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第12話
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「抗議は認められない!レクーナ男爵家にも、ソーウェル伯爵家にもだ!!」
あれほどの屈辱を味わわされて黙ってはいられない。
だというのに父上のこの反応は何だというのだ。
「ですが父上、このままでは俺だけでなくインガーロ男爵家の名誉にも関わってきます。ここは抗議して不当な扱いだと訴えるべきです」
「だからそれは認められないと言っているんだ!」
「どうしてですか?」
「これもお前がルビア嬢との婚約を台無しにしたからだ」
その結果、ルビアがエナに嫉妬して俺たちに恥をかかせたのだろう。
俺が抗議するのも当然であり、こうやって父上を経由してインガーロ男爵家として抗議することに何の問題があるというのか。
「そのせいで恥をかかされました。このまま泣き寝入りしろと言うのですか?」
「何もするな。一切の抗議は認められない。そういった契約だからな」
「契約?」
「…そうか、アシューは知らなかったのか。まさかこのような事態になるとはな」
契約なんて心当たりがない。
頭を抱える父上の様子から、よほどの事なのだと推測できる。
「お前がエナと浮気したことで、どうやって責任を取るのかと追及された。ルビア嬢は何と言ったと思う?」
「……慰謝料ですか?」
「その程度で済めばこのような事にはなっていない。ルビア嬢が求めたのはお前の処刑だよ」
「処刑!?」
まさか殺したいほど嫉妬するとは、やはりルビアは恐ろしい本性だった。
それを見抜いた俺は間違っていなかった。
「だがそのような処分は現実的ではない。その代わりに求められたものは、お前が浮気した事実を広めることに関し一切の抗議をしないことだ。それに事実を広めた結果がどうなろうとも抗議しない。だから抗議はできない」
「そんな……」
卑怯だ。
抗議できないようにしてから大勢の前で恥をかかせるなんて酷い。
それに抗議できないということは何を言われようとも俺が認めたと解釈されてしまうではないか。
「それだけルビア嬢はお怒りということだよ。しかも今度はソーウェル伯爵のご令息、セレオン様と婚約したそうだ。下手なことをすればソーウェル伯爵家まで敵にしてしまう」
やはりルビアは酷い女だ。
ソーウェル伯爵家がバックにつけば、この地域一帯では誰も文句を言えなくなってしまう。
俺はこれからもルビアに好き放題されるということか?
「…そのような横暴な振る舞いが許されるというのですか?」
「許されるとも。そういった条件で契約したからな。文句があるなら浮気した自分を責めろ」
浮気とは酷い。
ルビアが酷いから俺はエナに救われたのだし、エナとは身分差があるとはいえ真実の愛がある。
真実の愛を邪魔していたのはルビアだ。
「このような状況ではルビア嬢が口にした処刑も実現してしまうかもな。とにかく問題は起こすな。いいな?」
「………はい」
屈辱だ。
ルビアは俺に何度屈辱を味わわせるというのだ。
きっとソーウェル伯爵家もグルだな。
…………困ったことになってしまった。
* * * * * * * * * *
それからどの貴族からもパーティーに呼ばれることはなかった。
親交のある貴族家からの情報では、俺たちやインガーロ男爵家に関わらないようにしているという。
ソーウェル伯爵家に睨まれたくない気持ちは理解できる。
だが俺とエナが無作法だからというのは侮辱だ。
一度の失敗をそこまで引き摺らなくともいいだろうに。
これも全部ルビアが企んだことに違いない。
俺とエナの幸せを邪魔するために誹謗中傷し仲間外れにしているのだ。
父上経由では抗議できないし、ここは直接俺が抗議するか?
……仕方ない。
あれほどの屈辱を味わわされて黙ってはいられない。
だというのに父上のこの反応は何だというのだ。
「ですが父上、このままでは俺だけでなくインガーロ男爵家の名誉にも関わってきます。ここは抗議して不当な扱いだと訴えるべきです」
「だからそれは認められないと言っているんだ!」
「どうしてですか?」
「これもお前がルビア嬢との婚約を台無しにしたからだ」
その結果、ルビアがエナに嫉妬して俺たちに恥をかかせたのだろう。
俺が抗議するのも当然であり、こうやって父上を経由してインガーロ男爵家として抗議することに何の問題があるというのか。
「そのせいで恥をかかされました。このまま泣き寝入りしろと言うのですか?」
「何もするな。一切の抗議は認められない。そういった契約だからな」
「契約?」
「…そうか、アシューは知らなかったのか。まさかこのような事態になるとはな」
契約なんて心当たりがない。
頭を抱える父上の様子から、よほどの事なのだと推測できる。
「お前がエナと浮気したことで、どうやって責任を取るのかと追及された。ルビア嬢は何と言ったと思う?」
「……慰謝料ですか?」
「その程度で済めばこのような事にはなっていない。ルビア嬢が求めたのはお前の処刑だよ」
「処刑!?」
まさか殺したいほど嫉妬するとは、やはりルビアは恐ろしい本性だった。
それを見抜いた俺は間違っていなかった。
「だがそのような処分は現実的ではない。その代わりに求められたものは、お前が浮気した事実を広めることに関し一切の抗議をしないことだ。それに事実を広めた結果がどうなろうとも抗議しない。だから抗議はできない」
「そんな……」
卑怯だ。
抗議できないようにしてから大勢の前で恥をかかせるなんて酷い。
それに抗議できないということは何を言われようとも俺が認めたと解釈されてしまうではないか。
「それだけルビア嬢はお怒りということだよ。しかも今度はソーウェル伯爵のご令息、セレオン様と婚約したそうだ。下手なことをすればソーウェル伯爵家まで敵にしてしまう」
やはりルビアは酷い女だ。
ソーウェル伯爵家がバックにつけば、この地域一帯では誰も文句を言えなくなってしまう。
俺はこれからもルビアに好き放題されるということか?
「…そのような横暴な振る舞いが許されるというのですか?」
「許されるとも。そういった条件で契約したからな。文句があるなら浮気した自分を責めろ」
浮気とは酷い。
ルビアが酷いから俺はエナに救われたのだし、エナとは身分差があるとはいえ真実の愛がある。
真実の愛を邪魔していたのはルビアだ。
「このような状況ではルビア嬢が口にした処刑も実現してしまうかもな。とにかく問題は起こすな。いいな?」
「………はい」
屈辱だ。
ルビアは俺に何度屈辱を味わわせるというのだ。
きっとソーウェル伯爵家もグルだな。
…………困ったことになってしまった。
* * * * * * * * * *
それからどの貴族からもパーティーに呼ばれることはなかった。
親交のある貴族家からの情報では、俺たちやインガーロ男爵家に関わらないようにしているという。
ソーウェル伯爵家に睨まれたくない気持ちは理解できる。
だが俺とエナが無作法だからというのは侮辱だ。
一度の失敗をそこまで引き摺らなくともいいだろうに。
これも全部ルビアが企んだことに違いない。
俺とエナの幸せを邪魔するために誹謗中傷し仲間外れにしているのだ。
父上経由では抗議できないし、ここは直接俺が抗議するか?
……仕方ない。
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