あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

六章 フルトの誕生祭

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    さて、明日は兄様の誕生日だ。
    今日は家族内でお祝いする日。
    なんでも、当日は外からも人を招いてお祝いするため、家族は皆接客に当たらなければならない。
     そのため、その前日に家族だけでお祝いするのだそうだ。
    今日は内輪ということもあり、ドレスは着ないですむ。
    いつも来ているもののほうが楽だから助かった。
    パーティーは夕方から始まる。

「アーネ様、本日はドレスは着ませんが、折角なので少しおめかししませんか？」 

   準備を手伝いに来てくれたベンネからの提案に私は頷いた。
    まあ、化粧とかそれくらいだったらね。

    手慣れているのか、ささっと化粧をして髪を整えてくれる。
    最後に兄様から頂いた髪飾りをつけてくれるあたり、さすがと言えるだろう。

「さあ、参りましょうか。
    皆様ももうじき来られるでしょうし」

    相変わらず、侍女たちがばたばたとしているなか、ゆっくりと兄様を祝うのはなんだか申し訳ないが、今日しっかりと兄様を祝いたいな。

「そうだ、ベンネ。
    明日侍女たちは休憩時間とかあるの？」

「休憩時間ですか？
    交代しながらではありますが、ございますよ」

「なら、何か差し入れをしておいてくださらない？
    きっと皆さんお疲れでしょうから。
    何か軽く食べられるものでもいいわね」

「かしこまりました」

    これで少しは気にせずにパーティーを楽しむことができそうだ。
     彼女たちは大分前からずっと忙しくしていたからね、これくらいはしておかないと。

    さて、と私はプレゼントを持って、家族が待っている食堂へと向かった。