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さん
しおりを挟む合間合間に果物を口移しで食べさせられたり、水を飲まされたりしながら、ただひたすら喘がされるという甘い拷問を受けたアンセルは、3日目には仰向けになり、自ら脚を大きく広げて強請っていた。
「も…いれてぇ」
「いや、もし耐性がまだ足りてなかったら───」
いさましく浅黒い凶器をギンギンにしながらもフェルベードは二の足を踏む。アンセルは涙ながらに拷問の終わりを願うばかり。
「ふぇるのおちんちんほしいよぉ、いじわるしちゃやだぁ」
完全に熱に浮かされきったアンセルは、下半身どころか脳みそまでトロトロに溶け切ったようである。ゴクリと喉を鳴らして、フェルベードは自身が美味しく淫らに調理した獲物を一気に貫いた。
「ひゃあああああん!」
「クソッ」
気持ちよさに腰を振る様は、両者ともに理性のない獣のよう。胎内を暴く雄に、指などでは届かない最奥をこじ開けろと要求され、雌と化したアンセルはへこへこと腰を振る。奥の奥でちゅぱちゅぱと先端を吸われ、ますますフェルベードの腰は激しさを増した。
「あっあっあっあっあっ」
揺さぶられる度に押し出されるような喘ぎを零し、涙でぐちゃぐちゃになった顔でフェルベードを見上げて、アンセルは降ってきた男の汗を舐め取る。
「ッ、孕め!」
「─────っ」
もう我慢ならぬとばかりに足を折りたたまれ、ギュッと押し潰すようにホールドされるとアンセルに逃げ場などない。そのまま注がれる熱に目の前で光が弾ける。神経が弦楽器のように弾かれるような、支配される満足感にアンセルは絶頂し、声ならぬ声を上げた。
脱力した傍からまだ足りぬとばかりに胎内で雄が熱く固くなるのを、アンセルは内腿を震わせて歓喜した。
アンセルが目覚めた時、フェルベードと寝室にこもってから6日も経っていた。その事実に愕然とする。
「かなり激しかったようですね。最早結界なしでも普通に魔族領で生活できそうなくらい耐性が高まってますわ」
べルティシアは平然と告げるが、告げられたアンセルは恥ずかしさで顔を上げられない。使用人達の視線さえ生温かく感じられて居心地が悪い。気にもかけていないらしいフェルベードの変化のなさに腹が立って、アンセルはそちらを睨みつけた。
そもそもダイニングルームで朝食を囲んでするような話題では無いだろうと、アンセルは怒鳴りたくて仕方ない。が、相手はべルティシア。愚弟が失礼なことを仕出かした相手だと思うと強くは出られない。
「初夜の間、動きはあったか?」
「えぇ。アンセル様のお父様───国王が外遊から帰国し、一部始終の報告を受けたようです。即、謝罪と共に王太子の返却を求める通知が来ました」
王太子、返却という単語に、アンセルの手からカトラリーが滑り落ちる。すかさず給仕が新しいものを提供してくれたが、動揺するアンセルは気づかない。
「王太子の、返却、ね」
細められたフェルベードの目がアンセルを射抜く。
「わ、私は戻るつもりなど、ありません。貴方様のもの、ですから」
口に出すと腹の奥が疼くようで、アンセルは頬を赤く染め、嵌められた指輪を撫でる。
「ものじゃない、嫁だ」
断言の言葉に安堵したアンセルを、フェルベードが愛しげに見つめる。
「代わりにラグナル殿下を誑かしたリリーとかいう馬鹿を好きにして良いと国王が進言して来ましたので、貴国は恥の上塗りをする趣味があるのか?と鼻で笑っておきましたわ。ついでに我が国はゴミ捨て場ではないので、その程度のゴミくらい自分たちで片付けろと申し渡しました」
「うん。俺より魔王っぽくないか、お前」
「これくらい良いでしょう?」
婚約破棄を言い渡されたのは他でもないべルティシアであり、一番鬱憤が溜まっているのも彼女だ。フェルベードは頷くに留めた。
「愚弟が本当に申し訳ありません」
「お義姉様のせいではありませんわ」
「お願いですから、そこは義兄扱いにしておいて下さい!」
忘れかけていた恥ずかしさに、アンセルは両手で顔を覆って身悶える。べルティシアはあらあらと笑い、フェルベードは嘆息した。
「アンセル様は魔王妃になったので返せませんと申し上げたら、王太子としていなくては困る人材なのだと国王が食い下がってくるのです。ですので、魔王妃兼王太子としてなら考慮しますとお答えしましたわ。アンセル様が産んだお兄様の子を未来の国王にするなら構わないと」
「いや、私は男なので子は産めないが…?」
魔王国は祖国を乗っ取るつもりなのか!とか、そういう返しが来ると予想していた兄妹は、アンセルの発言にキョトンとして顔を見合わせる。
「───ああ、失念しておりましたわ。普通はそうなのでしたわね」
「魔族は性別関係なく相手を孕ませられるから気にするな。というか、何度か孕めと言ったはずだが、気づいてなかったのか?」
「ね、閨特有の、言葉遊びかと…」
べルティシアの前で何を言わせるんだ!と内心罵りながらも、今はそれどころでは無いと押しとどめる。そう、重要なのは、魔族は性別関係なく相手を孕ませられるということ。
「最低でも2人以上作らないとならないな」
「お兄様なら余裕でしょう」
アンセルが産むということで確定しているらしい。納得してないのに、納得したことにされ、焦るが、焦ったところでどうしようもないと思い直す。既にアンセルはフェルベードの嫁なのだ。
「魔族は子が出来にくいのでは?」
「それは魔族間の話だな。生まれ持った魔への耐性が高い者同士だと出来にくい」
「アンセル様なら大丈夫ですわ」
太鼓判を押されても何やら嬉しくないのは何故だろう。アンセルは途方に暮れた。
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