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第48話 レトロゲームショップの雰囲気
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「――――あら。ヨウヘイ。街中で会うなんて珍しゅうござりんすね。ペスコ=コーシャ……ペコも一緒に。」
――店の営業時間も過ぎた夕方頃。ヨウヘイとペコは早速、レトロゲームショップを探して街中を歩いていた。
そこへたまたま時間が空いたのだろうか。マユとばったりと出会った。
「――よお、マユ。ペコがたまたま古いゲーム類を実家から送られてよ。せっかくだから他にもゲームがないかショップに行くとこなんだよ。」
後ろを歩くペコは、リュックサックに祖国イタリア、つまりはヨーロッパ圏から送られて来たゲーム機とソフトを何本か、そして変換機など周辺機器を入れて担いでいる。
「へえ、ゲームを? わっちはようわかりんせんが、新しい趣味を得たわけでありんすね。それで二人でデート?」
「――――だーから、そういう関係じゃあないって……誤解すんなー。誤解。」
「――喫茶RICH&POORの常連様。上御得意サマ。こんなところでお会いスルなんて……美の女神からのお導きを感じずにいられないデース……デモ……その前に、ホントにボクとセンパイは恋人じゃあないデース!! ボクが惹かれ、恋焦がれるのは…………そう! 例えるなら、貴女様のようなステキなオナゴデースよ、ヒビキ=マユさま……。」
――男二人だが、ペコが一見するとユニセックスの女性寄りなファッションでいるせいか、見ようによっては恋人同士でデートしているように見えてしまうのだった。そこを弄くられ、ヨウヘイは脱力して俯き、ペコは常連の美女に気障な物言いをする。
「くくく。冗談でありんす。パッと見、男女の仲……いや、オトコとオトコの仲に見えんすが、もう何と言うか醸し出している雰囲気や距離感が全然恋仲に感じない。幼い従兄弟同士って感じぐらいしかしないでありんす。」
――以前も『ルームシェアしている二人は付き合ってるのか』と誤解したような反応をしたマユだったが、やはりヨウヘイをからかっているだけだったようだ。人間関係や精神状態を感じ取るセンサーのようなモノの鋭い人は、恋仲かそうでないかは見ただけで理解出来るものだ。そういった感性はやや女性に多いだろうか。
「――――そんな…………ボクとヨウヘイセンパイが……従兄弟程度…………。」
「――そんなにショックか、ああコラァ!?」
幼い従兄弟同士が往来を歩いているようだ、と正直な感想を述べたマユだったが、何やら露骨にショックを受けるペコにヨウヘイも心外、とばかりに激昂してしまう。
「ふふふ……そんなだから余計従兄弟か親戚同士に見えちまいましんす。そういう意味ではお似合いでありんすよ――――あれ? ぬしの言っているゲームショップって……ここじゃあ?」
――子供っぽく些細なことで諍うヨウヘイとペコを見て、ますます可笑しくて意地悪く笑ってしまうマユだったが、ふと周囲を見ると……どうやら既に目的地のゲームショップに辿り着いていたようだ。
「――お? おお、ここだここだ。」
ヨウヘイが店の外装を見遣ると、建物自体はそこそこ年季が入っているが、レトロゲームを扱う店にありがちな通路の狭さや暗さ、不衛生さは感じられない。掃除も商品の陳列も行き届いている。目玉商品などをPRするPOPも、これも手描きなのだろうか。作品のキャラクターなどを愛嬌たっぷりにマーカーペンなどで描き「売れ過ぎ!! 今年30周年を迎える不朽の名作!!」などと煽り文句が書かれ、とても作り込みに凝っている。
「――ウーン……このカラフルなんだけどポップで品の良い感じ…………ボク、結構好きデース! 内装も凝ってるのカナー?」
ペコが一足先に店内に入り、ヨウヘイも後を追って入っていった――――
>>
「――あっ、いらっしゃいませー。」
――店内で商品の陳列などの作業をしている店員は、眼鏡を掛けて緑色が特徴的なシャツを着た、何となく気の優しそうな青年だった。他に店員はいないのだろうか。
「――あれっ? マユ、おめえも何か用があんのか?」
ゲーム関係とは縁が遠そうなマユも、気が付けばヨウヘイに続いて店内に入っていた。
「――いやその…………そういえばオペレーターのフジムラとか職員たちとか……ゲーム好きな職員が結構いたなあと思って……ボーナスも兼ねて何か見繕うかな、と。ゲームは全然わからねえけれど……。」
――マユにしてはちょっと気まぐれな買い物。何か妙な感覚もするが、取り敢えずヨウヘイもペコの後に続いていった。
「――Excuse me。アナタ、ここの店員サンデースよネ? ボクの持ってるコレ、海外の……イターリアから持って来たモノなんデスケド……」
「――えっ、あっ、ハイ…………海外のハードとソフトか…………か、買い取りをご希望ですか?」
――ペコが話しかけてきて、続いてマユが入って来て途端に店員の青年は顔を赤くして緊張した面持ちで接客してくれた。
レトロゲームショップに似つかわしくない、見目麗しい美女が2人…………もとい。美女が1人と独特のファッションセンスの青年が1人なのだが、店員の彼は急にセクシーな美女とカワイイ美少女が入って来たように思ったので、露骨に緊張してしまう。
(――こいつもチェリーボーイなクチかあ……最初にこの2人に会った反応が俺とほぼ同じだぜ……。)
「――イエ。日ノ本製のTVモニターでも使えるように変換機を使ってるんデースケド……他にも日ノ本用のソフトで対応しているモノはないかなーと思っテ。そういうコーナー、アリマス?」
「――そ、そうですか……少々お待ちください……それなら…………。」
――店員との相談が始まった――――
――店の営業時間も過ぎた夕方頃。ヨウヘイとペコは早速、レトロゲームショップを探して街中を歩いていた。
そこへたまたま時間が空いたのだろうか。マユとばったりと出会った。
「――よお、マユ。ペコがたまたま古いゲーム類を実家から送られてよ。せっかくだから他にもゲームがないかショップに行くとこなんだよ。」
後ろを歩くペコは、リュックサックに祖国イタリア、つまりはヨーロッパ圏から送られて来たゲーム機とソフトを何本か、そして変換機など周辺機器を入れて担いでいる。
「へえ、ゲームを? わっちはようわかりんせんが、新しい趣味を得たわけでありんすね。それで二人でデート?」
「――――だーから、そういう関係じゃあないって……誤解すんなー。誤解。」
「――喫茶RICH&POORの常連様。上御得意サマ。こんなところでお会いスルなんて……美の女神からのお導きを感じずにいられないデース……デモ……その前に、ホントにボクとセンパイは恋人じゃあないデース!! ボクが惹かれ、恋焦がれるのは…………そう! 例えるなら、貴女様のようなステキなオナゴデースよ、ヒビキ=マユさま……。」
――男二人だが、ペコが一見するとユニセックスの女性寄りなファッションでいるせいか、見ようによっては恋人同士でデートしているように見えてしまうのだった。そこを弄くられ、ヨウヘイは脱力して俯き、ペコは常連の美女に気障な物言いをする。
「くくく。冗談でありんす。パッと見、男女の仲……いや、オトコとオトコの仲に見えんすが、もう何と言うか醸し出している雰囲気や距離感が全然恋仲に感じない。幼い従兄弟同士って感じぐらいしかしないでありんす。」
――以前も『ルームシェアしている二人は付き合ってるのか』と誤解したような反応をしたマユだったが、やはりヨウヘイをからかっているだけだったようだ。人間関係や精神状態を感じ取るセンサーのようなモノの鋭い人は、恋仲かそうでないかは見ただけで理解出来るものだ。そういった感性はやや女性に多いだろうか。
「――――そんな…………ボクとヨウヘイセンパイが……従兄弟程度…………。」
「――そんなにショックか、ああコラァ!?」
幼い従兄弟同士が往来を歩いているようだ、と正直な感想を述べたマユだったが、何やら露骨にショックを受けるペコにヨウヘイも心外、とばかりに激昂してしまう。
「ふふふ……そんなだから余計従兄弟か親戚同士に見えちまいましんす。そういう意味ではお似合いでありんすよ――――あれ? ぬしの言っているゲームショップって……ここじゃあ?」
――子供っぽく些細なことで諍うヨウヘイとペコを見て、ますます可笑しくて意地悪く笑ってしまうマユだったが、ふと周囲を見ると……どうやら既に目的地のゲームショップに辿り着いていたようだ。
「――お? おお、ここだここだ。」
ヨウヘイが店の外装を見遣ると、建物自体はそこそこ年季が入っているが、レトロゲームを扱う店にありがちな通路の狭さや暗さ、不衛生さは感じられない。掃除も商品の陳列も行き届いている。目玉商品などをPRするPOPも、これも手描きなのだろうか。作品のキャラクターなどを愛嬌たっぷりにマーカーペンなどで描き「売れ過ぎ!! 今年30周年を迎える不朽の名作!!」などと煽り文句が書かれ、とても作り込みに凝っている。
「――ウーン……このカラフルなんだけどポップで品の良い感じ…………ボク、結構好きデース! 内装も凝ってるのカナー?」
ペコが一足先に店内に入り、ヨウヘイも後を追って入っていった――――
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「――あっ、いらっしゃいませー。」
――店内で商品の陳列などの作業をしている店員は、眼鏡を掛けて緑色が特徴的なシャツを着た、何となく気の優しそうな青年だった。他に店員はいないのだろうか。
「――あれっ? マユ、おめえも何か用があんのか?」
ゲーム関係とは縁が遠そうなマユも、気が付けばヨウヘイに続いて店内に入っていた。
「――いやその…………そういえばオペレーターのフジムラとか職員たちとか……ゲーム好きな職員が結構いたなあと思って……ボーナスも兼ねて何か見繕うかな、と。ゲームは全然わからねえけれど……。」
――マユにしてはちょっと気まぐれな買い物。何か妙な感覚もするが、取り敢えずヨウヘイもペコの後に続いていった。
「――Excuse me。アナタ、ここの店員サンデースよネ? ボクの持ってるコレ、海外の……イターリアから持って来たモノなんデスケド……」
「――えっ、あっ、ハイ…………海外のハードとソフトか…………か、買い取りをご希望ですか?」
――ペコが話しかけてきて、続いてマユが入って来て途端に店員の青年は顔を赤くして緊張した面持ちで接客してくれた。
レトロゲームショップに似つかわしくない、見目麗しい美女が2人…………もとい。美女が1人と独特のファッションセンスの青年が1人なのだが、店員の彼は急にセクシーな美女とカワイイ美少女が入って来たように思ったので、露骨に緊張してしまう。
(――こいつもチェリーボーイなクチかあ……最初にこの2人に会った反応が俺とほぼ同じだぜ……。)
「――イエ。日ノ本製のTVモニターでも使えるように変換機を使ってるんデースケド……他にも日ノ本用のソフトで対応しているモノはないかなーと思っテ。そういうコーナー、アリマス?」
「――そ、そうですか……少々お待ちください……それなら…………。」
――店員との相談が始まった――――
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