あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

文字の大きさ
171 / 261
九章 初めての夏休み

170

しおりを挟む
 そして二日後。
 今日は建国祭の当日だ。
 この日はまず平民に向けて、国王様が挨拶をする。
 これは王城の中から国王様やルカさんたちが、王城敷地内の広場に集まった民に向けて顔を見せてやるものだ。
 なんというか、やっぱり大変そう……。

 そして夜からは貴族に向けたパーティーがある。
 このパーティはやはり12歳になった後から参加するものだから、私もルカさんも参加することはない。
 今年からは兄様が参加するから、家は少しあわただしかったけどね。
 建国祭の内容がほぼ私には無関係だったため、今まで建国祭を意識したことがなかったのだ。

 今年はルカさんとお出かけできてうれしかったけど、最後の終わり方がなぁ。

「ねえ、アーネ。
 どこか変なところはないかな?」
 
 なんて物思いにふけっていると、いつの間にか兄様が近くにいた。
 
「わぁ!
 とてもかっこいいです」

 パーティー用の衣装に身を包んで、髪も整えている兄様は本当にかっこよかった。
 それは騎士の正装を意識しているようで、シルエットもかっこいい。
 
 素直に感想を口にすると、兄様はありがとうと言ってなでてくれた。
 それにしても、もしかしてこれが兄様にとって誕生会以降初めてのパーティー? 
 それで緊張しているのか!

「兄様ならきっと大丈夫です。
 頑張ってくださいね」

 そう伝えると、なんだか感動したような顔になったのは気のせいだろうか。
 今回のパーティーも婚約者探しの一環になるのかな?

 留守番組の私たちはただ今晩の夕飯を楽しみにしています。
 そういえば……。

「あの、ルカさんの様子を見てくることはできますか……?
 この前からお会いできていないので、気になってしまって」

 私の言葉に、兄様がうーんと悩みだした。
 ちなみに、チンピラに絡まれたことは兄様も知っている。 
 そりゃお祭りに行ったのに、父様と早々に帰ってきたら何かあったと疑うに決まっているよな。

 それであったことを話したらとても心配されました。
 そして何やら怖い顔をしていたけど、まあ犯人の顔を知らないので何かするという心配もないでしょう。
 
 その場にルカさんもいたことも話したので、あの一言だけで私の意図を理解してくれたのだろう。
 
「それは難しいかな……。
 ルカミア様はパーティーに参加されないだろうから」

「そう、ですよね!
 パーティー、楽しんできてくださいね」

「ありがとう」

 
 夕方ごろ、兄様たちを見送ったらお待ちかねの夕飯!
 いつも豪華でおいしい食事だけれど、今日はもっと豪華だ。

 そして、この日だけは食堂で、や家族だけで、等の決まりを破ってもいいのだ。
 だから部屋でベンネや兄様、リュラと食べたり、天気が良ければお庭で食べたり、いろいろ自由にさせてもらえる。
 去年までは兄様が一緒だったけど、今年はリュラと二人。
 私がパーティーに参加するようになったらリュラが一人になってしまうのか……。

「姉さま、ご飯食べましょう?」

「そうね。
 今日は誰と食べる?」

 ふふっと笑いながら、リュラに問いかけると少し考える。
 そして、元気な声で先生! と答えた。
 やっぱり今年も先生は一緒に食べることになりそうだ。
 先生も一応貴族らしいけど、やっぱりパーティーには行かないとのこと。
 だから、この日はよく一緒にご飯を食べてきた。

「じゃあ、先生を誘いに行きましょう?」

「はい!」

 
 リュラと二人、先生の部屋の前に立つ。
 そしてノックをすると少しして返事が返ってきた。

「一緒にご飯を食べませんか?」

「せんか!」

「私とでいいのですか?」

「はい!
 今日はいい天気ですから、お庭でいただきましょう?
 きっと星がきれいに見えます」

 そうして誘うと、さっそく庭に行こうという話になった。


「ただいまお料理の方をお持ちいたしますね」
 
 事前に言っておいたからか、もう庭の準備は済んでいた。
 そしてほどなくしてほかほかの料理も運ばれてきた。

 予想通り、今日は星がとてもきれいに見えていた。
 少し無理を言って屋敷の灯りを一部落としてもらい、テーブルの上にはろうそくをともす。
 いつもとは全く違った夕食にリュラはとても楽しそうにしていた。

「たまにはこんな風に食べる夕食もいいですね。
 誘ってくださってありがとうございます」

 そういって、先生は少しワインを口にする。
 こうしてお酒を飲む姿を見るのは珍しいかもしれない。

「楽しんでいただけて良かったです」

 こうして、穏やかなまま夕食は食べ終わった。
 もちろん今日はデザート付き。
 見た目にも力を入れていた料理の数々は本当においしかった。

 帰ってきた両親、兄様は疲れた様子で、数年後には私もそちらに参加しなければいけないと思うと今から気が重かった。

 
 

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

元救急医クラリスの異世界診療録 ―今度こそ、自分本位に生き抜きます―

やまだ
ファンタジー
朝、昼、夜を超えてまた朝と昼を働いたあの日、救急医高梨は死んでしまった。比喩ではなく、死んだのだ。 次に目覚めたのは、魔法が存在する異世界・パストリア王国。 クラリスという少女として、救急医は“二度目の人生”を始めることになった。 この世界では、一人ひとりに魔法がひとつだけ授けられる。 クラリスが与えられたのは、《消去》の力――なんだそれ。 「今度こそ、過労死しない!」 そう決意したのに、見過ごせない。困っている人がいると、放っておけない。 街の診療所から始まった小さな行動は、やがて王城へ届き、王族までも巻き込む騒動に。 そして、ちょっと推してる王子にまで、なぜか気に入られてしまい……? 命を救う覚悟と、前世からの後悔を胸に―― クラリス、二度目の人生は“自分のために”生き抜きます。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

処理中です...