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五話: 夢の終わり
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なんの心配も不満もなく、穏やかな日常を過ごしていたからだろうか。
私はすっかり自分とご主人様の立場というものがいかに危ういかということをすっかり忘れてしまっていた。
それはきっと奏子さんや悠斗、そしてなによりご主人様の努力のおかげでもあったのだろうけれど......。
「今度ここを引っ越そうかと思う」
そうご主人様が言い出したのは本当に突然のことだった。
その言葉に驚いた反応を見せたのはどうやら私だけのようだから、2人は何となく察していたのかもしれない。
「あの、どうして、ですか?」
「ここよりもいい所が見つかったんだ」
私を安心させるためか、落ち着いた声でご主人様がそういう。
この方がそういうならばきっとそのままそれが理由なのだろうけれど、どうしても不安は消えなかった。
「明後日には引っ越そうかとおもう。
ここにはもう戻ってこないだろうから、しっかり準備をしてくれ」
少し申し訳なさそうにご主人様がそう3人に伝える。
私は少し腑に落ちない思いを抱えながらも早速荷物をまとめることにした。
朝食のさいに引越しについて言われたため、そのあとは慌ただしくまとめ作業などをしていた。
そのため、いつもよりも時間が流れるのが早いな、なんて呑気に思っていた時だった。
急に1階の方で、何かが割れる大きな音と何人もの叫び声が聞こえてきた。
私の部屋は2階の奥の方にある。
そのため、ここまで聞こえてくるということは相当大きな音がなったという事だ。
何かあったときのため、常に傍に置いてきた木刀を片手に私はゆっくりと階段を降りていく。
そして音がなったと思われる場所、リビングへとたどり着くともう二度と顔を見たくないと思っていたあの男が立っていた。
その向かいにはご主人様。
そして......。
そして足元には奏子さんと悠斗が倒れていた。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
理性を失った頭で、立川へと襲いかかる。
だが、それは付近を固めていた男達によってあっさりと防がれてしまった。
そのあともただ無我夢中に木刀を振るっていった。
「......うか!
鷹華!
落ち着きなさい」
そして、ご主人様の声がようやく頭に届いた時、周りには多くの男達が倒れていた。
「ああ、やっぱり君の才能は素晴らしいね。
あとすこし、あと少しなんだ......」
「鷹華を、2人をどうするつもりだ!?」
「どうする......?
うーん、そうだな。
正直、別にどうでもいいんだよ。
ただ裏切ったお前だけは許せないんだよなぁ!」
1発、立川が奮った拳がご主人様にヒットする。
その瞬間、私は再び木刀を握り直し、立川へと襲い掛かった。
「な、にが......?」
次の瞬間にはもう、私の体は地面に投げ出されていた。
そして、動かすこともままならない。
「何が起きたかわからないって?
君が理解する必要はないよ。
ただ、寝ていればいいんだ」
「鷹華を、離せ!」
「だめにきまってるだろ。
そんなの麻木にはよくわかっているだろ?
今戻って来てくれるなら、麻木への処罰少しは軽くしてやってもいい」
酷く冷たい瞳でそう言い放つ。
そのとき、鮮明に理解してしまったのだ。
ああ、私はあんなにも強く思っていたことすら守ることができなかったのだ。
ならばせめて、この身で3人が助かるなら......。
ついに伝えることは叶わなかったけれど、大好きなご主人様を守れるのなら......。
「あなたの言うとおりに、します。
だから、3人を助けて......!」
もう流すことはないと思っていた涙が溢れる。
でもこの選択は間違っていなかったはずだ。
「鷹華!」
ご主人様の必死な声が聞こえる中、私の意識はだんだんと薄まって行った。
「初めまして。
私は鷹華。
鷹、華、と書いてヨウカと読みます」
私はすっかり自分とご主人様の立場というものがいかに危ういかということをすっかり忘れてしまっていた。
それはきっと奏子さんや悠斗、そしてなによりご主人様の努力のおかげでもあったのだろうけれど......。
「今度ここを引っ越そうかと思う」
そうご主人様が言い出したのは本当に突然のことだった。
その言葉に驚いた反応を見せたのはどうやら私だけのようだから、2人は何となく察していたのかもしれない。
「あの、どうして、ですか?」
「ここよりもいい所が見つかったんだ」
私を安心させるためか、落ち着いた声でご主人様がそういう。
この方がそういうならばきっとそのままそれが理由なのだろうけれど、どうしても不安は消えなかった。
「明後日には引っ越そうかとおもう。
ここにはもう戻ってこないだろうから、しっかり準備をしてくれ」
少し申し訳なさそうにご主人様がそう3人に伝える。
私は少し腑に落ちない思いを抱えながらも早速荷物をまとめることにした。
朝食のさいに引越しについて言われたため、そのあとは慌ただしくまとめ作業などをしていた。
そのため、いつもよりも時間が流れるのが早いな、なんて呑気に思っていた時だった。
急に1階の方で、何かが割れる大きな音と何人もの叫び声が聞こえてきた。
私の部屋は2階の奥の方にある。
そのため、ここまで聞こえてくるということは相当大きな音がなったという事だ。
何かあったときのため、常に傍に置いてきた木刀を片手に私はゆっくりと階段を降りていく。
そして音がなったと思われる場所、リビングへとたどり着くともう二度と顔を見たくないと思っていたあの男が立っていた。
その向かいにはご主人様。
そして......。
そして足元には奏子さんと悠斗が倒れていた。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
理性を失った頭で、立川へと襲いかかる。
だが、それは付近を固めていた男達によってあっさりと防がれてしまった。
そのあともただ無我夢中に木刀を振るっていった。
「......うか!
鷹華!
落ち着きなさい」
そして、ご主人様の声がようやく頭に届いた時、周りには多くの男達が倒れていた。
「ああ、やっぱり君の才能は素晴らしいね。
あとすこし、あと少しなんだ......」
「鷹華を、2人をどうするつもりだ!?」
「どうする......?
うーん、そうだな。
正直、別にどうでもいいんだよ。
ただ裏切ったお前だけは許せないんだよなぁ!」
1発、立川が奮った拳がご主人様にヒットする。
その瞬間、私は再び木刀を握り直し、立川へと襲い掛かった。
「な、にが......?」
次の瞬間にはもう、私の体は地面に投げ出されていた。
そして、動かすこともままならない。
「何が起きたかわからないって?
君が理解する必要はないよ。
ただ、寝ていればいいんだ」
「鷹華を、離せ!」
「だめにきまってるだろ。
そんなの麻木にはよくわかっているだろ?
今戻って来てくれるなら、麻木への処罰少しは軽くしてやってもいい」
酷く冷たい瞳でそう言い放つ。
そのとき、鮮明に理解してしまったのだ。
ああ、私はあんなにも強く思っていたことすら守ることができなかったのだ。
ならばせめて、この身で3人が助かるなら......。
ついに伝えることは叶わなかったけれど、大好きなご主人様を守れるのなら......。
「あなたの言うとおりに、します。
だから、3人を助けて......!」
もう流すことはないと思っていた涙が溢れる。
でもこの選択は間違っていなかったはずだ。
「鷹華!」
ご主人様の必死な声が聞こえる中、私の意識はだんだんと薄まって行った。
「初めまして。
私は鷹華。
鷹、華、と書いてヨウカと読みます」
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