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EP01「〔魔女獄門〕事変」
SCENE-053
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自分の体が不随意に跳ねる。その感覚で、びくりと目が覚めた。
「あっ……?」
目を開けた、という明確な意識もないまま私の視界に飛び込んできたのは、どこをどう見ても、浴室のものとはかけ離れた景色で。
しっとりと暖かい空気に包まれ、ぬくぬくとお湯に浸かっていたはずの体は、肌を覆うものが何もない裸の格好だけはそのまま、肌触りの良いベッドシーツの上に転がされていた。
「なに……?」
むず痒いような感覚があって。目を覚ましたばかりの私が、半分寝惚けた頭で身を捩ると。寝ている女の胸に甘くかじりついていた男が顔を上げ、私の両手を握ってくる。
まるで、そのまま動かないでと、私のことをベッドへ縫い止めるように。
「やっと起きた」
他の誰よりその顔を見慣れているであろう私でも、ともすればうっかり見惚れそうになるほどの美貌にあるかないかの笑みを浮かべて。喜色の滲んだ声とともに私へ覆い被さってくるカガリは、下こそラフなズボンをはいているものの、上半身には何も身に着けていない。
「ここまでしないと目を覚まさないなんて、僕の傍で安心してくれるのは嬉しいけど、さすがにちょっと心配になるよ」
あられもなく開かされた足の間に居座っているカガリが、人の寝込みを襲うような真似をしておきながら、まったく悪びれる様子もなく顔を寄せてくると。薄い布地と、あらぬところに張りついたスライム越しに押しつけられる硬い肉の感触が、私の敏感なところを刺激した。
「うぁっ……」
「ほら、わかる? ミリーがなかなか起きないから、ミリーのここ、すっかり解れてとろとろだよ」
指よりも細くて、限りなく液体に近い柔軟さを備えた触手が、私のお腹の中でのたうっている。
カガリの楽しそうな声で言って聞かされるまで、そこにあると気が付いてもいなかった触手の動きに意識を向けると。私の体で『開いて』いるのが、カガリの膝が割り込んできて閉じられないようにされている足や、舌を捻じ込まれた上の口ばかりではないことにも気付かされて。
「んぅっ……」
疼き、痺れるように体が震えた。
カガリがいちいち、私の気持ち良いところをわかりきったように触ってくるのも悪い。
「酔ってふにゃふにゃしてるミリーも可愛くて好きだけど、さすがに今日もお預けなんて、僕の方が我慢できないから。二人でミードを飲むのはまた今度にしようね」
起き抜けの挨拶にしては深すぎるキスをされながら。カガリから流し込まれる、唾液とも妖蜜ともつかない甘い液体を――こくり、こくりと――飲まされているうちに、ぐずぐずと蕩けきった体の熱を自覚して。
文句を言うどころではなくなってしまった私に、これでもかと甘い声で、カガリが囁いてくる。
……なんの話……?
口の中の弱いところばかりをこれでもかと舐められて。すっかり目をとろんとさせた私が、耳から入ってきた言葉を理解しきれず、ぼんやりしていると。そんな私に気付いたカガリはくすりと笑って。私を見つめる、今にも溶け落ちてきそうなくらい熱っぽく、美しい金の瞳をとろりと細めた。
「昨日もたっぷり慣らしたし。痛くなんてしないから、ミリーは何も心配しなくていいよ」
カガリの〔変化〕でしかなかったズボンが溶けるように消えてなくなると、私の中をまさぐっていた触手も、張りついていたスライムごと離れていって。カガリの体温がいっそう近くなる。
カガリの言う『ミード』が、ハネムーンの語源になった蜂蜜酒のことで。生身の私の初体験を結婚初夜とかけてそんなことを言っているのだと理解できたのは、ベッドの上でカガリともつれ合い、散々喘がされてからのことだった。
「あっ……?」
目を開けた、という明確な意識もないまま私の視界に飛び込んできたのは、どこをどう見ても、浴室のものとはかけ離れた景色で。
しっとりと暖かい空気に包まれ、ぬくぬくとお湯に浸かっていたはずの体は、肌を覆うものが何もない裸の格好だけはそのまま、肌触りの良いベッドシーツの上に転がされていた。
「なに……?」
むず痒いような感覚があって。目を覚ましたばかりの私が、半分寝惚けた頭で身を捩ると。寝ている女の胸に甘くかじりついていた男が顔を上げ、私の両手を握ってくる。
まるで、そのまま動かないでと、私のことをベッドへ縫い止めるように。
「やっと起きた」
他の誰よりその顔を見慣れているであろう私でも、ともすればうっかり見惚れそうになるほどの美貌にあるかないかの笑みを浮かべて。喜色の滲んだ声とともに私へ覆い被さってくるカガリは、下こそラフなズボンをはいているものの、上半身には何も身に着けていない。
「ここまでしないと目を覚まさないなんて、僕の傍で安心してくれるのは嬉しいけど、さすがにちょっと心配になるよ」
あられもなく開かされた足の間に居座っているカガリが、人の寝込みを襲うような真似をしておきながら、まったく悪びれる様子もなく顔を寄せてくると。薄い布地と、あらぬところに張りついたスライム越しに押しつけられる硬い肉の感触が、私の敏感なところを刺激した。
「うぁっ……」
「ほら、わかる? ミリーがなかなか起きないから、ミリーのここ、すっかり解れてとろとろだよ」
指よりも細くて、限りなく液体に近い柔軟さを備えた触手が、私のお腹の中でのたうっている。
カガリの楽しそうな声で言って聞かされるまで、そこにあると気が付いてもいなかった触手の動きに意識を向けると。私の体で『開いて』いるのが、カガリの膝が割り込んできて閉じられないようにされている足や、舌を捻じ込まれた上の口ばかりではないことにも気付かされて。
「んぅっ……」
疼き、痺れるように体が震えた。
カガリがいちいち、私の気持ち良いところをわかりきったように触ってくるのも悪い。
「酔ってふにゃふにゃしてるミリーも可愛くて好きだけど、さすがに今日もお預けなんて、僕の方が我慢できないから。二人でミードを飲むのはまた今度にしようね」
起き抜けの挨拶にしては深すぎるキスをされながら。カガリから流し込まれる、唾液とも妖蜜ともつかない甘い液体を――こくり、こくりと――飲まされているうちに、ぐずぐずと蕩けきった体の熱を自覚して。
文句を言うどころではなくなってしまった私に、これでもかと甘い声で、カガリが囁いてくる。
……なんの話……?
口の中の弱いところばかりをこれでもかと舐められて。すっかり目をとろんとさせた私が、耳から入ってきた言葉を理解しきれず、ぼんやりしていると。そんな私に気付いたカガリはくすりと笑って。私を見つめる、今にも溶け落ちてきそうなくらい熱っぽく、美しい金の瞳をとろりと細めた。
「昨日もたっぷり慣らしたし。痛くなんてしないから、ミリーは何も心配しなくていいよ」
カガリの〔変化〕でしかなかったズボンが溶けるように消えてなくなると、私の中をまさぐっていた触手も、張りついていたスライムごと離れていって。カガリの体温がいっそう近くなる。
カガリの言う『ミード』が、ハネムーンの語源になった蜂蜜酒のことで。生身の私の初体験を結婚初夜とかけてそんなことを言っているのだと理解できたのは、ベッドの上でカガリともつれ合い、散々喘がされてからのことだった。
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