追憶令嬢のやり直し

夕鈴

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第四十三話 新学期

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2年生になりました。
カトリーヌ様とパドマ様が卒業されてしまいました。
カトリーヌ様は卒業後は諸外国に留学に回るそうです。クロード殿下のことを頼まれましたが、曖昧に頷くしかできませんでした。
定例では新入生の役員を決めるんですが、クロード殿下が公務で留守の為延期になっています。
私は新入生の教室に生徒会の挨拶に回ってます。
1年3組です。生前にお付き合いのある後輩の顔がありました。

「入学おめでとうございます。生徒会役員のレティシア・ビアードと申します。平等の学園ですが不自由なこともあると思います。何かお困りの際は生徒会に声をかけてください。また月に2回休養日に自由参加のお勉強の日を設けています。そちらでわからないことは質問していただいても構いません。生徒会の話はここまでです。もし騎士に興味のある方、強くなりたい方がいれば私に声をかけてください。身分や魔力、属性に関係なく志のある方には、訓練の場をご用意します。何か質問のある方はいらっしゃいますか?」

挙手した後輩に声をかけます。

「どなたが訓練をしてくれますか?」
「希望がなければエイベル・ビアードです。定期的に訓練指導の日を設けています。風属性以外で騎士を目指す方もビアード家門は大歓迎です。魔力がなくても魔法を使う方法はあります。ビアード以外も訓練希望の家があれば調整しますので声をかけてください。」
「エイベル様と手合わせを!?」
「はい。騎士道精神さえ守っていただければ無礼を咎めたりしません。では失礼します」

礼をして立ち去り1年2組と1年1組に挨拶に行きました。
無事に終えたので、教室に戻ることにしました。

「ビアード、悪い」
「もう終わったので大丈夫ですわ」

カーチス様は日直の為挨拶まわりに参加できませんでした。
ロキは大丈夫かしら・・・。学園で少年執事が有名にならないといいんですが。
護身術は教えているから大丈夫でしょうか。
ぼんやりしていたら授業が終わりました。
放課後はエイミー様のお茶会に招待されています。
カトリーヌ様が卒業されたのでエイミー様がうちの派閥の令嬢をまとめます。エイミー様が卒業されたら私に回ってきます。
情報交換を行います。ここでは人気の男子生徒が話題になるのはありがたいです。私は人気のある方には近づきません。最近はサイラス様が人気があがったので、近づかないようにしています。
令嬢達の好きな恋の話題が始まりました。
エイミー様の初恋の話に目を輝かせてます。エイミー様はリール公爵令嬢として定期的に王家に参内されます。国王陛下は音楽が好きなため定期的にリール公爵家の演奏会を楽しまれています。初めて一人で演奏を披露するときに緊張しているエイミー様に優しいく声をかけてくれる殿方に出会ったそうです。無表情でも優しい瞳に心が奪われたそうです。出会えたのは2度だけだったそうです。

「エイミー様、おいくつの時ですか?」
「社交デビュー前だったのでいつかしら・・」

社交デビュー前なら8歳より前です。王宮に参内が許されるのは限られた者のみです。子供で身元不明って、思い当たる方は一人しかいません。レオ様は幼い頃からお忍びしていたと話していました。クロード殿下も変装しますが優しい瞳は持ってません。私はレオ様の将来のお嫁さん候補を見つけましたわ。

「ありがとうございます。いつかその方にお会いできるといいですわ」
「どこかで私の演奏を聴いてくださってると思うだけで満足よ」

エイミー様のとろけるような笑みに見惚れてしまいました。エイミー様は可愛らしいです。

「レティシアはどんな方が好きかしら?」

私にはそんな素敵なお話はありませんが私は模範解答を知っています。

「お兄様が一番です」
「エイベル様以外だと?」
「お父様です」

がっかりした視線を向けられるのもわかってます。エイミー様に楽しそうな顔で見られました。

「どんな人と結婚したいかしら?家のことは考えないで。貴族にも夢と憧れはあるでしょ?」

エイミー様の初恋の話を聞いて、懐かしい思い出が浮かびました。思い浮かぶのは一人だけです。

「ずっと一緒にいてくれて、私だけを見てくれる人です。不安になると抱きしめてくれて、一緒にいるだけで幸せを・・くださる方がいれば素敵だと思います」

視線を感じて、失言に気付きました。誰かを思い浮かべた言葉は誤解を招きます。

「レティシアも女の子ね。もう少し教えてくれる?」

困りました・・。私のリオの好きなところはたくさんありますがこの場で言えることは少ないです。

「頼りになって、強くて、優しい方が素敵ですわ。」

「わかりますわ。貴方のお兄様はどんな方が好みかしら?」

期待した目のご令嬢の言葉に笑みを浮かべます。話題を変えますわ。うっかり私のリオのことを話さないように。

「お兄様の恋人は訓練です。私は剣と結婚したいと言われたらどうしようかと思います」

令嬢達が笑い出しました。

「エイベル様ったら」

話題が変わったことに安心しました。和やかな空気が流れています。うちの派閥は問題ないので令嬢に絡まれることはないと思います。ただパドマ様の卒業により学園内の敵対派閥の筆頭がマートン様になりました。嫌がらせが始まる気がします。敵対派閥にも何人か親しくしている令嬢はいますが抑止力には弱いです・・。嫌な予感しかありません。
お茶会が終わったので帰ることにしました。

あれは?
まぁ。リオったら大胆ですわ。廊下でご令嬢と抱き合ってますわ。
あれは別人です。私のリオは他の令嬢を抱きしめたりしません。私のリオが抱きしめるのは子供を除けば私だけです。リオの腕は私のものっていつも言ってました。別人には興味がありません。私は気配を消してそっと通り過ぎました。

***

お昼休みにステラと食事をしていると歓声が聞こえました。また人気の殿方が来たんでしょう。

「グレイ嬢、時間をもらえないか?」

リオの声に嫌な予感がしました。リオに警戒されないように笑顔で見つめます。

「マール様、ステラにご用件とは?」

「ここでは、」

私の勘はあたりですわ。顔の赤いリオを睨みます。

「ステラに近づかないでください」
「え?」

とぼけた顔をしてもごまかされません。

「恋人がいますのに、ステラに手を出すことは許しません。ステラを泣かせたら絶対に許しません」
「レティシア、落ち着けよ。ステラが相手にしないよ。」

フィルに肩を叩かれました。

「私はレティシア様が一番です。行ってきます」
「ステラ、何かされたら声をあげてください。私が絶対に助けますわ」
「ありがとうございます。」

愛らしい笑みを浮かべるステラを見送ります。
ステラにまで手を出したら絶対に許しません。

「お嬢様!!」

ロキが来たので頭を撫でます。

「お昼をお嬢様と食べていいって」

フィルが椅子を用意してくれました。

「どうぞ」

ロキがデザートを机の上に並べてくれました。ロキは優秀なので料理も上手です。
ビアード公爵家で最年少の執事です。

「ありがとう。困ったことはありませんか?」
「エイベル様のお役に立てるように頑張ります。お昼はお嬢様とご一緒してもよろしいですか?」

嬉しそうなロキの頭を撫でます。エイベルは休み時間も訓練にあてることが多いので、預かってろってことですかね。使用人は食事の時間がズレるのですが子供のロキは規則正しく食事をさせるように命じています。

「大歓迎です。教室にいるから、いつでもいらっしゃい。」
「ありがとうございます。」
「ロキ、食事がすんだら見てやろうか?」
「フィル様、ありがとうございます」

フィルがロキの武術を指導してくれるみたいです。ロキはステラとフィルとも仲良しです。

「ロキ、いらっしゃい」

ステラは帰ってきました。ロキに笑顔を向ける様子にリオに何もされていないことに安堵しました。ステラがリオとリオのファンに絡まれないように気をつけましょう。
そして学園でできる限りロキが健やかに育つようにも。
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