに料理が上手くなっていくかもしれない。
 それにミーナの気持ちが嬉しいのは本当だ。
 
 それに……、耐性がついたおかげでオークキング戦で助けられたしね。
 
 大きなため息をつくことクルニャ。
 強敵に立ち向かうのに似た覚悟をしたのだった。


◇◇◇


「クルニャ!(静かにっ!)」

 俺は目の前の猫たちに話をするところだ。
 引っ越しの日の朝、猫たちに集まってもらった。

 俺のすぐ後ろにはリルがいる。
 猫たちを家に誘いにきたのだ。

 ミーナと話した後で、「リルたちの家に住んでって、明日猫たちにも言いに行こ!」と笑顔で言っていた。
 俺が猫たちと意思疎通ができていることを、リルは直感的に気付いているようだ。
 さっきも、俺に猫たちを新居に誘うように告げてきた。

 というわけで……。

 俺は猫たちに向かって話す。

「今日からみんなに住んでもらいたい家がある!
 強制ではないからすでに落ち着く住居がある場合はそのままでいい」

 俺の言葉を聞いて猫たちがミャーミャー騒ぎだす。
 驚いている猫。
 喜んでいる猫。
 何のことだかピンときてない猫。

 そんなモコモコ動く猫の集団を見て、リルが目をキラキラさせている。

 分かるよ、その気持ち。
 モコかわだよね。

 隙間なく並んでいる猫たちの上を、ゴロゴロゴロ~って転がってみたいよね。
 きっと高級ベッドだって目じゃないと思う。

「ニャー(家を買ったっすか? でもこの猫数だと、ギューギューになるっすよ)」

 ミケはすぐに家を手に入れたことに気づいたようだ。
 ミケって意外に察しがいいんだよね。

「クルニャーン!(大丈夫だ! 大きい家を買ったからな。これからそれを見に行く!)」

 実際に見てもらうのが一番だろう。





「……ニャー(……これは予想以上っすね)」
「「「ミャーミャーミャー!!(凄い凄い凄い!!)」」」
「ニ゛ャン(さすが私のダーリンね)」

 家の大きさと庭の広さに、みんな驚いている。
 それと、俺はお前のダーリンになった覚えはない。

 皆が皆喜ぶわけじゃないと思ってたけど、全員が喜んでいる様子だ。

「クルニャン!(家の使い方は徐々に教えていく。そっちの大きな倉庫は自由に使っていいぞ!)」

 この邸宅には大きな母屋と、二つの倉庫がある。
 倉庫といっても、街中にある普通の家よりも大きいくらいだ。

 倉庫のうち一つは猫たちに自由に開放することを、リルが決めてくれた。

 母屋の方は鍵を開けっ放しにしておくわけにはいかないので、猫たちにも使い方を覚えてもらおうと思う。

「クルナー!(それにだ! 家は提供するけど、ご飯を手に入れたりするのは、みんなにも頑張ってもらうからな!)」

 獲物を狩る力、戦う力は徐々につけていってもらわないとね。
 厳しいようだけど、それがボスを引き受ける時の約束だ。
 もちろん全力で教え込むつもりだ。

「「「ニャー!!!(ボス! ボス! ボッス!!!)」」」

「クルニャー(感謝ならリルにしてくれ)」

 猫たちが住める家というのは、リルが思いついたことだ。

「「「ニャーーン!!!(リル! リル! リッル!!!)」」」

 リルへのコールが始まった。

「喜んでもらえたみたいだね。リルもうれしいな!」

 リルにはニャーニャー言ってるようにしか聞こえないだろう。
 それでも喜びは伝わったようだ。

 リルが満面の笑みを浮かべる。

 猫たちを引き連れることに不安もあったけど、良かったかもという気持ちになったよ。


 その後早速、猫たちは倉庫にぞろぞろと足を踏み入れる。

 倉庫といっても大きな蔵といった感じで、天井が高くとても風通し良く作られている。
 窓みたいな戸を開けば、陽も入るようになっている。
 日向ぼっこするのに良さそうだ。

 一定の高さごとに備え付けられている棚も良い感じで、本棚をほうふつさせる。
 棚に猫たちが収まったら、可愛い光景かもしれない。

「ニャン(これは住み心地よさそうっすね)」
「ミー(ボス、かいてきだよ~)」 

 どうやら好評のようだ。
 ミケによると雨の心配をしなくていいのは大きいらしい。
 さっそく棚に収まったピーチも嬉しそうにしている。
 名前を覚えたよ。

「クルニャーン(さて、これからやることがいっぱいだ)」

 猫たちを強くすること。
 俺ももっと強くなること。

 家の維持費も依頼クエストを受けて稼がないといけない。
 快適な新生活のためにはやることが尽きないだろう。

 おっと、忘れてはいけない。
 いっぱいモフモフしないとね。

 ちょっと忙しくなりそうだけど、充実した日々になりそうだなと思ったのだった――。



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