Christmas Present.

花町 シュガー

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Christmas Present.

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「ただいまー……」

いつもの場所まで送ってもらって、ガチャリと家のドアを開ける。
誰もいないこと知ってるのに未だに「ただいま」って言ってしまって、「おかえり」っていう言葉が欲しいのかな? ……なんて。

(うわぁセンチメンタル、キモ)

乱暴に靴を脱いで2階の自室まで上がり、ベッドに倒れて目を閉じた。

僕のお母さんは夜の仕事をしてる。
俗に言う水商売。
そんなお母さんがたまたま失敗してデキちゃったのが僕。

(まぁ、下ろされなかっただけマシ?)

生活には何の不自由もない。
お母さん超売れっ子だから高校生の僕1人くらいなんとでもなってる、お小遣いもそれなり。
最近の「愛してくれないんですー」ってテレビみたいな悲惨な感じじゃなく、ただ単純に互いの生活リズムが違うだけ。
時々……稀にお母さんの仕事帰りや行く直前に被った時は、少しだけ他愛ない話をしてる。

「本当、僕ってついてるよねー」

別に愛されてないわけじゃない、産んだからにはちゃんと育てるって思ってくれてるお母さんで幸せ。
後、お母さんそっくりの可愛い顔。人生において最大の武器。甘え上手なのも似てる。
男を取っ替え引っ替えなのも。

(でも、あいつはないな)

手紙なんて久しぶりにもらったから、ちょっと楽しみだったのに……

「はーもー止め止めっ!」

楽しいこと考えよ!うんうん!!


(そういえば、もうすぐクリスマスかぁ)


季節は12月。
世間では、至る所で華やかなイルミネーションが着いてたり楽しげな音楽が流れたりしてる。

あーぁどうしよっかなぁ。
去年もみんなから沢山貰っちゃったよね、今年は何をお願いしよう!
キラキラしたもの、可愛いもの、それからそれから……

スマホの連絡帳を見ながらえへへと笑ってると、Prrr……と手の中で震えだす。
表示された名前は、ツッチーとは別の人。

それににこりと微笑んで、通話ボタンをタップした。










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