追憶令嬢のやり直し

夕鈴

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兄の苦労日記13    

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妹が怪しい侍女を連れてきた。侍女の様子を遠目で見て、やはり嫌な予感がする。
妹をロキに任せて専属侍女のマナと護衛騎士マオを呼び出した。
ルメラ領でのことを妹を咎めないと前置きをして報告させる。
妹の説明は色々と抜け落ちていた。故意なのかうっかりなのかは判断がつかない。

「マナ、調べてあるんだろう?」
「リアナはルメラ男爵の愛人の娘で、村から離れた家に母と二人で住んでます。母は家から出ません。リアナは村に遊びに行っております。男性からの人気はありますが、女性からは嫌われてます。ルメラ男爵の娘と知られているので、手を出されることはありません。リアナもお嬢様もルメラ男爵のことを知りません」

マナは妹の望んだ情報しか教えないように母上に命じられている。ただいつ問われても即答できるように情報収集を怠らない。

「マオ、レティシアとの出会いは?」
「お嬢様がリアナの家を訪ねて、お菓子を渡して近づきました。」
「何か世話になったのか?」
「全く。むしろ、お嬢様が洗濯をしてました。リアナは朝早くにお嬢様を訪れ、一日中一緒に過ごしてました。お嬢様は彼女が忘れていたという家事を快く手伝ってました。」

ターナー伯爵家で家事を覚えていた。ビアードの孤児院に手伝いにも行くが、他領の人の家の家事までやらなくてもいいと思う。仮にも公爵令嬢が。

「隔離されて、母と二人で育ち、母に洗脳された哀れな少女か?」

「母は妄想にとらわれてます。リアナに下賤な村人と関わる必要はないと教えています。彼女は選ばれた姫と教えていました。いずれ王妃になると。また上位貴族の子息を虜にするそうです。リアナは全てを手に入れると。もちろん坊ちゃんの名前も入ってましたよ。俺には可哀相な二人には見えません。働かずに、自由な生活を送られてます。」

あいつが俺に惚れるなと忠告してきたのはこのためか?
妹の感覚がおかしかったか。

「愛人のことはルメラ領では極秘にされています。母はルメラ領の育ちのため、村では有名です。幼い頃に両親を亡くし祖父と二人で生活してました。幼い頃にルメラ男爵に見初められ資金援助を受けていたので、苦労を知りません。ルメラ男爵との仲を諌める祖父が亡くなってからは、与えられた家でルメラ男爵を待ちながら過ごされています。ルメラ男爵の影響か高慢な態度で村人には嫌われていたので、あえて関わる者はおりません。」
「お嬢様は母を療養所に入れたかったようですが、男爵を待つと言うので、諦めました」

妹に母親は精神異常者に見えたのか。
母も娘も禄な教育がされていないことはよくわかった。

「リアナは母の妄想よりも、ハクに夢中です。ハクの情報はありません。お嬢様がハクとの恋を応援し、ハクに会う方法として学園に侍女として連れていくことを提案されました。リアナはハクに会うためなら、家族も即答で捨てました。悩む様子もなく」

母親への情はないか。二人っきりで育ったのに。

「レティシアはどうやって引き取ってきた?」
「リアナは母を説得することは思いついてませんでした。お嬢様が自ら侍女に雇いたいと説得を。母はリアナが王妃になると言うので、お嬢様がなら必要な教育を受けさせると話されてました。リアナは二人の話し合いの時には荷物整理をしてました。」

母親の了承もとらずに、飛び出すなら親子の情も薄いのか。

「母親から預かる旨の承諾書にサインは?」
「ありません。」

あのバカ。誘拐と訴えられたらどうする気だ。
あとで承諾書を取りに使いをやるか。長期休みで良かった。

「母親からの了承を取ったあとはルメラ男爵夫妻を訪ねました。

「本日はお願いがあって参りました。私は療養のため、滞在したときに一人の少女に会いました。倒れたところを彼女が見つけてくださいました。彼女にお礼がしたくて、家庭環境を聞いたら驚きましたわ。村から離れた家に母親と二人暮らしで村人との交流もないそうです。母親は彼女は王子殿下や私の兄を誘惑してお姫様になりなさいと教育してますの。私は恩人をそんな環境に置いていたくありません。少女の同意は得ております。彼女が望むなら定期的に母親との面会も約束します。この少女はうちで保護してもよろしいですか?私は恩人を不敬罪にしたくありません。母親の証言も得ております。必要でしたら私の護衛に証言させましょう。まさか平民の少女が王子殿下や兄にそのようなことを・・・。私の兄を取り巻きの一人にするなんて不愉快です。ルメラ男爵家に監督不行き届けとして。」

と話され男爵夫人がリアナの引き取りを許可しました。最後に母が村から隔離されてることを話され、領主なら保護しろと約束を取り付けてました。」

妹は脅したのか・・。ルメラ男爵家なら俺への不敬だけでも裁ける。
俺のことで怒ったのか?あいつは強引なことはしないはずだが・・。

「父上と母上はご存じか?」
「ご存じありません。」
「二人から見て、あれは素敵なお友達か?」
「初めてお嬢様の判断を疑いたくなりました」

妹に忠誠を誓うマナさえ受け入れられない。

「ステラ様やフィル様と比べたくありませんね」

俺と同じ意見らしい。あいつの仮病も含め報告するか。
両親に報告すると妹に甘い両親さえも険しい顔をしている。

「レティったら」
「仮病の件は俺が言い聞かせました。」
「しっかりしているが、まだ子供だな」
「貴族相手の社交とは勝手が違うわね。ビアード公爵家に害がないように手を回さないといけないわ。せっかくだし利用しましょう」
「母上?」
「ルメラ男爵家へは私が手を回すわ。そこから先は二人でやりなさい。エイベルとレティの意見の相違は今後も出るでしょう。嫡男としてどう妹と領をおさめるか楽しみにしてるわ。家臣は自由に使いなさい。手におえないなら相談しなさい。」
「わかりました。俺からもリアナに確認をしますが、父上達も本人が同意でうちに来た確認だけお願いできませんか?」
「わかったわ。承諾書もとるわ。一度本人を連れて、男爵夫妻と話してくるわ。ビアード公爵の力がいるなら相談なさい。エイベルが頼もしくなってお母様は安心よ」
「エイベル、妹を守るのはお前の役目だ。」
「はい。必ずや。お時間いただきありがとうございます」

話は終わったので席を立つ。

「レティはうちのために武門貴族の伝手を広げているわ。何かあればうちの家門を、エイベルを助けてもらえるようにですって。」

楽しそうな母上に投げかけられた言葉に目を見張る。あいつの社交のことは知らない。うちのために動く妹のために手を回すか。
俺は新しい侍女を呼び出して、意思確認して承諾書を書かせた。ロキが同席を希望したので控えさせた。
ロキは新しい侍女をすでに嫌っている。妹の前では上手に隠している。ロキは聡い、母親のローナもよく働く。
ただ今回だけは妹の拾い物は失敗かもしれない。
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