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元夫の苦難 9
登校するとルイーザ・ラズ侯爵令嬢に待ち伏せされていた。
「リオ様、レティシア様に全く意識されてませんがよろしいのですか?」
「関係ないだろう」
「変わった方ですよね。私の方が絶対お役に立ちますよ」
俺は喧嘩を売られているのか?外交問題になるから心を折れば問題になるよな…。
レティシアも君にだけは言われたくないと思うが…。少なくともレティシアは留学先で嫌がる貴族に付き纏わないし悪口も言わないし決闘を挑んだりしない。
能力重視の父上達が外交官に欲しいと口にしたのは今の所はレティシアだけだ。
「レティシアはうちの家族に気に入られている。父上と義姉上は特に」
「エレン様ですか!?」
「ああ。絶対に逃すなと」
「あまり社交は得意なようには見えませんが…」
「俺は用があるのでこれで」
なんでレティシアの悪口を伝えにくるんだろうか…。彼女の起こした問題を穏便に収めているのはレティシアだ。彼女が動かなければ、殿下が仲裁に動くかラル王国に抗議を申し立てるか、どれだけ面倒になったのかわからないのか?人の話を聞かない相手に話しても無駄か。
クロード殿下はレティシアが仲裁に駆け回っているのを知っている。
レティシアが報告しなくても彼女の非常識な行動は注目を集めている。そして臣下を放置して自分に色目を使う姫君に辟易している。
この留学で楽しそうなのはラル王国側だけである。
立ち去ると追いかけてこないことにほっとした。以前より付き纏われていないのだけはありがたい。
***
放課後にカーチスに用があり2年1組を訪ねるといない。レティシアもいないのか…。
「マール様、グルト様ならレティシアの部屋にいますよ」
「は?」
「クラムがいないので、レティシアが接待役の代役を。俺、伝言頼まれてるんですが帰ってこないんですよ。伝えていただけますか?」
「ああ。伝えておく」
「ありがとうございます。失礼します」
レティシアの友人のフィル・カーソンは礼をして教室を出て行く。女好きのグルトの接待をレティシアが?
嫌な予感しかせず、レティシアの部屋に足早に進むと友人と話しているカーチスを見つけた。視線を向けると目が合い、駆け寄ってきた。
「グルトはどうした?」
「すみません。たぶん教室です」
「レティシアの部屋にいる」
カーチスが目を見開いた。
「ビアード!!まずい!!すみません!!失礼します」
慌てた様子でカーチスがレティシアの部屋に足を早めたので追いかける。
ノックをせずにカーチスがレティシアの部屋に入り固まっている。
部屋の中には楽しそうなラズ侯爵令嬢と真っ赤な顔のアリス・マートン嬢が目に入った。
二人の視線の先の光景は許せないものだった。
レティシアの髪に口づけながら、レティシアと見つめ合うグルトは斬ってもいいだろうか・・。
「レティシア!?」
ゆっくりと振り向いたレティシアは俺とカーチスを見て淑やかな笑みを浮かべた。
「カーチス様、お疲れさまです。ラズ様のおもてなしを代わってください」
言葉を失っているカーチスは放っておいて、レティシアの髪から手を離さないグルトを睨む。
「離れてくれないか」
「マール様、振り払ったら外交問題になりますか?」
振り払わないのは接待役だからか?
いつもと同じ穏やかな顔を向ける無防備なレティシアが心配でたまらない。
いつか襲われるんじゃないか?
グルトを意識していないことに喜ぶべきか?今はレティシアの美しい銀髪に触れている男の排除が先決か…。
「ならない。むしろ、訴えるなら喜んで協力するよ」
「アリス様に同じことをしたら沈めますので覚えておいてください」
綺麗な笑みを浮かべてグルトに向き直ったレティシアの言葉に目を丸くする。見つめ合う二人が不愉快だから強制的に引き離そう。
レティシアに用事を聞かれたので笑みを浮かべる。
「グルトを迎えにきた。代役悪いな。行くか」
グルトのレティシアに触れていた手を強く掴み退室した。
「邪魔するなよ」
「後輩に手を出されるわけにはいかない。女遊びは帰国してからにしろよ」
「恋愛は自由だ。レティシアに恋人はいないんだよな?慣れてないか?」
「は?」
「俺に迫られて動揺しない令嬢は初めてだ。静かに見ているだけで、頬も染めない。髪ではなく口づけたら」
「迫るな!!」
「グルト、ビアードは物凄くモテる。令嬢に慕われて赤面しても男に迫られて慌てることはない。押し倒されても動じない」
サラリと言ったカーチスの肩を掴んだ。
「押し倒した?」
「ご、誤解です。武術の手合わせで…」
「無関係なリオに文句を言う権利があるのか?」
「無関係じゃない」
「レティシアは無関係って言ってるのに?」
「マール様を挑発するなよ。ビアードは重度のブラコンだから無謀だよ。未だに誰も落とせていない」
「ブラコンか…。まだ時間はあるから。それに」
「カーチス、きちんと接待しろよ!!離れるなんて許さないから。今回は見逃すけど次は覚悟しておけ。レティシアに接待の代役させたら」
「マール様!?」
真っ青な顔で見るカーチスをしっかりと脅す。
留学生の接待の統率責任者は俺だし、トラブルは防がないと。
俺はグルトをレティシアにできるかぎり近づけないように手を回すことにした。
妹のラズ侯爵令嬢がレティシアに付き纏っているのはこの際見逃す。
留学生の受け入れがなくなればいいのに。
クロード殿下も迷惑そうに接待している。殿下にとって問題を起こす臣下を制御できない問題ばかり起こしそうな姫様達は好みじゃないから仕方ないか。早く留学期間が終わるのを祈るばかりである。
「リオ様、レティシア様に全く意識されてませんがよろしいのですか?」
「関係ないだろう」
「変わった方ですよね。私の方が絶対お役に立ちますよ」
俺は喧嘩を売られているのか?外交問題になるから心を折れば問題になるよな…。
レティシアも君にだけは言われたくないと思うが…。少なくともレティシアは留学先で嫌がる貴族に付き纏わないし悪口も言わないし決闘を挑んだりしない。
能力重視の父上達が外交官に欲しいと口にしたのは今の所はレティシアだけだ。
「レティシアはうちの家族に気に入られている。父上と義姉上は特に」
「エレン様ですか!?」
「ああ。絶対に逃すなと」
「あまり社交は得意なようには見えませんが…」
「俺は用があるのでこれで」
なんでレティシアの悪口を伝えにくるんだろうか…。彼女の起こした問題を穏便に収めているのはレティシアだ。彼女が動かなければ、殿下が仲裁に動くかラル王国に抗議を申し立てるか、どれだけ面倒になったのかわからないのか?人の話を聞かない相手に話しても無駄か。
クロード殿下はレティシアが仲裁に駆け回っているのを知っている。
レティシアが報告しなくても彼女の非常識な行動は注目を集めている。そして臣下を放置して自分に色目を使う姫君に辟易している。
この留学で楽しそうなのはラル王国側だけである。
立ち去ると追いかけてこないことにほっとした。以前より付き纏われていないのだけはありがたい。
***
放課後にカーチスに用があり2年1組を訪ねるといない。レティシアもいないのか…。
「マール様、グルト様ならレティシアの部屋にいますよ」
「は?」
「クラムがいないので、レティシアが接待役の代役を。俺、伝言頼まれてるんですが帰ってこないんですよ。伝えていただけますか?」
「ああ。伝えておく」
「ありがとうございます。失礼します」
レティシアの友人のフィル・カーソンは礼をして教室を出て行く。女好きのグルトの接待をレティシアが?
嫌な予感しかせず、レティシアの部屋に足早に進むと友人と話しているカーチスを見つけた。視線を向けると目が合い、駆け寄ってきた。
「グルトはどうした?」
「すみません。たぶん教室です」
「レティシアの部屋にいる」
カーチスが目を見開いた。
「ビアード!!まずい!!すみません!!失礼します」
慌てた様子でカーチスがレティシアの部屋に足を早めたので追いかける。
ノックをせずにカーチスがレティシアの部屋に入り固まっている。
部屋の中には楽しそうなラズ侯爵令嬢と真っ赤な顔のアリス・マートン嬢が目に入った。
二人の視線の先の光景は許せないものだった。
レティシアの髪に口づけながら、レティシアと見つめ合うグルトは斬ってもいいだろうか・・。
「レティシア!?」
ゆっくりと振り向いたレティシアは俺とカーチスを見て淑やかな笑みを浮かべた。
「カーチス様、お疲れさまです。ラズ様のおもてなしを代わってください」
言葉を失っているカーチスは放っておいて、レティシアの髪から手を離さないグルトを睨む。
「離れてくれないか」
「マール様、振り払ったら外交問題になりますか?」
振り払わないのは接待役だからか?
いつもと同じ穏やかな顔を向ける無防備なレティシアが心配でたまらない。
いつか襲われるんじゃないか?
グルトを意識していないことに喜ぶべきか?今はレティシアの美しい銀髪に触れている男の排除が先決か…。
「ならない。むしろ、訴えるなら喜んで協力するよ」
「アリス様に同じことをしたら沈めますので覚えておいてください」
綺麗な笑みを浮かべてグルトに向き直ったレティシアの言葉に目を丸くする。見つめ合う二人が不愉快だから強制的に引き離そう。
レティシアに用事を聞かれたので笑みを浮かべる。
「グルトを迎えにきた。代役悪いな。行くか」
グルトのレティシアに触れていた手を強く掴み退室した。
「邪魔するなよ」
「後輩に手を出されるわけにはいかない。女遊びは帰国してからにしろよ」
「恋愛は自由だ。レティシアに恋人はいないんだよな?慣れてないか?」
「は?」
「俺に迫られて動揺しない令嬢は初めてだ。静かに見ているだけで、頬も染めない。髪ではなく口づけたら」
「迫るな!!」
「グルト、ビアードは物凄くモテる。令嬢に慕われて赤面しても男に迫られて慌てることはない。押し倒されても動じない」
サラリと言ったカーチスの肩を掴んだ。
「押し倒した?」
「ご、誤解です。武術の手合わせで…」
「無関係なリオに文句を言う権利があるのか?」
「無関係じゃない」
「レティシアは無関係って言ってるのに?」
「マール様を挑発するなよ。ビアードは重度のブラコンだから無謀だよ。未だに誰も落とせていない」
「ブラコンか…。まだ時間はあるから。それに」
「カーチス、きちんと接待しろよ!!離れるなんて許さないから。今回は見逃すけど次は覚悟しておけ。レティシアに接待の代役させたら」
「マール様!?」
真っ青な顔で見るカーチスをしっかりと脅す。
留学生の接待の統率責任者は俺だし、トラブルは防がないと。
俺はグルトをレティシアにできるかぎり近づけないように手を回すことにした。
妹のラズ侯爵令嬢がレティシアに付き纏っているのはこの際見逃す。
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