ドラゴンすら眠らせる俺の睡眠魔法 ~ダメ可愛い美少女にはシエスタを~

メイン君

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第9話「寝るときは尻尾隠さず」

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 そんなこんなで旅の初日は順調に進み、俺たちは日が暮れる前に街道沿いの村に到着した。

「今日はここで一泊するわよ」

 旅の日程管理はセシルさんに任せている。

 俺は旅なんてしたことなかったし、レーカはそもそもそういうの気にしたことないみたいだからね。

 レーカの頭の角を隠すために、セシルさんの商品の中から帽子をもらった。

 お金を払うって言ったのに、レーカちゃんへのプレゼントだからと嬉しそうに帽子をくれた。
 帽子はとても似合っていて、貴族のお嬢様みたいに可愛らしかったよ。

 アルには亜空間に戻ってもらった。精霊を連れているのを見られると村の人に騒がれそうだしね。

「この村には宿屋とかあるんですか?」

「街道沿いの街や村には旅人用の宿屋があるものよ。
 仮に満室だとしても、村の広場を借りるだけでも、
 村の外での野宿より安全だしね」

 おお、セシルさんが久しぶりに頼りになる感じだ。
 最近、可愛いものを愛でてばかりだったからな。

「もしかして、この村にも知り合いが?」

「ええ、この村も行商ルートだから、よく知っているよ。
 村長に会ってくるからちょっとここで待っててね」

 そう言って、セシルさんは村の中心の方へ向かっていった。

 待つこと二十分程、セシルさんが戻ってきた。

 無事に宿屋が取れたとのことで、俺たちは宿屋の部屋まで案内された。

 借りたのは二階の一部屋で、広めの部屋にベッドが二つ。
 一休みしてから、俺とレーカは宿屋の食堂で夕食をとることにした。

 セシルさんは、商品の一部をこの村に売り渡すということで、外に出て行った。

「そういえば、聞こうと思っていたんだけど、
 レーカはその姿だと強さはどれくらいなんだ?」

 俺とレーカは、食堂の隅っこの方で夕飯を食べている。
 何の肉だか分からないが、肉を焼いたものと野菜の入ったスープだ。

「ん、あたしの強さが気になるの?」

 レーカが肉を美味しそうに食べながら、顔をこちらに向けてくる。
 ちょっと嬉しそうにしているのは、聞いてほしいからかな。

「まあね。実際レーカってドラゴンの中でも、結構な方なんじゃない?
 なんか赤い鱗とか綺麗で格好良いしさ」

 周囲に人がいないのを見計らって小声で問いかける。本心だが、ちょっとおだててみる。

「そ、そう! ネロには分かるのね。
 なかなか見る目があるわね」

 レーカが、明らかに上機嫌になってニマニマしている。

 チョロ可愛いではないか。

「レーカは、どんなドラゴンなの?」

「あたしはドラゴンの中でも上位竜で凄いのよ。
 魔法もいろいろ使えるわ。
 あたしはまだ幼竜だけど、たいがいの敵はチュドーンよ」

 あの大きさでまだ幼竜なんだ……。成竜になったらどんだけ大きいんだよ。

 確かに人化の魔法とか伝説やおとぎ話みたいだもんな。
 上位竜っていうのも納得だ。
 チュドーンでは強さが分からないけど、まあとんでもなく強いのは確かだろう。

「ちなみに、今の姿でも魔物とか倒せるくらい強いの?」

 今後の活動方針にも関わってくるからね。戦うたびにドラゴンになっていたら、変な噂が立ちそうだからね。

 討伐隊とか来たらたまらない。

「もちろんよ。
 ドラゴンの姿に比べて多少の制限はあるけど、力も魔法も大したものよ」

「へえー、レーカって凄いんだね」

 それは良かった。俺の弱点の近接戦闘や飛び道具への対処などをフォローしてもらえるかもしれないな。

「もっと、褒めてもいいのよ。
 それにしても、この肉おいしーね……」

 モグモグしてる姿は、見た目の歳相応にしか見えないんだけどね。


◇◇◇


 食事後、部屋に戻ってしばらくすると、セシルさんが戻ってきた。
 セシルさんは、取引所で軽く食べてきたとのことだ。

「今日はいろいろあったし、もう休みましょ」

「うん、賛成よ。
 あたしはもう眠いわ」

 俺も賛成だ。ただ、レーカはたっぷり寝てたでしょ。

 二つのベッドの内、窓側のベッドにテケテケと向かい、勢いよくそこにダイブする食っちゃ寝ドラゴン。

「ネロはこっちにきて。
 あたしに眠くなる魔法をかけながら一緒に寝るのよ」

 レーカの中では、ベッドの割振りがすでに決められているようだ。
 そしてなぜか、子守唄ポジションの俺。

 二つ名に恥じない配置をご所望のようだぞ。

「ちょっと待って!
 それは良くないわ。彼も一応男よ。
 ここは女の子同士、私とレーカちゃんが一緒のベッドが良いと思うの」

 ちょっと待って欲しいのは俺の方だ。
 一応ってなんだよ、一応って。

 それにセシルさんの発言に、邪念が垣間見えるのはなぜだろうか。

「あたしは嫌よ!
 ネロ、助けて!」

「レーカちゃん、変なことはしないからさ。
 さあ、かんね……じゃなくて、こっちにおいで」

 セシルさんの手がワキワキしている。
 今、観念って言おうとしたでしょ……。

 そんなセシルさんにレーカが怯えている。

 このままじゃいつまで経っても、寝ることができなそうなので……。

「俺が決めるよ。
 二人は窓側のベッドで一緒に寝ること。
 睡眠魔法で同時に寝かしつけるから、レーカも変なことされないからさ」
 
 ほらほら早くと不満そうな二人を一緒のベッドに追いやり、横にさせた瞬間に睡眠魔法を発動。
 すぐに眠りに落ちる二人。

 ふぅー……、今日はいろんなことがあったな。
 しかし、こうやって仲良く寝てると二人は姉妹みたいだな……。

 幸せそうに寝ている二人を見てそんなことを思った。

 そういえばレーカ、尻尾をだしているな……。

 ピョコンと可愛らしいドラゴン尻尾が見えている。

 さっきまでは尻尾は出ていなかったから、リラックスして寝るときは尻尾が出ちゃうのかな。

 気持ち良さそうに寝ている二人に毛布をかける。

「おやすみなさい……」

 俺はもう一つのベッドに横になり、羊なアルを呼び出して抱き枕にする。

 明日も騒がしい一日になりそうだ。

 おやすみなさい――――。



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