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柊さん家の響ちゃん

魔法少女になりたかった

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 小さい頃は魔法少女になりたかった。
 でも、小学生にもなってそんなことを言うのは変だから、将来なりたいものを聞かれたら「こーむいんになりたい」って答えるのがいい。

 本当は、ずっと魔法少女になりたかった。

 誰からも愛される魔法少女になんかなれっこないのに。

 本当は隠していないといけない正体がバレてしまっても、大丈夫だよって助けてくれる友達が欲しかった。

 絶体絶命のピンチに駆けつけてくれるヒーローが、
 ずっと一緒にいてくれる使い魔相棒が、
 同じような力を持っていて、なんでも相談できる仲間が欲しかった。

 私にはなんにもなかったから。

 だから、たぶん、そのせいで、私は魔女になった。



 可愛げのない子供だった私はきっと、大人になるあきらめるのが早すぎた。
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