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第183話 最悪の征服
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「――――ぐッ……ばか、な……てめえ……何でこんなとこに――――!!」
――強烈なプレッシャーに這いつくばるガイ。他の一行も同様だ。
無理もない。こんな嫌な感覚を味合わせて来るのはただ1人――――
「――アル……スリア…………!! どうしてここが解ったんだ…………!?」
――聖地『苗床』の天の穴から降下して来たのは、言わずもがな『種子の女』でもあり宿敵であるアルスリアだった。即座にプレッシャーを放ち、一気に場を制圧する。
「――――種明かしをしてもいいかな……ダーリン。君の後を尾行させてもらったのさ。発信器なんかよりも正確に手に取るように解る、私の種子による現在地捕捉でね。」
片手に練気の羅針盤を掲げるアルスリア。針はしっかりと這いつくばるグロウへと向いている。
「……前にリオンハルトがエリー=アナジストンにやったことと手段はそう変わらないが……私の種子は探知機なんかではまず見付けられないよ。とはいえ、練気を集中されれば何度か見破られる危険があった……気付かれずにグロウに貼りつき続けたのは幸運だったよ――」
「――なん……だって…………!? これは――――!!」
――グロウは平伏しながらも自身の練気を集中して全身の感覚を研ぎ澄ます。旅装束の端に、僅かにオレンジ色に光る種子が見えた――――
「――それにしても……ガラテアの調査機関で始祖民族や創世樹のシステムは結構知っているつもりだったけど……まさか『苗床』から働きかけて二柱の神の記憶と意識を初期化修復して意志力を不能にする機能があったなんてね。危ない危ない――――」
――アルスリアは平生のアルカイックスマイルのまま、脇に携えていたグレネードランチャーを構え――――祭壇ごと、『苗床』を破壊してしまった。
「――これでもう、初期化修復なんて危険は無い。この土の上で念じれば、『種子の女』である私でも創世樹を召喚することが出来るはず――――そこの始祖民族の、長、かな? 私に協力し給え。」
「――あ、ああ、あああ――――」
――酋長もアルスリアのプレッシャーにやられ、重圧と恐怖でまともに身動きが取れない。ましてや始祖民族で言う男神と同等の存在である女神が目の前で命令してきている。酋長はなお畏怖の念で凍り付き、汗が噴き出す。
「――? その手に持っているのは……何か書かれている石板、か。どれどれ――――」
「――っくそッ…………!!」
――エリーたちはプレッシャーに必死で抵抗するが、心なしか以前味わったものよりさらに数段強く重く感じる。全く身動き出来ない。
当のアルスリアは、まるでエリーたちをマネキン人形か何かを通り過ぎるかのように歯牙にもかけず酋長に歩き寄る。
「――これは……始祖民族の文字、か? さすがに私にも読めないな…………君、読んでくれないかね?」
「――ううう、あ、ああああ――――」
アルスリアは石板を手に取り、酋長に命じるが、酋長は舌も回らぬほど緊張している。
「――やれやれ。私を畏れるあまり会話もままならないか。ならば、君から情報だけ読み取らせてもらうよ――――」
そう告げるなり、アルスリアは右手の羅針盤を一旦消し、人差し指と中指を立てて酋長の額に突き立てて、練気を集中した――――
「――なになに…………これは――――ふっ…………あはははははっ!! なんてことだ! 素晴らしい情報が手に入ってしまったよ! 初期化修復に加え、二柱の神の片方の情報干渉《ハッキング》とは…………これでダーリンが抵抗しても、簡単に私の虜に出来るじゃあないか。実に……実に良いことを知った――――!!」
――どうやらアルスリアは触れた対象から情報を読み取れるようだ。相手が自分と縁の深い始祖民族だからか、なお克明に読み取れたようだ。実に最悪のパターンだ――
「――さて。文字や言語の情報も読み取れたことだし、酋長の君にもう用は無いが、そうだな……念の為、私に従わせておくか――――女神が種子を以て命じる。眷属よ。お前はもう人間をやめろ。私の忠実な奴隷となれ――――」
「――うあっ……!?」
さらにアルスリアが念じると、練気の種子が飛び、酋長の脳へと沈み込んでいった――――眷属としての、女神に平伏する畏敬の念という『土壌』に、支配の種を埋め込ませ、芽吹かせたのだ。
「――――承知致しました。女神様。貴女様にお仕えいたします。」
――酋長はついに、意思の無い木偶人形へと変えられてしまった。ふらふらとアルスリアに付き従う。
「よし。では苗床の土の上で……」
アルスリアは、破壊した祭壇に埋もれる土の上で、強く念じた。
「――――我らが星を統制する世界樹、創世樹よ。時は満ちれり! 汝の姿を、我らが母なる大地のもとへ現界し給え――――!!」
――すると、土から針のような芽が鋭く伸びて発光し…………やがてこの大陸全土が鳴動し始めた――――
「――あっ、あ……あ…………!!」
「ふふふ。さあ行こうダーリン。ついに私たちの結婚式場は現れた! これから、私たちの本懐を遂げる時が来たのさ。」
アルスリアは、飽くまでもグロウにだけは優しく抱き寄せ、洞窟の天から去ろうとする。
「――――待……て…………ッ……この――――」
エリーが練気の力を一気に開放し、身体を強引に動かすが、アルスリアに追いつけない――
「――おや。君たち私なんかに構っている場合かな? 既にガラテア軍は始祖民族の集落を制圧した。今頃大量殺戮が執行されているはずだよ? では――――」
「――!? なん、だと……てめ、え――――!!」
――ガイの声を尻目に、アルスリアはグロウと酋長を連れ飛び去ってしまった。集落では今頃殺戮が執行されていると告げて――――
――強烈なプレッシャーに這いつくばるガイ。他の一行も同様だ。
無理もない。こんな嫌な感覚を味合わせて来るのはただ1人――――
「――アル……スリア…………!! どうしてここが解ったんだ…………!?」
――聖地『苗床』の天の穴から降下して来たのは、言わずもがな『種子の女』でもあり宿敵であるアルスリアだった。即座にプレッシャーを放ち、一気に場を制圧する。
「――――種明かしをしてもいいかな……ダーリン。君の後を尾行させてもらったのさ。発信器なんかよりも正確に手に取るように解る、私の種子による現在地捕捉でね。」
片手に練気の羅針盤を掲げるアルスリア。針はしっかりと這いつくばるグロウへと向いている。
「……前にリオンハルトがエリー=アナジストンにやったことと手段はそう変わらないが……私の種子は探知機なんかではまず見付けられないよ。とはいえ、練気を集中されれば何度か見破られる危険があった……気付かれずにグロウに貼りつき続けたのは幸運だったよ――」
「――なん……だって…………!? これは――――!!」
――グロウは平伏しながらも自身の練気を集中して全身の感覚を研ぎ澄ます。旅装束の端に、僅かにオレンジ色に光る種子が見えた――――
「――それにしても……ガラテアの調査機関で始祖民族や創世樹のシステムは結構知っているつもりだったけど……まさか『苗床』から働きかけて二柱の神の記憶と意識を初期化修復して意志力を不能にする機能があったなんてね。危ない危ない――――」
――アルスリアは平生のアルカイックスマイルのまま、脇に携えていたグレネードランチャーを構え――――祭壇ごと、『苗床』を破壊してしまった。
「――これでもう、初期化修復なんて危険は無い。この土の上で念じれば、『種子の女』である私でも創世樹を召喚することが出来るはず――――そこの始祖民族の、長、かな? 私に協力し給え。」
「――あ、ああ、あああ――――」
――酋長もアルスリアのプレッシャーにやられ、重圧と恐怖でまともに身動きが取れない。ましてや始祖民族で言う男神と同等の存在である女神が目の前で命令してきている。酋長はなお畏怖の念で凍り付き、汗が噴き出す。
「――? その手に持っているのは……何か書かれている石板、か。どれどれ――――」
「――っくそッ…………!!」
――エリーたちはプレッシャーに必死で抵抗するが、心なしか以前味わったものよりさらに数段強く重く感じる。全く身動き出来ない。
当のアルスリアは、まるでエリーたちをマネキン人形か何かを通り過ぎるかのように歯牙にもかけず酋長に歩き寄る。
「――これは……始祖民族の文字、か? さすがに私にも読めないな…………君、読んでくれないかね?」
「――ううう、あ、ああああ――――」
アルスリアは石板を手に取り、酋長に命じるが、酋長は舌も回らぬほど緊張している。
「――やれやれ。私を畏れるあまり会話もままならないか。ならば、君から情報だけ読み取らせてもらうよ――――」
そう告げるなり、アルスリアは右手の羅針盤を一旦消し、人差し指と中指を立てて酋長の額に突き立てて、練気を集中した――――
「――なになに…………これは――――ふっ…………あはははははっ!! なんてことだ! 素晴らしい情報が手に入ってしまったよ! 初期化修復に加え、二柱の神の片方の情報干渉《ハッキング》とは…………これでダーリンが抵抗しても、簡単に私の虜に出来るじゃあないか。実に……実に良いことを知った――――!!」
――どうやらアルスリアは触れた対象から情報を読み取れるようだ。相手が自分と縁の深い始祖民族だからか、なお克明に読み取れたようだ。実に最悪のパターンだ――
「――さて。文字や言語の情報も読み取れたことだし、酋長の君にもう用は無いが、そうだな……念の為、私に従わせておくか――――女神が種子を以て命じる。眷属よ。お前はもう人間をやめろ。私の忠実な奴隷となれ――――」
「――うあっ……!?」
さらにアルスリアが念じると、練気の種子が飛び、酋長の脳へと沈み込んでいった――――眷属としての、女神に平伏する畏敬の念という『土壌』に、支配の種を埋め込ませ、芽吹かせたのだ。
「――――承知致しました。女神様。貴女様にお仕えいたします。」
――酋長はついに、意思の無い木偶人形へと変えられてしまった。ふらふらとアルスリアに付き従う。
「よし。では苗床の土の上で……」
アルスリアは、破壊した祭壇に埋もれる土の上で、強く念じた。
「――――我らが星を統制する世界樹、創世樹よ。時は満ちれり! 汝の姿を、我らが母なる大地のもとへ現界し給え――――!!」
――すると、土から針のような芽が鋭く伸びて発光し…………やがてこの大陸全土が鳴動し始めた――――
「――あっ、あ……あ…………!!」
「ふふふ。さあ行こうダーリン。ついに私たちの結婚式場は現れた! これから、私たちの本懐を遂げる時が来たのさ。」
アルスリアは、飽くまでもグロウにだけは優しく抱き寄せ、洞窟の天から去ろうとする。
「――――待……て…………ッ……この――――」
エリーが練気の力を一気に開放し、身体を強引に動かすが、アルスリアに追いつけない――
「――おや。君たち私なんかに構っている場合かな? 既にガラテア軍は始祖民族の集落を制圧した。今頃大量殺戮が執行されているはずだよ? では――――」
「――!? なん、だと……てめ、え――――!!」
――ガイの声を尻目に、アルスリアはグロウと酋長を連れ飛び去ってしまった。集落では今頃殺戮が執行されていると告げて――――
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