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最終章
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『ああ、尊き魂よ。
そなたには申し訳ないことをした。
そなたにはただ幸せに暮らしてもらいたかってたのだ』
「大丈夫ですよ、創造神さま。
私は十分に幸せでした。
だから、私は私の大切な者たちを守りたい。
どうかもう一度地上に行かせてください。
破壊神の封印ももう限界なのでしょう?」
『その通りだ。
関与せずにいられることもできる。
だが、それがそなたの望みなのだな』
「はい」
気持ちが正しく伝わるように、ただまっすぐと創造神の方を見る。
『わかった。
そなたを地上へと戻そう。
だがそのあとはどうする?
聖心力は生命力と直結する。
破壊神を完全に消せば、そなたのアーネミリアとしての生は終わってしまうとわかっておるのだろう?』
「はい。
それは覚悟の上です。
みんなにちゃんと説明できないこと、それだけが心残りだけれど……」
『覚悟は硬いようだな。
楽園で暮らすも、地上へ転生するも、地球へ転生するも好きにするがよい』
「ありがとうございます。
……一つだけ、聞きたいことがあります。
私のこの16年は意味があるものでしたか……?」
もし、私がこの世界にきた時点でこれを思い出していたら、ケガをする人も亡くなる人もいなかったはずだ。私が、のうのうと暮らしていたこの16年は……。
『意味があったかはそなたが一番よく知っているであろう。
それにな、この力は使うのに様々な制約がある。
それは器の成長だったり、幸福だったり……。
この16年はアーネミリア・オリベルトという人間があやつを消し去る力をためるのに必要な時間であった』
ああ、よかった。言い切ってくれたことにほっとする自分が情けないけれど、でも家族や師匠、ルカたちとの時間を否定しないでいいのはどれほど嬉しいことだろう。
『あやつらのもとで聖心力は充分に溜まった。
きっと今度は……』
「はい、ありがとうございます。
……、この戦いが終わったら私の魂はーーー」
次の生に関して、もう決まっていた願いを口にする。するとすぐにうなずいてくれた。
『ああ、わかった。
そのようにしよう。
地上へは来た扉を戻ればいけるようにした。
破壊神のこと、頼んだ』
「はい」
創造神との会話を終え、楽園へと意識が戻ってくる。
さて、これから地上へ戻りなんとしてでも破壊神を止めなくてはいけない。今地上で生きるすべての大切な人たちのために。
「もう行くのか?」
「はい。
一つ聞いてもいいでしょうか?」
「ああ」
「私がここへ来るためのカギとはいったい何だったのですか?」
この空間へ来る前、ランスが言っていたのが気になっていたのだ。
「それは、君が聖魔法を完全に使うことだ」
それだけ?
ついそう思ってしまった。でもそれを私は十六年間できなかったのだから、案外難しいことなのかもしれない。
さて、答えもわかったことだし、地上に戻らなければ。
「短い時間でしたが、会えてよかった」
「ああ……。
どうしても地上へ行くというのならば、私の力も持っていてくれないか?
私はもう十分すぎるほどに生きた」
カルベアの思ってもみなかった提案に、彼をじっと見つめてしまう。どうしてそんなことを言うのだろうか。
「リディア、君は変わらない。
なら、私は変わらず君の力になるだけだ」
そういって、彼が近づいてくる。そして私の手を握るとそこから力をそそぎはじめた。
「カルベア!?
やめて……!」
「やめないよ。
君が私の願いを聞いてくれないのなら、私も自由にするまでだ」
そして少しすると、カルベアは手を離した。やつれたように見えるがまだ生きていることに安心した。
「でも、君が破壊神を倒すのを見守るまでは死ねないからな。
これぐらいにしておくよ。
さあ、行くといい」
そういってカルベアは背中を押してくれる。
ああ、なんて心強いのだろう。カルベアの力が体に満ちている。
「うん!
行ってくるね」
子供たちにも見守られながら、私は扉をくぐった。
そなたには申し訳ないことをした。
そなたにはただ幸せに暮らしてもらいたかってたのだ』
「大丈夫ですよ、創造神さま。
私は十分に幸せでした。
だから、私は私の大切な者たちを守りたい。
どうかもう一度地上に行かせてください。
破壊神の封印ももう限界なのでしょう?」
『その通りだ。
関与せずにいられることもできる。
だが、それがそなたの望みなのだな』
「はい」
気持ちが正しく伝わるように、ただまっすぐと創造神の方を見る。
『わかった。
そなたを地上へと戻そう。
だがそのあとはどうする?
聖心力は生命力と直結する。
破壊神を完全に消せば、そなたのアーネミリアとしての生は終わってしまうとわかっておるのだろう?』
「はい。
それは覚悟の上です。
みんなにちゃんと説明できないこと、それだけが心残りだけれど……」
『覚悟は硬いようだな。
楽園で暮らすも、地上へ転生するも、地球へ転生するも好きにするがよい』
「ありがとうございます。
……一つだけ、聞きたいことがあります。
私のこの16年は意味があるものでしたか……?」
もし、私がこの世界にきた時点でこれを思い出していたら、ケガをする人も亡くなる人もいなかったはずだ。私が、のうのうと暮らしていたこの16年は……。
『意味があったかはそなたが一番よく知っているであろう。
それにな、この力は使うのに様々な制約がある。
それは器の成長だったり、幸福だったり……。
この16年はアーネミリア・オリベルトという人間があやつを消し去る力をためるのに必要な時間であった』
ああ、よかった。言い切ってくれたことにほっとする自分が情けないけれど、でも家族や師匠、ルカたちとの時間を否定しないでいいのはどれほど嬉しいことだろう。
『あやつらのもとで聖心力は充分に溜まった。
きっと今度は……』
「はい、ありがとうございます。
……、この戦いが終わったら私の魂はーーー」
次の生に関して、もう決まっていた願いを口にする。するとすぐにうなずいてくれた。
『ああ、わかった。
そのようにしよう。
地上へは来た扉を戻ればいけるようにした。
破壊神のこと、頼んだ』
「はい」
創造神との会話を終え、楽園へと意識が戻ってくる。
さて、これから地上へ戻りなんとしてでも破壊神を止めなくてはいけない。今地上で生きるすべての大切な人たちのために。
「もう行くのか?」
「はい。
一つ聞いてもいいでしょうか?」
「ああ」
「私がここへ来るためのカギとはいったい何だったのですか?」
この空間へ来る前、ランスが言っていたのが気になっていたのだ。
「それは、君が聖魔法を完全に使うことだ」
それだけ?
ついそう思ってしまった。でもそれを私は十六年間できなかったのだから、案外難しいことなのかもしれない。
さて、答えもわかったことだし、地上に戻らなければ。
「短い時間でしたが、会えてよかった」
「ああ……。
どうしても地上へ行くというのならば、私の力も持っていてくれないか?
私はもう十分すぎるほどに生きた」
カルベアの思ってもみなかった提案に、彼をじっと見つめてしまう。どうしてそんなことを言うのだろうか。
「リディア、君は変わらない。
なら、私は変わらず君の力になるだけだ」
そういって、彼が近づいてくる。そして私の手を握るとそこから力をそそぎはじめた。
「カルベア!?
やめて……!」
「やめないよ。
君が私の願いを聞いてくれないのなら、私も自由にするまでだ」
そして少しすると、カルベアは手を離した。やつれたように見えるがまだ生きていることに安心した。
「でも、君が破壊神を倒すのを見守るまでは死ねないからな。
これぐらいにしておくよ。
さあ、行くといい」
そういってカルベアは背中を押してくれる。
ああ、なんて心強いのだろう。カルベアの力が体に満ちている。
「うん!
行ってくるね」
子供たちにも見守られながら、私は扉をくぐった。
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