創造主は崩壊寸前の世界の王子に恋をする。

30

試練の扉を越えた俺たちは、まるで重い荷物を降ろしたかのように軽やかに歩いていた。
　朝日が柔らかく世界を照らし、新しい一日が始まる。

　

　カイの笑顔は、これまでで一番眩しかった。

「悠、見て。あの光……」

　丘の向こうに、小さな光の粒が集まり、輝きを放っている。
　まるで、世界が呼吸を取り戻したような、生命の息吹だった。

　

「これが、“新たな光”かもしれない」

　カイの言葉に、俺の胸が熱くなる。

「俺たちが選んだ未来が、形になってきてるんだね」

　

　二人で手をつなぎながら、その光に向かって歩き出す。
　その足取りは、確かな希望に満ちていた。

　

　途中、小さな村に立ち寄った。
　そこでは、住人たちが笑顔で暮らしていて、かつての混沌が嘘のようだった。

「君たちが……世界を変えたの？」

　村の長老が静かに尋ねた。

「俺たちじゃなくて、皆の願いと努力の結果だよ」

　

　この世界は、ひとりの力だけじゃ動かせない。
　けれど、俺たちの選択がその一歩を踏み出させた。

　

　日々の暮らしの中で、俺は改めて感じた。
　“愛”だけじゃなく、“責任”を持って生きていくことの意味を。

　

　カイがそっと俺の頬に触れた。

「これからも、一緒に歩こう。どんな困難があっても」

「もちろん。君がいる限り、俺は怖くない」

　

　そして、夜。
　ふたりは星空の下で、静かに誓い合った。

「これからの未来は、どんな色になるんだろうね」

「君と一緒なら、何色でも――美しい光になるよ」

　

　新たな光が世界に満ち始めた。
　俺たちは、その中で、これからも共に生きていく。