あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

九章 初めての夏休み

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「良かったわ、アーネさんにも丁度よくて！」

　ルカさんの言うとおり、選んだ服は大きさがぴったり。
　正直びっくりしたけど、丈を直すという面倒をかけずに済んだから良かった。

「次は、髪をやってもらいましょう。　
　その間に、この服に合う靴とかばん、あと帽子を用意していただいていいかしら？」

「はい！」

　てきぱきとしたルカさんの指示に侍女が動いていく。
　すぐに髪をやってくれる人が側に来て、鏡の前へと座らされた。
　
「アーネミリア様のお髪はとてもきれいですね。
　手入れが行き届いているのがわかります」

「ありがとうございます」

　穏やかに笑いながらその人が、そう伝えてくれる。
　髪はいつも侍女やベンネに任せてしまっているから、褒められるとみんなが褒められた気がしてなんだか嬉しい。
　その後、上半分の髪をひねって結んだハーフアップといういつもよりもシンプルな髪型に整えてもらった。
　前は髪を短く切っていたからこうやって結べなかったし、今は編みこみとか結構複雑に結んでくれるから実はこんな風に結んでもらったことはないかもしれない。
　なんだか新鮮な気分だ。
　
「アーネミリア様、こちらにお靴とおかばんをご用意いたしました」

　髪をやっている間に本当に二つを用意してくれていたようで、さっと渡される。
　しかも先ほど選んだばかりの服に合わせて二つを用意してくれたみたい。
　本当に仕事が早いな。

「ありがとうございます」

「アーネさん、準備できましたか？」

「はい！」

　ルカさんもすっかり身支度が整って待っていた。　
　いつもとは違うシンプルな姿でもやっぱりルカさんは可愛い。
　って、私何かを忘れているような……。

「あ！
　あの、ルカさん。
　私、すっかり渡すのを忘れてしまって。
　これをよかったら受け取ってください」

「これは……？」

「バラから作ったジャムです。
　従兄弟から教わりました」

「もしかしてルカさんが作られたのですか？」

「はい」

「ありがとうございます！
　とてもきれい……」

　ぱぁと、ルカさんの表情が明るくなった気がしたけどなんでだろうか。
　でもとても喜んでもらえたみたいだから良かったな。

「では、行きましょうか」

「はい！」

　つい忘れてしまうのが怖くて、変なタイミングでお土産を渡してしまった気がする
　でも、これで心置きなく祭りを楽しめる！