追憶令嬢のやり直し

夕鈴

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兄の苦労日記10  

登校するとレート嬢に声を掛けられた。一部の男子から羨ましい視線を向けられている。美人で聡明な公爵令嬢は男子の憧れであるらしい。レート嬢はクロード殿下も黙らせる恐ろしい人物と知ってるから俺は憧れなど抱いてない。


「エイベル様、私の茶会でレティシアと一緒に演奏していただけませんか?」

穏やかな笑顔で無理難題を突きつけられた。

「レート嬢、嗜み程度しか演奏できませんが」
「参加してくださればいいです。ビアード兄妹は立たせているだけで票が集まります。エイミーもいるので腕など問題ありません。もちろん茶会までの期間は生徒会の仕事は私が引き受けます。殿下の護衛も外していただけるように手を回してあります」

すでに手を回してあるのか?

「レティシアにも了承をもらってます」

俺は一言も相談を受けてない。アレはまた勝手に了承したのか。

「エイベル、カトリーヌ様、おはようございます」
「おはよう。エイベル様にご用かしら?」
「はい。リール様にご挨拶に行こうと思ったんですが、また今度にします」
「私の用は終わったわ。二人ともよろしくお願いします」
「はい。精一杯がんばります」

レート嬢が立ち去っていった。最初から拒否権はなかったらしい。俺の承諾は取らないのか・・。

「エイベル、お邪魔でした?」

心配そうな顔をする妹を責める気は起きなかった。生徒会の仕事に手を回されたら断れない。

「大丈夫だ。いつ誘われた?」
「昨日の放課後です。エイベルの了承があると聞いたのでお受けしました。」

俺達はハメられたらしい。やはりレート嬢は恐ろしい令嬢である。
妹に手を引かれてリール嬢に挨拶に連れて行かれた。
リール嬢に挨拶をすませた後に妹に珍しく真剣なまなざしを向けられた。

「お兄様、きっと過酷な訓練がはじまるので覚悟してくださいませ」
「リール嬢が?」
「リール公爵家は芸術が関わると人が変わるんです」

愛らしいと男に大人気のリール嬢が豹変する様子は想像がつかない。妹は情緒不安定なんだろうか…。
サイラスに声をかけられた。サイラスは妹の訓練に付き合ってくれる面倒見のよい友人だ。
妹の懐き度には段階がある。サイラスは中の上。フィルやステラは上の中とマナが格付けしていた。上の上は俺だけらしい。マナの格付けはよくわからない。マールは下の中らしい。
サイラスと話している妹をそろそろ教室に帰したほうがいい気がした。ここはマールのクラスでもある。

「レティシア、そろそろ戻らないと授業に遅れる」
「大変。失礼します」

礼をして立ち去った妹にサイラスが苦笑した。

「エイベル、そこまでリオに近づけたくないの?」
「怖がってんだよ。」
「お前、シスコンだよな」
「あのバカは放っておくと倒れるから仕方ない」

サイラスはマールの友人だ。足止めしたのはマールに会わせるためだろう。妹はマールを徹底的に避けている。

「リオの何が駄目なの?」
「妹が怖がっている。それにやり方が気に入らない」

夜会の招待状を送りつけ、生徒会に強引に入れた。妹の意志と関係なく近付こうとするやり方は不愉快だ。

「リオ、もう少し早くくれば良かったのに」
「は?」
「さっきレティシア嬢がリール嬢に会いにきてたよ」

やはりサイラスはマールの味方だった。俺は教室に帰ることにした。

***

放課後には妹の忠告の意味がわかった。
リール嬢の指導は恐ろしかった。

「ビアード様、基本がなってません。レティシア、抑揚がたりません」

バイオリンなんて弾ければいいと思ってたから真剣に練習していなかった。
放課後の俺達の練習は噂になっていた。
周りの男達はリール嬢に近づけることを羨ましがっている。俺は是非代ってほしい。妹も目が虚ろになりながら必死に頷き練習している。生き生きとしているリール嬢と目の死んでいる俺達の様子が楽しそうに見える奴らが不思議でたまらない。

「エイベル、学園の五大美女の二人と過ごせるなんて羨ましい」
「しかもほぼ手中に収めている。」
「親しいのは妹のほうだ。」

友人の中の学園の五大美女はレート嬢、リール嬢、パドマ嬢と妹とセリア・シオン嬢らしい。

「羨ましい」

うっとり見られる顔は気持ち悪い。

「うちの妹はそこまで美人か?」
「はぁ!?」

批難の視線を向けられている。

「お前の目はおかしい。」
「至福の放課後に俺も混ざりたい」
「夢を見れるお前が羨ましい。」
「誰が好みだ?」
「全く興味がわかない。」
「恵まれすぎだ」

頭を叩こうとする手を止めた。
令嬢達の恐ろしさを知らない奴らが羨ましい。言っても無駄なので聞き流すことにした。

***

ようやく茶会の日を迎えた。こんなに日付を数えた茶会は産まれて初めてだ。やっと地獄の訓練から解放される。

「エイベル、何があっても演奏を続けてください。間違えても気にせず演奏してください。」
「物騒なことを言うな」
「茶会は令嬢の戦いです。途中で演奏をやめるのは絶対に駄目ですよ」

真剣な妹の顔に頷いた。令嬢には令嬢にしかわからない世界があるから胸に留めておくことにするか。

「わかったよ。」

俺の答えに妹は満足そうに頷いた。

***

茶会が始まったので演奏を始めた。妹は緊張した様子もなく演奏している。今まで茶会には見学に来たことはなかった。男子生徒の見学者も多い。ステラがうっとりと妹を見ている。
時々妹がステラを見て、嬉しそうに笑っている。マールも見学に来ているな。いつの間にかマールは令嬢に囲まれている。そんなに取り巻きがいるなら、うちの妹は諦めてほしい。
中盤に差し掛かっても全然見学者が引かない。茶会とは足を止めてそんなに真剣に見学するもんなのか。
よくわからない世界だ。
バサリと音がして、視線を向けると妹が座り込んでいた。
魔法を使っている。
妹の作った水球の中に魔石が見えた。水球の中で魔石が爆発して消えた。安堵の顔をした妹が額に汗を流してフラフラと立ち上がった。無理矢理笑みを浮かべている。
時々足が震えて、重心が傾いているけど、妹は俺の顔を見て、首を横に降った。
フルートを口元から離して、何か言っている。

「大丈夫です。そのお顔はいけません」

あのバカ。怪我してる。
演奏しながら近づいて耳元で囁いた。

「支えてやる。」

安堵の笑みを浮かべた妹が俺の背中に体重を預けた。最後の演奏が終わって礼をした途端に妹の体が崩れ落ちたので慌てて腰を抱いた。レート嬢に事情を説明しようとする妹を抱き上げた。妹を無視して、レート嬢に挨拶をして保健室に連れていった。顔を歪めている妹は相当痛いらしい。
靴下を脱いだ妹の右足はひどく腫れ上がっていた。
魔石が足にぶつかっただけと苦笑する妹の頭を容赦なく叩いた。

「なんで、言わなかった」
「茶会の邪魔はいけません。」
「こんな足で演奏するバカがいるか」
「ごめんなさい。カトリーヌ様にとって大事な茶会を壊したくなかったんです。ここでの評価は将来に関わります。」

妹は譲る気はないらしい。レート嬢は茶会の評価くらいものともしないと思うんだけど。

「お人好しが」
「風と火の魔石の純度が高かったんです。」

論点が違う。怪我したことを責めてるわけではない。怪我を隠そうとしたことを怒ってるんだよ。俺が気づかなかったらとぼける気だったのバレてるからな。説教するしかないか。

ステラとマールが駆け込んできた。
ステラはわかるが、なんで無関係のマールが来るんだよ。説教のタイミングを逃してしまった。
ステラとマールが足の怪我を見て無表情になった。

「ステラ、そんなにひどくないから大丈夫です。エイベル、魔力ください」

教師がいなかった。魔力を送ると妹は自分で怪我を治した。よくこの怪我を一瞬で治したな。立ち上がる妹を抑えつけた。体力の限界を迎えているのに無理する妹の体をベットに倒して寝かしつけることにした。
妹は心配そうな顔をしているマールとステラに無理矢理な笑みを浮かべて、目を閉じた。
親しそうにマールに話しかけたけど、うちの妹にいつ近づいたんだろうか・・。

「ステラ、レティシアを頼んでいいか?」
「はい。おまかせ下さい」
「助かる。マール、行くぞ」
「俺は行ってもやることないし」
「お前はうちの妹が倒れたら仕事を引き受けるって言ってなかったか。妹と関係のないお前が付き添う理由はない」

不服そうなマールを連れて生徒会に戻った。
あの状況で魔石を投げ込める人間は招待客か演者だけだ。
招待客とレート嬢に話を聞いたので報告書をまとめることにした。

俺の書いている報告書を覗きこんだマールがいくつか補足をいれた。やはり魔石は招待客の席から飛んできたのか。招待客の令嬢は誰も魔石を投げたと認めなかった。

「ビアード、彼女の自作自演説が出回っている。」
「わかった。調べてくる」

もう一度令嬢達に話を聞くことにした。

「エイベル様、お時間をいただけませんか?レティシアのことです」

パドマ嬢に声をかけられ足を止めた。

「なんでしょうか?」

「レティシアの怪我の件はラタ伯爵令嬢です。彼女の好きな方はリール様に夢中です。魔石は友人より譲り受けたと。またレート様にも思う所が」
「感謝する」
「またレティシアと一緒にお茶にいらしてください」
「はい。お伺いさせていただきます」

まさかレティシアに連れまわされたお茶会の縁が役にたつとは思わなかった。
ラタ伯爵令嬢を探すことにした。

「エイベル様、レティシア様にはフィル様がついてます。これを」

ステラに差し出された紙を読んだ。ステラが神出鬼没なのはいつものことだ。
ラタ伯爵令嬢はリール嬢とレート嬢に恨みがあり招待客の令嬢3人に魔石を渡していたこと。投げ込んだ令嬢の名前等が記載してあった。

「よく調べたな」
「二人のご令嬢が持っている魔石を手に入れたかったんですが、侯爵令嬢だったので、接触できませんでした。レティシア様の自作自演説を流したのはマートン様達です。」

ステラの情報収集能力は高い。

「助かった。ありがたいけど危険なことはするなよ」
「はい。絶対に許しませんわ」
「いや、家で動くから。レティシアが心配するからやめろ。報復には手を出すなよ。お前が関わったとしれば無理してレティシアが動き出すから」
「わかりました」

笑顔で礼をして去って行くステラを見送った。ステラは外見に似合わず物騒な性格をしている。
妹の様子を見に行くと眠っていた。熱があるので今晩は保健室で休ませる予定だ。レート嬢には妹が目を醒ましてから報告すると話してある。

***

翌日の夕方に面会に行くと顔色も良くなり、熱も下がっていた。食事をさせないといけないので起こすことにした。
目を醒ました妹の第一声は茶会のことだった。レート嬢の1位を伝えると安堵の笑みを浮かべた。妹が動き出す前に報告書を見せることにした。俺を驚いた顔で見た後に、小さく笑って読み始めた。妹の顔を見ると報告書は合格らしい。妹は俺の書類仕事も容赦なくダメ出しをするから顔でわかる。


「今回、狙われたのはリール嬢だった。レート嬢の茶会の妨害も丁度良かったようだ。ただ被害者はレティシアだ。どうしたい?」
「カトリーヌ様とエイミー様の判断に従います。ビアード公爵家として必要でしたらお父様に従います」
「は?」
「狙われたお二人の判断に任せます。私は偶然巻き込まれただけですもの。面倒なことには関わりたくありません。ビアード公爵令嬢として必要なら教えてください」

妹の言葉に呆れた。怪我をさせたのに偶然巻き込まれただけだとさらっと言った。こいつには任せられない。

「俺が任されようか?」
「お願いします」

言質は取ったので俺が預かることを決めた。妹に食事をさせて寮まで送り、生徒会室に戻り報告した。

「エイベル、レティシアはこの件については?正直に教えてほしい」

敢えて報告しなかったけどクロード殿下は許してくれなかった。

「自身は無関係なのでレート嬢とリール嬢の判断に従うそうです。ビアード公爵令嬢として父から命令が無い限り動きません。」

周りの視線が痛かった。俺も呆れたから気持ちはわかる。怪我をさせられ、一晩寝込んだのに恨み言の一つも言わなかった。茶会の事しか気にしてなかった。

「レティシアは茶会の件は?」
「不甲斐ない姿を見せたことをレート嬢に謝罪したいそうです。貴重な茶会に水を差し反省してます」

注がれる呆れた視線の意味はわかる。妹は悪くない。反省してほしいのは違うことだ。
あの場で事情を説明して茶会を中断させても責められなかっただろう・・。

「殿下、遅れて申し訳ありません。令嬢より魔石を預かってまいりました。令嬢達は誰にも気づかれずにお茶会で魔石を演者に投げるのが規則と教えられてました。タイミングがつかめずに投げられなかったと。魔石の件を隠したのは、自分が疑われることを避けるためです」

マールの持ってきた魔石の魔法陣には見覚えがあった。
純度の高い火の魔石には爆発、風の魔石には増幅。魔石が足にぶつかった妹は大火傷。発動したら俺達は確実に死んでいた。もし3人全員が魔石を投げれば、殿下達のほうまで被害が出ただろう。

「エイベル、魔法陣の説明を」
「殿下、資料を取ってきます」

確か妹のまとめた魔法陣のノートに同じようなものがあった気がした。妹のノートを取りに行き、分厚いノートを見ながら、同じ魔法陣を探しているとマールにノートを奪われた。
ノートをサラリと見ていたマールが顔を上げた。

「火の魔石は爆発、風の魔石は風の刃、切り刻んで焼き殺すつもりだったんでしょうか。この魔石を水魔法で壊すなら魔力欠乏を起こします。風の魔石を水魔法でよく壊せましたね。」
「レティシアの授業以外の魔法行使の件は不問。さて学園内でおさめるか、家として動くか意見を聞こうか」

クロード殿下の視線はレート嬢に注がれていた。

「両方として動くべきです。生死に関わりました。今回は運がよかっただけです。」

妹がいないから話が進めやすくてありがたい。

「俺も異存はありません。もし派閥として動くなら、この件を調べたのはパドマ公爵令嬢とグレイ伯爵令嬢です。2家には情状酌量を求めます」
「リオ、魔石はどうやって手に入れた?」
「取引しただけです。見逃すとも罪に問わないとも言ってません。1度目に聞かれた時に嘘をついた令嬢には慈悲は不要かと」
「謹慎と退学だな。学園内が荒れるだろうが冷静に対処してほしい。この件の指揮は」
「殿下、俺が引き受けますよ」
「リオ、珍しいな」
「うちの派閥で無関係なのは俺だけですから。」
「わかった。任せるよ」

会議は終わった。また忙しくなりそうだ。

「マール、妹からこの件は俺が全面的に任されているから関わるなよ」
「俺は完璧主義だから被害者のフォローもするよ」

マールが立候補して引き受けたのに嫌な予感がした。この男は率先して仕事を受けたりしない。

「いらない。あいつは自分のことは全く気にしてない。レート嬢が許してくれれば翌日には忘れているだろう」
「甘すぎないか?」
「自分のこと以外ならきちんと裁けるから問題ない」

ロキ達の件で役人に厳しい処罰を父上に求めていた。
当分忙しくて生徒会内が緊張するだろう。
案の上、久しぶりに生徒会に顔を出した妹は俺の背中に隠れた。余計に殿下の怒りを買って仕事を増やされていたのは自業自得だろう。
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