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ハグ
しおりを挟む宮部部長のハグがあまりに強く、
「…宮部部長…く、苦しいです…」
「あっ、悪い、すまない…」
「だ、大丈夫です…では,し、失礼します!」
と言って駆け足で自宅に帰った。
玄関を開け部屋の真ん中に座り込み,さっきの状況を整理した。
ハグされた肩を自分の両手で掴み,ぬくもりを思い出していた。
「何かの間違いだ、間違いだよね?」
思い出すほどに顔が火照ってくるのがわかった。
間違いだったのだ!と自分に言い聞かせた。
ん?雨?
雨音が聞こえ,次第に窓ガラスをたたく音となり,強くなってる様だ。
「宮部部長は大丈夫かな?傘持ってなかったよね…雨に濡れて風邪ひかなきゃいいけど…」
ダメダメ、宮部部長の事は考えちゃ駄目!ハグされた事は忘れよう。
忘れるしかない…
そう思い,いつの間にか眠りへと,ついていた。
・
・
・
月曜日になり出社すると,結城さん(お局様)から,
「藤井さん、宮部部長がお呼びよ、至急部長室へ行ってちょうだい」
「へ?」
「へ?じゃないわよ、急いでたみたいだから早く行きなさいねー」
「あ、はい、わかりました」
と言って急いで部長室へと向かった。
(なんだろう…なにかあったのかな…まさかこの前のハグに関係する事かな…どうしよう…)
と脳内はマックスに駆け巡り鼓動も速くなり,今にも倒れそうになる…
無事部長室前に到着して,ドアを軽く3回ノックした。
「どうぞ」
宮部部長の声がして,ドアを開けて部長室へ入っていった。
「失礼します!…あっ!」
そこには,男性社員が4人、部長席の前に立っていた。
「藤井…?」
「水澤くん?」
一人は同期の水澤君だった。同期といっても年齢は2歳年上だけど,新人研修は一緒に受けた仲だった。
あとの3人はいずれの部でエース級の人達だった。
「これでみんな揃ったな、では,これからの事を言うから聞いてくれ」
宮部部長の力強い声が響いた。
「これから新たなプロジェクトを開始する。前のプロジェクトで君達が頑張ったおかげで会社も業界から認められ次の展開となった。これからは自分達の力を充分に発揮して頑張ってほしい。よろしく頼みます」
「「「「はいっ!」」」」
なにがどうなってるのかわからなかった…。
「藤井、ちょっと残ってて」
水澤君と他の皆は,次室の会議室へと移動したが、私は宮部部長から呼び止められて部長室に留まった。
「急な呼び出しで悪かったな?」
「い、いえ、そんな事ないです…ただ、私がこの,凄いプロジェクトに関わってもいいのかどうか…不安です…」
「藤井だから選んだんだよ」
と言う宮部部長の顔が一瞬,いたずらっ子の笑顔になってたのを私は,見逃さなかった。
「宮部部長…ありがとうございます。頑張りますので、ご指導をよろしくお願いします!」
「OK!しっかり指導するよ」
宮部部長の細くて長い指が私の頭に置かれポンポンッと2回軽く撫でられた。
あの日のハグとはまた別の温かさだった…
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