創世樹

mk-2

文字の大きさ
159 / 223

第158話 クレイジーモーターサイクル2

しおりを挟む
 ――――イロハは1位を走るレーシングカーの狙撃手の攻撃を躱したものの、後続から来た戦闘機2機のリードを許した。赤い戦闘機は巧みに機体を使ってイロハの進路を塞ぐ。



 このままではまずい――――堪らずイロハは通信ユニットで仲間に助けを乞うた――――




「――グロウ!! あの手で行けッ!! セリーナとエリーは避けろよ!!」



「了解!」
「よっしゃ!!」
「う、うん!! 石たちよ――――!!」



 そうガイの掛け声と共に、グロウは瞬時に周囲の細かい石に練気チャクラを通した――――ニルヴァ市国で身に付けた、練気による石つぶての嵐だ――――



 猛烈な勢いで空を切り、前方を飛ぶ戦闘機目掛けて礫が飛ぶ――――




「――何ッ!? ――うわあああああッッッ!!」




 ――2機の戦闘機のうち、青い方の1機が、機体全体に礫をめり込ませ、やがてコントロールを失う――――




「――くそっ!! もうリタイアかよ……!!」




 このままでは墜落すると判断した青い戦闘機の搭乗者。脱出装置を作動し、機体から宙高く飛び出した。スタート直後の爆発を除いて最初の脱落者の目立つリタイアを見て、観衆はさらに沸き立つ。




 やがて最適な高度と角度でパラシュートが開き、青戦闘機の搭乗者はリタイアしたものの難を逃れた。




「――くそっ!! 何とか逃げたが……ここで相棒をやられちまうのは痛いな……!」




 赤戦闘機の搭乗者も、このままイロハをマークし続ければ青戦闘機に続いて狙われる、と判断したのか高度を上げ、イロハの後方の少し高めの位置にポジショニングした。高めに位置取られると、さすがにグロウも狙いが付けにくく、下手をすれば無関係の観客に礫が当たってしまう。練気チャクラの弓矢も同様だ。威力が高く命中精度も良いが、外れると流れた矢が客に当たりかねない。グロウは一旦ガンバの車内に身を隠した。




 ――だが、赤戦闘機も黙って身を引いたわけではない。前面にバルカン砲とミサイルを装備した機体――――前方にいるレーシングカーの2人、強化機械装甲パワードスーツ、そしてイロハを一網打尽にするつもりだ――――




「――俺たちの邪魔者は消えてもらう……ファイアー!!」




 そう一号すると共に、ミサイルとバルカン砲を同時に撃って来た。まともに当たればひとたまりもない――――




「――てやッ!! せいっ!! はあああッ!!」




 ――間一髪。もう少しでバルカン砲で蜂の巣になるか、ミサイルで粉微塵になってしまうところだったが…………今度は空中走行盤エアリフボードを駆るセリーナが助太刀に入った。大槍でバルカン砲を左右両器とも切り落とし、ミサイルも真っ二つに切り裂いた。やや遅れてミサイル内の火薬が宙で爆散する。




「――何が起きて――――!?」

「――せいやッ!!」




 赤戦闘機の搭乗者は何が起こったのかも解らぬまま、最後に両翼を目にも止まらぬ速さで切り落とされ、そのままゆっくりと後方へ落ちゆく――――



「――うわあっと、危ねえーっ!! よいしょっと……ほいっと――」




 ――すぐ後ろにエリーがいたが……これはお互いにとっても幸運であった。墜落する赤戦闘機をエリーが正面から両腕を使ってキャッチし、勢いを殺した状態で近くの地面に置いて、再び走り出す。




「――なな……くっそお、ここまでかよ!!」




 ――赤戦闘機の搭乗者も悔しさで歯軋りしながらも、いつ爆発するか解らない機体。相棒と同様に脱出装置で遠くへ飛び上がり、パラシュートで安全な地点まで逃げ去っていった。




 瞬く間に赤青戦闘機2機の搭乗者がリタイアし、レースはいよいよ潰し合いの様相を色濃く呈して来たが――――予想を超える挑戦者たちの戦いぶりに観客はなおも熱狂し、歓声を贈った。




 イロハに纏わりつくように飛んでいた戦闘機2機が退場したことで、イロハより後方は仲間たちだけ。後ろを任せて走れる分かなり精神的に楽になったようだ。




「――ふうーっ…………」

「――大丈夫か、イロハ。私が空中から援護する。安心して走れ!!」




「――ハイっス!!」




 ――セリーナに援護されながら、イロハは『黒風』のギアを上げ、一気に強化機械装甲とレーシングカーを抜き去り、トップに躍り出た!!




 セリーナも同様に空中走行盤の出力を上げ、イロハの頭上まで追いつこうとした。




 次の瞬間――――




「――――なッ……に――――!?」



 ――セリーナの片脚が、『黒い手』でしっかりと掴まれている。




 セリーナが頭上に来た瞬間、強化機械装甲が突然高々とジャンプし、そのままセリーナを掴んだのだ――――繊細なバランス制御が必要な空中走行盤。堪らずセリーナは崩れ落ちそうになる――――




「――くっ……はな――――うわあッ!!」




「――セリーナさーんッ!!」


「――セリーナッ!!」




 ――セリーナの脚を掴んだ強化機械装甲は、そのまま容赦なくセリーナを引き摺り落とし、遙か遠方へ投げ飛ばした――――円形闘技場を転がり、壁に激突するセリーナ。




 戦闘機2機が脱落したかと思えば、瞬く間にセリーナも脱落となってしまった…………そこでちょうど一周目が終わった――――




 現在順位、1位イロハ。2位レーシングカー。3位強化機械装甲、4位エリー、5位ガンバのガイとグロウ――――
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...