エリアージュの夕焼け色は、

花町 シュガー

文字の大きさ
4 / 6

4

しおりを挟む



アルと別れてから、僕はすぐに先生の所へ向かった。


ガラッ

「先生」


「エアーシュ…本当にいいのか……?」


「はい。

ーーお願いします。先生」


「っ、わかった……

 みんな、準備をするんだ」


カラーズには、実は治す方法がひとつだけある。
それは、カラーズじゃない人から〝色彩〟を貰うこと。
健常者が持つ色彩を抽出し、それをカラーズの人に移す。
そうすれば、カラーズは元どおり治る。

ーーしかし、その分抽出された人間がカラーズとなってしまう。

だから、誰も色彩をあげたがらないし、あげる人なんて絶対いない。だからカラーズは治らない。


『僕の瞳の色を…色彩を、アルドに渡してください』


こういった手術は両親とかの許可が必要だけど、僕にはそんなのいなくて。

『エアーシュ。
君は、何を言ってるか分かってるのか?』

『先生。僕は、

ーー戦争に行きます』


この国の兵士となり、色を取り戻す為に戦う。
それは、アルと出会った時から決めていたこと。

アルは生まれた時からずっとカラーズで、色の事を全く知らない。
だから僕が兵士に志願して戦い、少しでもこの国に色を返してあげたい。

そうしてアルの目に色が映るようになった時、少しでもそれがモノクロの世界じゃないように…してあげたい。

兵士に志願した者は、殆どがもう帰っては来ない。
稀に帰って来る者は、みんなカラーズになっている。
ただのカラーズじゃない。目の色・髪の色・肌の色が全部取られ、本当のモノクロとなって帰って来るのだ。

もしかしたら、僕の瞳の色は誰かに取られる可能性がある。
どこの誰かもわからない奴に取られるなんてゴメンだ。


ーーそれなら、僕はアルにそれを渡したい。


『っ、エアーシュ。考え直すんだ』

『先生、僕はもう決めました。だからお願いです』

『………っ、エアーシュ……』

僕の強い意思に、先生は顔を歪めながら書類にサインをしてくれた。





「ーーエアーシュ」

手術台に寝かされ麻酔が効き始めるまでの間、先生に呼ばれた。

「はい」

「君の瞳は、綺麗なエリアージュの色をしているよ」

「〝エアーシュ〟という名前は、エリアージュから来たものじゃないかい?」と問いかけられ、そうなのかもしれないと思った。

僕の瞳は、赤とオレンジと紫が入り混じった不思議な色をしていて。
夕焼け色と同じだな、とよく思っていた。

(そうか。
もしかしたら僕の名前は、そうやって両親が付けてくれたのかな?)

わからない。
でも、最後にそんな事に気付けて良かったと思った。

麻酔が効き始め、スゥ……と眠くなる。
「さぁ、始めるよーー」という先生の声が、遠くに聞こえた。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

白花の檻(はっかのおり)

AzureHaru
BL
その世界には、生まれながらに祝福を受けた者がいる。その祝福は人ならざるほどの美貌を与えられる。 その祝福によって、交わるはずのなかった2人の運命が交わり狂っていく。 この出会いは祝福か、或いは呪いか。 受け――リュシアン。 祝福を授かりながらも、決して傲慢ではなく、いつも穏やかに笑っている青年。 柔らかな白銀の髪、淡い光を湛えた瞳。人々が息を呑むほどの美しさを持つ。 攻め――アーヴィス。 リュシアンと同じく祝福を授かる。リュシアン以上に人の域を逸脱した容姿。 黒曜石のような瞳、彫刻のように整った顔立ち。 王国に名を轟かせる貴族であり、数々の功績を誇る英雄。

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

届かない「ただいま」

AzureHaru
BL
いつも通りの変わらない日常のはずだった。 「行ってきます。」と言って出て行った貴方。1日が終わる頃に「ただいま。」と「おかえり。」を笑顔で交わすはずだった。でも、その言葉はもう貴方には届かない。 これは「優しさが奪った日常」の物語。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

処理中です...