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登校中も模索
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歌には魔力がある…なんて思う事がボクにはある…だって、凄い歌は人の心を揺り動かす力があるんだもの…
言葉では表せれない愛を、心のままに紡ぐ。手を伸ばす事が出来ない代わりに、精いっぱいに声を響かせるんだ…
だから、その人に向けた歌って言うのもきっと、その人の心を動かしてくれると思う…
漫才を観終わって、部屋に一人になるとボクは再び部屋でベッドに寝転がり、物思いに耽っていた。
一人の世界に没頭し、どうすればイイ物が出来るか妄想していく…のだが…
「………なのに…何にも思いつかない~~~!」
なんでこんなに悩んでもイイ歌一つ出来ないんだろう~~! 勉強すればもっとスラスラと出来ると思ったのに~~~出来ない。
勉強と言ってもまあ…まだ一日しか勉強してないんだよね…実は…
「茜道 舞い散る紅葉 肩に休み…指先でなでて… ある程度情景は出来てる気がするんだけど…形にならない…」
全然形にならずに、その日の夜はベッドの上で足をバタバタさせながら、悶々とすごすだけで終わってしまった…どうしてこんなに、歌一つで悩んでるんだ…
悶々と形にならず頭を悩ませていたら、次の朝になっていた…寝ぼけたまま着替えて
、朝食の間も唸っていたら、また妹に変な顔~と言われてしまった…
この妹には昨日、さっさと女になれと言われたからな…未だに学ラン姿な事にちょっと視線が痛い…
「『あおあをと 山木の枝は 茂なれど 誰にも告げぬ 秋の夜長よ』……う~ん少し言葉が怪しいな…少し…手直しがいるかも…」
(意 青々とした緑の山が茂るっていても、対照的に、己の心は常に忍び耐える一人寝の、秋の夜長のように心細い…)
想いを山の自然に例えるように、あまりイイ感じじゃないというか…まだ足りない…
実は夜もずっと百人一首を観ていたのだが、とりあえずこうかな? な感じで色々と試作してるが…イイものが出来た感じがしない。というよりも、自我自賛しても虚しいだけだよね…とはいえ、自分の作品を他の人に見られるのはまだ恥ずかしい…!
「『くれないの葉へ 伸ばす指 』 やっぱりまだ、勉強不足なのかな~~~!」
「何を騒いでいるんだ? 短歌の自作?」
「うぉお!! …とっ…とっ…東谷君!!」
一体いつの間に…!? と思っていたら、すでに朝食を食べ終わり、玄関先で唸っていたみたい…ほんと気づいたら外に出ていたよ…そこまで夢中になっていたのかな?
信じられないと頭を悩ませていると…東谷君は何を感心しているのか嬉しそうに笑みを浮かべて、ボクの頭を撫でながら凄いなと言ってくれた…
「何か自作出来たモノあるのか?」
「うっ…うんっ…いや…まだ出来てないの…ごめんね」
「いいよいいよ~俺もまだ出来てないから…さすがに一日じゃ無理…」
誉めてくれるのは嬉しいけど、言えない…だって、全部東谷君への想いを詰め込んだ歌なんだもん…こんなムードも何もない登校中に言える訳ないよ~!
――――と心の中で悶絶しながら、まるで友達感覚でお喋りするように軽い口調で、何時も通り彼の隣を歩いていく…
「秋になると人肌が恋しくなるよな~実際~」
「そっ…そうだね…寒いもんね…温め合わないといけないよね…!」
「そういう歌も百人一首にはあるんだろうし、今度の休みにやってみるのもいいな~」
「うっ…うんっ…友達だし! それぐらい出来るよね…!!」
――――そして、ボクの頬が赤かったのは多分、秋風のせいだよね…きっと…
そうでなかったらきっと、ボクが緊張してるのがバレちゃうもん…ね。
言葉では表せれない愛を、心のままに紡ぐ。手を伸ばす事が出来ない代わりに、精いっぱいに声を響かせるんだ…
だから、その人に向けた歌って言うのもきっと、その人の心を動かしてくれると思う…
漫才を観終わって、部屋に一人になるとボクは再び部屋でベッドに寝転がり、物思いに耽っていた。
一人の世界に没頭し、どうすればイイ物が出来るか妄想していく…のだが…
「………なのに…何にも思いつかない~~~!」
なんでこんなに悩んでもイイ歌一つ出来ないんだろう~~! 勉強すればもっとスラスラと出来ると思ったのに~~~出来ない。
勉強と言ってもまあ…まだ一日しか勉強してないんだよね…実は…
「茜道 舞い散る紅葉 肩に休み…指先でなでて… ある程度情景は出来てる気がするんだけど…形にならない…」
全然形にならずに、その日の夜はベッドの上で足をバタバタさせながら、悶々とすごすだけで終わってしまった…どうしてこんなに、歌一つで悩んでるんだ…
悶々と形にならず頭を悩ませていたら、次の朝になっていた…寝ぼけたまま着替えて
、朝食の間も唸っていたら、また妹に変な顔~と言われてしまった…
この妹には昨日、さっさと女になれと言われたからな…未だに学ラン姿な事にちょっと視線が痛い…
「『あおあをと 山木の枝は 茂なれど 誰にも告げぬ 秋の夜長よ』……う~ん少し言葉が怪しいな…少し…手直しがいるかも…」
(意 青々とした緑の山が茂るっていても、対照的に、己の心は常に忍び耐える一人寝の、秋の夜長のように心細い…)
想いを山の自然に例えるように、あまりイイ感じじゃないというか…まだ足りない…
実は夜もずっと百人一首を観ていたのだが、とりあえずこうかな? な感じで色々と試作してるが…イイものが出来た感じがしない。というよりも、自我自賛しても虚しいだけだよね…とはいえ、自分の作品を他の人に見られるのはまだ恥ずかしい…!
「『くれないの葉へ 伸ばす指 』 やっぱりまだ、勉強不足なのかな~~~!」
「何を騒いでいるんだ? 短歌の自作?」
「うぉお!! …とっ…とっ…東谷君!!」
一体いつの間に…!? と思っていたら、すでに朝食を食べ終わり、玄関先で唸っていたみたい…ほんと気づいたら外に出ていたよ…そこまで夢中になっていたのかな?
信じられないと頭を悩ませていると…東谷君は何を感心しているのか嬉しそうに笑みを浮かべて、ボクの頭を撫でながら凄いなと言ってくれた…
「何か自作出来たモノあるのか?」
「うっ…うんっ…いや…まだ出来てないの…ごめんね」
「いいよいいよ~俺もまだ出来てないから…さすがに一日じゃ無理…」
誉めてくれるのは嬉しいけど、言えない…だって、全部東谷君への想いを詰め込んだ歌なんだもん…こんなムードも何もない登校中に言える訳ないよ~!
――――と心の中で悶絶しながら、まるで友達感覚でお喋りするように軽い口調で、何時も通り彼の隣を歩いていく…
「秋になると人肌が恋しくなるよな~実際~」
「そっ…そうだね…寒いもんね…温め合わないといけないよね…!」
「そういう歌も百人一首にはあるんだろうし、今度の休みにやってみるのもいいな~」
「うっ…うんっ…友達だし! それぐらい出来るよね…!!」
――――そして、ボクの頬が赤かったのは多分、秋風のせいだよね…きっと…
そうでなかったらきっと、ボクが緊張してるのがバレちゃうもん…ね。
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