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三章 いざ、入試へ!
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「そう、だな。
そろそろアーネミリアにも説明していいころかもしれない」
突然そんなことを言い出す父に、何のことだろう、と戸惑ってしまう。
「アーネミリアは私の魔法属性や職を知っているか?」
いいえ、と首を振るしかない。
いつか知るから、と誰も教えてはくれなかったのだ。
でも、この間お兄様が口を滑らせそうになったときあんなに睨んでいたのに、教えちゃっていいのかな?
「私は主に王都及びその周辺を守る部隊の隊長をしている。
ただ、その部隊は少し特殊でな、魔法を違法に扱う者を捉まえることを主な任務としている。
この部隊の隊長は基本的には、オリベルト家の者が就いているのだ。
その理由がこの血筋で特異的に現れる魔法属性だ。
フルトも持っているが、魔法を消すという属性がそういう輩に対しては大分役立ってな。
相手のことを見れば大抵の魔法を消すことができる」
魔法を、消す。
なかなか、すごそうな力を持っていたんですね。
なんか、納得です。
たまに、父様が結構な怪我をして帰ってきていたのは知っていたので、どんな仕事をしているのか気になっていたんですよ。
「フルトは私の後を継ぎたいと言ってくれている。
魔法属性も継いでいるから、とてもありがたいことだ。
もしかしたら、アーネミリアにも引き継がれているのではないかと、思っていたが違ったようだ。
正直安心したよ」
その言葉に思わず首を傾げてしまう。
なぜ、安心するのかな?
「不思議な力があるとな、利用しようとする者がいるんだ。
ただ、アーネミリアはそれ以上に特異な力を持っているようだから、心配だが……。
ただでさえ、空間属性などなかなか持ち主がいないというのに」
「そういえば、読めなかった属性とは何だったのでしょうか?」
「それは、私にもわからない。
それ以前に読めない属性など聞いたことがないんだ」
二人ともなにも言わなくなると、部屋に重い空気が流れた。
光と、空間と、あと、一つ。
微かに、頭に痛みがはしる。
考えれば、わかる気がする。
それでも、この痛みが邪魔をしてこれ以上考えることができなかった。
「アーネミリア、大丈夫か!?」
慌てて駆け寄ってくるお父様。
あ、れ?
視界が暗く、なっていく……。
頭、いたい。
そろそろアーネミリアにも説明していいころかもしれない」
突然そんなことを言い出す父に、何のことだろう、と戸惑ってしまう。
「アーネミリアは私の魔法属性や職を知っているか?」
いいえ、と首を振るしかない。
いつか知るから、と誰も教えてはくれなかったのだ。
でも、この間お兄様が口を滑らせそうになったときあんなに睨んでいたのに、教えちゃっていいのかな?
「私は主に王都及びその周辺を守る部隊の隊長をしている。
ただ、その部隊は少し特殊でな、魔法を違法に扱う者を捉まえることを主な任務としている。
この部隊の隊長は基本的には、オリベルト家の者が就いているのだ。
その理由がこの血筋で特異的に現れる魔法属性だ。
フルトも持っているが、魔法を消すという属性がそういう輩に対しては大分役立ってな。
相手のことを見れば大抵の魔法を消すことができる」
魔法を、消す。
なかなか、すごそうな力を持っていたんですね。
なんか、納得です。
たまに、父様が結構な怪我をして帰ってきていたのは知っていたので、どんな仕事をしているのか気になっていたんですよ。
「フルトは私の後を継ぎたいと言ってくれている。
魔法属性も継いでいるから、とてもありがたいことだ。
もしかしたら、アーネミリアにも引き継がれているのではないかと、思っていたが違ったようだ。
正直安心したよ」
その言葉に思わず首を傾げてしまう。
なぜ、安心するのかな?
「不思議な力があるとな、利用しようとする者がいるんだ。
ただ、アーネミリアはそれ以上に特異な力を持っているようだから、心配だが……。
ただでさえ、空間属性などなかなか持ち主がいないというのに」
「そういえば、読めなかった属性とは何だったのでしょうか?」
「それは、私にもわからない。
それ以前に読めない属性など聞いたことがないんだ」
二人ともなにも言わなくなると、部屋に重い空気が流れた。
光と、空間と、あと、一つ。
微かに、頭に痛みがはしる。
考えれば、わかる気がする。
それでも、この痛みが邪魔をしてこれ以上考えることができなかった。
「アーネミリア、大丈夫か!?」
慌てて駆け寄ってくるお父様。
あ、れ?
視界が暗く、なっていく……。
頭、いたい。
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