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十章 新学期
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しおりを挟む「奥の方へ行きましょう、ルカさん」
このまま、人の目を集めるようなところにいたくなくて、すぐに奥を指す。そして、ルカさんは申し訳なさそうな顔をしてはい、と答えた。ルカさんがそんな顔をする必要はないんだけれど。ほかの子たちも嫌な視線からルカさんを守るように、ルカさんの周りに来た。慣れない場だからと、私たちの後ろについて少しおろおろしていた人も前へ出てきている。皆、いい人すぎる……。
そのまま奥へと行く。その間も視線を感じたけれど、不意に歓声が上がった。入り口の方をちらりと見ていると、王子様がいるクラスが入ってくるところだった。なるほどね。皆の興味はそちらに移ったというわけね。
机へとつくと、ぐるりと会場を見まわしてみる。私が中途半端に残していたところも完璧になっている。さすが生徒会だ。そしてすべての参加者がそろうと、生徒会長が前へと出る。それを合図に全員にウェルカムドリンクが配られる。
「全員そろったようだね。
それでは。
文化祭の打ち上げ、ということでこうして初等部でお茶会を開催する許可がこの度降りた。
節度を保ちながらも、ぜひ楽しんでいってくれ」
かんぱい、という言葉に合わせて全員ドリンクを掲げる。これが始まりの合図になった。がやがやとした言葉の合間でメイドがお茶をいれてくれる。先ほどのドリンクは少なめに注がれているから、すぐに飲み切ってしまうんだよね。
「これはどうしたらいいのでしょう?
初めてのお茶会だ。どう動いたらいいのかもわからない。というか、みんな初めてのはずなのにどうしてそんなに動けるの? なんだか社交スキルの差というものを感じてしまうよ。私の母様はあまりそういう会話術を仕込もうとしていなかったからね。おかげで今どうしたらいいのかわかりません……。
「きっと、何もしなくていいと思いますよ」
なんだか随分と冷めた物言い。気になってルカさんの方を見ると遠い目をされていらっしゃる。それを証明するように数名がこちらに向かってくる?
「あの、ごきげんよう、ルカミア殿下。
私、リッケルト侯爵の娘、アークレナと申します」
「私は……」
一人を皮切りに次々とあいさつをしてくる。ルカさんの反応なんてお構いなしで、その気迫は引くほどだ。いや、そりゃ、まあさっきので厄介だとは思っていたけれどこれほどまでとは。皆さん、本当に初めての社交ですか?
「このお菓子、おいしい!」
「あら、本当」
若干の現実逃避でカンナちゃんとお菓子を食べる。うん、さすが先輩方が選んだお菓子! すごくおいしい。
「あ、アーネさん……」
若干涙目のルカさんに名前を呼ばれてしまった。これは応じないわけにはいかないよね……。というか、名前を呼ばれた瞬間、一気にこっちに視線が集まったのすごく怖い……。
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