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クラス長、帰還。
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彼が入院して一週間。
あれからまるで何も無かったかのように、ただ漠然と過ぎていく時間は私達の不安を煽り、苛立ちを募らせていた。
「やっぱりさ~。山棟蛇で決まりなんだから、仇を討ちたいならとっととヤっちゃった方いいと思うの~」
口を開いたのはB組のクラス長牛追。元ゾディアックの一人だ。
のたのたした話し方は夕日に眠気を感じているわけではない。
馬鹿なのだ。
無駄にでかい乳は会話からも素早さを奪うらしい。
「でもでも~。メーちゃんは~、謝っちゃったほうがいいと思うのですよ~。やっぱりゾディアックに逆らうのは~とっても怖い事だと思うのですよ~」
ほわほわと喋るこいつはC組の有川。
同じく元ゾディアックで、牛追の従姉妹。
同じく馬鹿だ。
「そんなのダメよ~ダメダメ~。謝ったらますます舐められちゃうし~。アタシ達はいつでもヤる準備は出来てるから~」
牛追も馬鹿なりに考えてはいるようだ。ゾディアックに選ばれるだけの事はある。
牛追率いるB組は好戦的。有川のC組は厭線的。
A組は――半々だ。
やはりあんな光景を目にしてしまえば仕方の無い事だとも言える。
私達には、圧倒的に覚悟が足りなかった。
彼が屋上から落ちた時間。D組の山棟蛇は教室に居なかった。
そんな情報が入った今でさえ、こうして会議を開くだけ。
「京子の話じゃ神崎君が帰ってくるまで最低でも一ヶ月はかかるみたいだし、それでも学園に戻ってくるかは分からないよね……」
クラスメイトの不安も理解できる。
『ゾディアックと闘う』
そう決めたのは彼の言葉があったからこそ。
彼がいなくなった今、その結束力は目に見えて危ういモノとなっている。
はたして彼は殺されかけてまで戻ってくるのだろうか。その疑念はぬぐえない。
「私が――決闘を申し込む」
「え~? 無理でしょ~。その身体じゃ勝てるわけないって~」
包帯が巻かれた私の身体を見て、乳が乳を揺らした。
「そうですよ~。おおかみさんが強いのは知ってますけど~。へびさんも怖いのですよ~」
「それでも……何もせずにいるよりはマシだ……」
彼の代わりにはなれない。それは分かってる。
でもこのままでは、折角彼を中心に纏まりかけた想い、それが崩れてしまうような。
「それだったら私がやる!」
「それなら私!」
「いや、私がやるよ!」
クラスメイトが次々と手を上げる。
いつかも見たその光景に、嬉しさが込み上げてきた。
「私達だって闘える。愛染君が戻るまで、皆で闘っていこうよ!」
――私も。――私も。と挙がる手は、前は煩わしかった学生の悪ノリだ。
隅からしかめ面で眺めてた光景を、今は笑って見ていられる。
心地良ささえ――感じた。
「じゃあ僕もやるよ」
背後から聞こえた声に、心臓がドキンと跳ね上がる。
興奮してキャーキャー騒ぐ女子を馬鹿だと思っていたが。
「えっと……ただいま」
今なら少しだけ――その気持ちが分かる。
あれからまるで何も無かったかのように、ただ漠然と過ぎていく時間は私達の不安を煽り、苛立ちを募らせていた。
「やっぱりさ~。山棟蛇で決まりなんだから、仇を討ちたいならとっととヤっちゃった方いいと思うの~」
口を開いたのはB組のクラス長牛追。元ゾディアックの一人だ。
のたのたした話し方は夕日に眠気を感じているわけではない。
馬鹿なのだ。
無駄にでかい乳は会話からも素早さを奪うらしい。
「でもでも~。メーちゃんは~、謝っちゃったほうがいいと思うのですよ~。やっぱりゾディアックに逆らうのは~とっても怖い事だと思うのですよ~」
ほわほわと喋るこいつはC組の有川。
同じく元ゾディアックで、牛追の従姉妹。
同じく馬鹿だ。
「そんなのダメよ~ダメダメ~。謝ったらますます舐められちゃうし~。アタシ達はいつでもヤる準備は出来てるから~」
牛追も馬鹿なりに考えてはいるようだ。ゾディアックに選ばれるだけの事はある。
牛追率いるB組は好戦的。有川のC組は厭線的。
A組は――半々だ。
やはりあんな光景を目にしてしまえば仕方の無い事だとも言える。
私達には、圧倒的に覚悟が足りなかった。
彼が屋上から落ちた時間。D組の山棟蛇は教室に居なかった。
そんな情報が入った今でさえ、こうして会議を開くだけ。
「京子の話じゃ神崎君が帰ってくるまで最低でも一ヶ月はかかるみたいだし、それでも学園に戻ってくるかは分からないよね……」
クラスメイトの不安も理解できる。
『ゾディアックと闘う』
そう決めたのは彼の言葉があったからこそ。
彼がいなくなった今、その結束力は目に見えて危ういモノとなっている。
はたして彼は殺されかけてまで戻ってくるのだろうか。その疑念はぬぐえない。
「私が――決闘を申し込む」
「え~? 無理でしょ~。その身体じゃ勝てるわけないって~」
包帯が巻かれた私の身体を見て、乳が乳を揺らした。
「そうですよ~。おおかみさんが強いのは知ってますけど~。へびさんも怖いのですよ~」
「それでも……何もせずにいるよりはマシだ……」
彼の代わりにはなれない。それは分かってる。
でもこのままでは、折角彼を中心に纏まりかけた想い、それが崩れてしまうような。
「それだったら私がやる!」
「それなら私!」
「いや、私がやるよ!」
クラスメイトが次々と手を上げる。
いつかも見たその光景に、嬉しさが込み上げてきた。
「私達だって闘える。愛染君が戻るまで、皆で闘っていこうよ!」
――私も。――私も。と挙がる手は、前は煩わしかった学生の悪ノリだ。
隅からしかめ面で眺めてた光景を、今は笑って見ていられる。
心地良ささえ――感じた。
「じゃあ僕もやるよ」
背後から聞こえた声に、心臓がドキンと跳ね上がる。
興奮してキャーキャー騒ぐ女子を馬鹿だと思っていたが。
「えっと……ただいま」
今なら少しだけ――その気持ちが分かる。
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