創世樹

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第124話 獅子奮迅

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「――――でりゃあああああッッ!!」



 ――愛する者を取り返す為。大切な弟分を救う為。ガイは獅子奮迅と目の前の屈強な兵士たちに斬りかかっている。




 斬りかかっているとは言っても、なるべく敵を無力化する程度の攻撃に留めていた。軽装歩兵ならば急所を狙って当身で昏倒させ、それ以外も敵の腕や踵を狙い可能な限り命ではなく戦力を削ぐことに努めた。




「パラライズモード……照射。」




 テイテツもまた光線銃ブラスターガンを広域放射して、兵士たちを感電させ、やはり昏倒させた。泡を吹いて次々倒れ、電磁力で麻痺して震えて悶えさせる。




「――サプリでファイトぉぉぉ……百発うううううううッッッ!!」




 イロハも練気発動サプリを服用し、雷撃ハンマーを敵を威嚇するように打ち放ち、同時に設備を次々と破壊し、その活動を不能としていく。





「――イロハ。どうやらこちらの道へ進めば、ガラテア軍の資料室へと至れるようです。エリーとグロウを取り戻すだけでなく、何か役立つ情報が見つかるかも。」




「――ふうーっ……なるほど。でもそうしたらエリーさんとグロウくんを助ける戦力が減るっスよ!? いくら何でもこの先ガイさんだけじゃあ――――」




 ――そう案じると同時に、より訓練された屈強な重装備兵たちが隊列を為してこちらへ猛然と向かってくる――――





「――言ってるそばからこれっス!! 手分けするのは不利じゃあ――――」





「――どいてろ。はああああああ…………ッッ!!」





 ガイが一旦鞘へ納刀し、練気チャクラを強く集中して念じる――――




 迫りくる兵がガイと接触した刹那――――




「――せりゃあああああッッ!!」





 ――――ガイは、まるでカマイタチの如く瞬速の脚運びで二刀を抜き放ち、敵の群れを練気で青白く輝く刃で一網打尽に切り裂いた――――!!





 ――一瞬、重装備兵たちの胴が一様に真っ二つになってしまうが――――





「――ふううう……よし。調子いいぜ。」





 ――元院長との立ち合いで完全に会得した自在活殺剣が決まった。真っ二つにされた兵たちの身体がすぐに練気で繋がり、全員気を失うだけで済んだ。





「――――ビビるな、イロハ。何も俺1人で突貫しようなんて考えてねエ――――」





 ――そうガイが言うが早いか。遠くから激しい爆発音や打撃、撲撃の音が聴こえてくる。





「――お互いに再会しようと戦ってるのは、俺たちだけじゃあねえ。エリー自身も戦いながらこっちへ向かってるんだ――――へっ。やっぱあいつはこの程度で絶望するような女じゃあねえんだよ。」




 ――まだ少し遠いが、戦っているのはエリーも同じだ。ガイを目指している。厳重な警備の研究所内でも、頼れる仲間が2人して同時に近付いているのならば戦力は充分であった。





「――イロハ。テイテツ。俺はまずエリーと合流する。その間にグロウの居場所を突き止めて、連中たちからデータを盗ってきてくれ。幻霧大陸とやらのな。頼んだぜ!」



「了解。」
「了解っス!! 今行くッスよ、グロウくん!!」




 3人は戦力を最小限に見積もり、2手に分かれることにした――――





 <<





 ――一方、中央管制室に到着したばかりのアルスリアとグロウ。ここも人が絶えず走り回り、電源や動力がことごとくやられている。さながら鉄火場であった。




「――メイン電源が完全に破壊されました!! か、閣下!! 指示をッ!!」




 辺りは電源が落ちて薄暗く、サイレンや人の怒声だけが聴こえる有り様だったが、アルスリアはすぐに冷静に、よく通る声で命じた。




「――――速やかに補助電源に切り替え、起動。まずは少しでも電力を回復して監視映像を復活するんだ。動力部をやられたのならなるべく人力で動かす代替プログラムで稼働。非戦闘員もシェルターにて身を守りつつも、具に携帯端末から状況をこちらへ連絡するよう通達。急ぎ給え。」




「――はッ!!」





 ――戦略的にそれほど重要な拠点基地と言うわけではないので兵たちの練度も低いが、冷静に振る舞う上官の鶴の一声ですぐさま狼狽えていた兵たちもやるべき行動やマニュアルを思い出して動く。




 すぐに補助電源が起動し、平生の白熱照明ではなく青みがかった予備照明が中央管制室を足元から照らす。




 アルスリアとグロウが管制室の指揮台に立つと同時に、監視カメラからの映像もすぐに回復した。映っているのは――――




「――――お姉ちゃん!! ガイ!!」




 ――一方のカメラからは一騎当千とばかりに刀を振るうガイが。また一方のカメラからは……衣服もボロボロではあるが、怪力を伴う体術と火炎、そして練気の応用で兵を殴り散らしながら猛然と突き進むエリーの姿が見えた。




「――――やってくれたね。甘く見てしまっていたようだ…………少々、ダーリンを連れてこられた喜びで油断したね――――」




 ――平生のアルカイックスマイルでそう呟くアルスリアだったが、グロウの目には、拳を軋むほど握りしめ、己の失態と悔しさを露わにする様子が見て取れた。




「――――考えろ……考えるんだ…………例え連中が合流してこの研究所を破壊し尽くしたとしても、ダーリンだけは守り抜いて逃げる策を――――!!」




 ――そう呟きながらアルスリアは密かに、ニルヴァ市国でエリーたちに煮え湯を飲ませた『ガラテア式転移玉《テレポボール》』が懐に入っていることを確認した――――
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