あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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十四章 不穏な空気

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 それからしばらくしても、神官長はあきらめてはくれなかった。こうして目をつけられている間はまともに動くこともできない。
 仕方がなく、私は最終手段に出ることにした。陛下に直接助けてもらおうと思ったのだ。

 師匠やルカに助けてもらいながら、陛下との約束を取り付けた。まあ、前々から何度か会っているから思っていたよりも許可はあっさりと下りたみたいだけれど。
 
 そして今日は謁見する日だ。
 本来は王宮は転移していい場所ではないのだが、今回はきちんと許可をいただいているから問題はない。
 
 学園が終わると私はすぐに王宮へと向かった。

「あの、陛下に謁見したいのですが」
 
 前と同じように扉の前に立つ人に声をかける。話は来ていたようですぐに通してくれた。

 謁見の間に出ると、すぐに頭を下げる。

「顔を上げなさい。
 何か急ぎのようがあるのだろう?」

「はい。
 本日はお願いしたきことがございます」

「申してみよ」

「最近、神官長であるニタ様があまりにもしつこいのです。
 いくら否定しても、私には聖魔法を使えるとおっしゃってきて困っているのです。
 そのせいで、まともに生活を送ることすら難しくなっているのです」

 一気に現状を説明すると、ふむと陛下は考えこむ。あまりにも個人的な相談だったが、もう陛下しか頼れるものが思いつかなかったのだ。

「神殿のことに関しては我の管轄外でな。
 あまり強くは言えないのが正直なところだ。
 だが、そなたは我が王宮の魔術師である。
 その線からならば何か言うことができるやもしれぬ」

 そう、だからこそ私は早々に魔術師となったのだ。いつも持ち歩く銀の懐中時計を握りしめる。これが今の唯一の希望だった。一刻も早くこの問題を解決し、多くの人を救いたかったのだ。

「一度進言しておこう。
 だが、卒業後はよく勤めよ。
 そなたには期待しておる」

「はい!」

 私はその一言に自分にできる限りの思いをこめた。


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