異世界の大家さん ~魔王様? 城ごと俺のモノですが~

メイン君

文字の大きさ
11 / 19

第11話 サウスローでのデート

しおりを挟む
 ダイチとミレーニアメリーは冒険者ギルドの裏口から外に出た。
 表から出ると、騒ぎになりそうということでギルバートが手配してくれたのだ。

「メリー、まだ時間も早いし街の中を回ってみないか」

 まだ昼過ぎということもあり、ダイチはミレーニアメリーを街の散策に誘った。

「え!? 回る、回る! 一緒に回る! デートだねっ!」

 ミレーニアメリーが瞬時に食いついた。散々二人きりで行動しておいて今更だが、街中は特別ということだろうか。

「まあ、なんでもいいよ……バジリスクの討伐お疲れ様だしね。食事と買い物は、俺が持つよ。あまり高い物は手持ちが無いから無理だけど」

「ホントに! でもダイチどうしたの? らしくないね。あ! ついに私の魅力に気づいちゃったとか?」

 ニヤニヤしながら肘でダイチをウリウリするミレーニアメリー

「ほら、早くしろ。気が変わるかもしれないぞ」

 スタスタと街中に向かっていくダイチ。

「待ってよー!」

 ダイチの後を追うミレーニアメリー。いつもの光景であった。


■■■


「ほら、ここのスイーツ美味しいでしょ。見た目も可愛くて人気なのよ」

 得意気なミレーニア。
 街のメインストリートにある、お洒落な喫茶店。
 そのテラス席でマッタリ過ごしているダイチとミレーニア。
 テーブルには紅茶とお店オススメのケーキ。ケーキはシットリフワフワの生地で甘さ控えめの生クリームが添えられている。

 空は晴れていて、すぐ傍を通る石畳のメインストリートは様々な人種、職業の人々が忙しなく行き交っている。

「ああ、城でもこういうの作れるようにするのもいいかもな。それにしても、サウスローの街は初めて来たけど、思ってた以上にいいところだな」

 道行く人々は活気に満ちているし、様々な人種が仲良く生活を営んでいる様子は、ダイチが聞いていた以上だったようだ。

「だよねー、うちも将来こんな風にしていきたいんだよねー」

 ミレーニアは魔王勢力の今後に思いを馳せている。

 魔王勢力は魔王城を中心に、その周囲に生活圏を作っているが、大きな街は存在せず、せいぜい大きな村程度のものが複数あるくらいだ。それぞれの村は族長が治めていて、中には複数の村を治めている族長もいる。

 近年、魔王に協力的な族長が魔王の臣下となり勢力の連帯感は強まってきているが、非協力的な村等も多く纏まりきれてないのが現状だ。

「そうだな…………案外お前なら上手くやってしまう気もするけどな」

 通りを眺めながら呟くダイチ。

「ど、どうしたの? こういう時、熱があるっていうんだっけ?」

 目をパチクリさせるミレーニア。

「失礼だな……まあ上手くやって、毎月滞納無く家賃払ってくれよ」

 ミレーニアをじっと見つめるダイチ。

「うん……いつものダイチだ……」

 なんとなくホッとするミレーニアだった。


■■■


「お嬢様、やはり白がとても似合いますわ! 綺麗な赤い髪がとても映えてます!」

 ミレーニアを褒める従業員。
 メインストリートにある大衆向けの衣料品店だが、質が高い物も多く置いてある評判のお店だ。

「ダイチ? どう?」

 少し恥ずかしそうに、その場でクルリと回るミレーニア。
 白いワンピースがフワッと広がり、そこだけ花が咲いたかのようだ。

「ああ、道行く人が振り返りそうだな」

 冷静な様子で淡々と告げるダイチ。

「えー、他人はいいよー。ダイチはー?」

 頬を膨らませながら、ミレーニアが再度問いかける。

「定員さん、さっき試着したのと、今来てるの精算お願いします」

 ミレーニアをスルーして支払いに向かうダイチ。

「うーん、似合ってたってことでいいのかな……? そういうことにしておこう……」

 自分を納得させるミレーニアだった。


■■■


「明日、バジリスクの報酬を受け取ったら一度城に戻ろう。報酬が滞納分に足りなかったら、少しだけ依頼受けてからな」

 屋台で串焼きを買って、近くのテーブルで食べているダイチとミレーニア。

「うん、二人だけで遠出するの初めてだし、皆心配してるかな」

 串焼きを美味しそうに食べているミレーニア。大きめの串焼きだが、既に食べ終わった串が五本、ミレーニアの手元の皿にある。

「帰ったらまたロイスに絡まれそうだな」

 自分を炭にしようとした青年を思い出して、苦笑いのダイチ。

「そんなことさせないんだから、ロイスにはきつく言っておくんだからっ」

 ミレーニアの串焼きを食べる速度が上がっていく。

「まあ、ロイスのお前に対する忠誠心が本物だってことで、有り難いことではあるんだけどな」

「そうだけど……」

 何か納得いかないとばかりに、ミレーニアは追加の串焼きを食べ続ける。

「そんなに食べると太るぞ」

「なっ!? ふ、ふとっ!?」

 串焼きが美味しかったこともあり、無意識に食べ続けていたことに気づいたミレーニア。
 食べ終えるタイミングで、すかさずミレーニアの手元の皿に串焼きを追加してたダイチも大概だが。

「だ、大丈夫よ、いざとなったら空間魔法で……食べた物を……」

 わざとらしくニヤリと笑うミレーニア。

「魔法と、食べ物の無駄遣いをするとセシリアに報告しなきゃな」

「あ、嘘よ! 今のは嘘、その分明日も動くようにするから。バジリスク十体くらい倒しちゃうんだからっ」

 他愛もない話を続ける二人。
 傍から見たら仲の良いカップルにしか見えなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...