誰も知らない御伽話

花町 シュガー

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【忘れないで。どうか覚えていて】





大好きな声があった。

ずっと耳から離れなくて、誰の声なのか・一体いつから覚えてるのかもわからない……そんな不思議な感覚。
とても心地よいトーンで、優しくて…でも、泣いてるのを我慢してるように少し震えて。
それに、胸がギュッと締め付けられてしまって……そんな、透き通った綺麗な声色。


『ねぇ、シュヴァルツ。

どうか……君だけには、覚えられていたいなぁっ』


『忘れないで』とはっきり言えばいいのに、それすら言葉にせず変な痩せ我慢をしてふわりと消えていった、その 声は。


(なぁ、おい。 待てよ)


お前は……一体ーー





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