あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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一章 異世界へ からの幼児編

10 愛音 父の視点 2

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 結局話し合った結果、色々と条件がついた上で、愛音が次期院長の筆頭ということになった。
 その一つが俺も通っていた有名私立校に入ることだった。
 また、中には少し遠い親戚の二つ年上の子を婚約者にすること、と言うのがあった。
 恐らくこれは保険で、愛音が院長には無理と判断されたら、この人が俺の後を継ぐことになる。
 弟はいるのだが、こいつは決して管理職に就けて良いやつじゃないから、しかたないと言われればそれまでだ。
 条件を愛音に伝えた日のことはきっと忘れられない。
 あの子は笑って、お父さんの後を継げるかもしれないんだ!と言ったんだ。

 その日から今まであの子は本当によく頑張った。
 妻の勧めで始めたピアノは、毎日沢山練習して、賞をとるほど上手になった。
    本人は妻がピアノを勧めた理由をピアニストになって、今の夢を諦めて欲しいからと勘違いをしていたようだが、特に訂正はしなかった。
    なにせ、もし愛音が院長を諦めたら今のように苦しむ必要はないのだろうから......。

 勉強も手を抜かず、医学の勉強を小学校六年生から始めた。
 ずっと、髪は短いままなのが、いたたまれなかったが……。
 婚約者とも上手くやり、病院にもよくピアノを演奏しに来てくれた。
 愛音が弾くピアノは聞く人の心を癒す不思議な力があって、患者さんからも職員からもまた来てほしいと言われていて、ファンが沢山いた。

 そんな愛音のことをやっと、祖父母や親戚が認めてくれたのに!
 なのに、なんでこんなことになってしまったんだ。

 あの日から夢を見ているようだ。近くから愛音の名前を何度も呼ぶ声が聞こえる。
 そちらに目をやると、愛音と同じ制服を着た子達が大勢いた。
 先生の姿も見え、やっとの思いで礼をいう。
  
 いつの間にかお通夜が始まっていた。
 
 愛音は本当に亡くなったのだろうか。 
 こんなにも人に愛されていたのに。

「院長、しばらくは休んでください。
 そのご様子では、仕事など無理ですよ」

 近くには、部下。
 よく見れば職場のものも結構来ていた。
  部下の申し出をありがたく受け取ることにした。

 ふと、周りを見ると、愛音に色々と言っていた親戚連中も、泣いたり、呆然としたりしている。
 婚約者どのは後者のようだ。

 ああ、神様、なぜ愛音を連れていってしまったのですか。
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