追憶令嬢のやり直し

夕鈴

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王家の厄介事 王子の災難 前編

エドワードとリオとレティシアを執務室に招いてから執務が楽になった。
王宮行事に顔を出さないレティシアへの印象は悪かった。社交デビューで顔を見た時も特に印象はなく公爵令嬢として務めを果たさないレティシアは誰にでも評価が厳しいカトリーヌと他人に興味のないリオが推薦しなければ生徒会に入れるつもりはなかった。
ただ二人の評価通り有能だった。いつも一定の距離を保つのに時々誰よりも距離を詰めてくるのに不自然さも不快さもなく、なぜか受け入れる自分がいた。そしていつも怯えているのが嘘のように時々強い瞳や優しい瞳を向ける。ほとんど共に過ごした時間なんてないのに昔から時間を共有していた気がする不思議な存在だった。

今まで悩みの種だったレオは最近は問題を起こさなくなった。生徒会でのレオを見て、ずっと疑念が消えない。
生徒会役員としてはレオは有能だ。エイベルとレティシアと三人で笑っている顔を見て驚いた。いつも無表情で無口なレオが。しかもレティシアと話すマニアックな魔法についての会話は高度で理解できていない者もいた。エイベルに聞くとレティシアは入学当初からレオと親しく友人だったらしい。エイベルにとっての意味のわからない会話は日常茶飯事。報告を求められなかったからしなかったと謝罪されて公爵令嬢暗殺未遂事件の時の二人の行動の意味が理解できた。

思い返せばレオは学園では問題を起こしていない。問題を起こすのは王宮と大臣達の前で国外の来賓の前では粗相はしない。

初めてレオの奇行を見た時は言葉を失った。
用意された食事をひっくり返し、服も破り捨てる。
使用人に食器を投げつけたり、水を浴びせたり・・・。
サラ様以外は誰も傍に近づけない。
私にとってはレオはいくつになっても不機嫌な顔で当たり散らす癇癪持ちの子供。王子を諫められる者はいないから私が呼ばれる迷惑な弟。

「クロード殿下、国王陛下が倒れました」

侍従に呼ばれ父上の寝室に行くと父上は眠り母上が手を握り医務官が診察をしていた。

「容態は」
「原因がわかりません。声を掛けても反応されません」
「ルーン公爵を」

顔色が悪くないから生死の危険はないだろう。
しばらくすると入ってきたルーン公爵が父上に治癒魔法をかけ首を横に振った。

「申しわけありません。原因がわかりません」

医務官もルーン公爵も原因不明・・・・。
病ではないのか?

「サラよ」

父上の手を握り伏せっていた母上が顔を上げた。

「陛下はサラとお茶をして倒れたわ。怪しい草を育て、原因不明なものを作るのはシオンよ」
「母上?」
「サラとレオを捕えなさい。罪人の言葉など聞く価値はない。陛下の御身を危険に晒すなんて万死に値するわ。夜明けとともに処刑よ」
「母上、落ち着いてください。父上は」
「クロード、陛下の御身をお守りするのが一番よ。後宮の管理は私の権限よ。わかるわね?」
「アリア様、処刑は早計かと」
「陛下を治せない役立たずが」

眉を吊り上げて、声を荒げている母上は動揺している。

「母上、裁判にかけずに処刑するのは」
「国王陛下の御身を危険に晒すなど妃として一番許されないわ。妃の命は陛下のもの。クロード、陛下には私がついてるわ。あなたはやるべきことをやりなさい」

母上が癇癪をおこすと何を言っても聞かない。
陛下不在のため指示を出さないと、警備の見直し、会談の調整、やることは山積みだ。
母上は殺人未遂と思っているのか?
サラ様がそんなことするだろうか?痕跡を残すような人だろうか。
離宮に籠り、父上に呼ばれないとほとんど出てこない方が。
王宮の閉鎖と警備の見直しの指示を出していると神官を見つけた。どんな罪人も処刑の前に神官の前で祈りを捧げることが許される。母上は本当に処刑するつもりなのか・・?

頭をよぎったのは優秀なのに問題ばかり起こす手のかかる後輩の顔。
1度は間違えかけた。
頭の中でずっと警笛が響いている。
各所に指示を出しに回っているとロダが跪いている。
呼んでいないのに現れるのは初めてだ。ロダが跪くのは私にだけ。

「クロード殿下、お時間を。レティシアが急ぎで面会を求めております」
「まだいるのか?」
「はい」

帰っていなかったのか。
ロダの部屋に行くと、椅子に座り机に伏せって眠っているレティシアに気が抜け、エイベルの頭を叩く気持ちがよくわかった。
ロダに肩を揺らされ起きたレティシアが立ち上がり頭を下げた。

「クロード殿下、お願いです。調べさせてください」

事情を知っているのか・・・。
母上の決定は覆せない。必死にルーン公爵が説得しているだろうが・・。後宮での正妃の権力に王子は敵わない。
後宮には取り決めがある。
後宮だけは裁判せずに王族に害をなす者を裁く権限もある。父上の持つ権限だが意識不明のため母上に移行されている。先ほど神官達が準備を進めていたから、もう・・。

「処刑が決まったからもう遅い」

頭を上げたレティシアに見たことのないほど静かな瞳で見つめられた。

「殿下、教えてください。この処刑はクロード殿下は納得されてますか。どうか」
「不審な点はある。ただ父上が意識がないなら後宮の権利は母上のものだ。私には止められない」

ふわりと柔らかい笑みに目を奪われ、なぜか体の力が抜けた。

「クロード殿下、私の忠誠は殿下のものです。時間を作る方法を殿下はご存知です。私に命じてください」

一つだけ方法はあった。未成年の目の前に跪いたレティシアが知っているはずがない。
王族、上位貴族当主夫妻、長官しか知らない方法を。

「私が時間を稼ぎます。きっとクロード殿下とサラ様とレオ様で調べてくだされば真実はわかります。そこにセリアが加われば陛下の病も治りますわ。このままだと、後悔しますわ。クロード殿下も私も。後悔を持って生きるなら、自分の信念を通させてください」

顔を上げて決意を秘めた瞳で見据えて、柔らかい声で話すレティシアは本当にわかっているんだろうか。

「一歩間違えれば死ぬんだよ」
「私は殿下を信じてます。貴方の命令で死ぬなら本望です」

レティシアの瞳に迷いはなく、一心に向けられる信頼はエイベルが向けるものとそっくりだ。ただエイベルとレティシアは違う。どうしてこんなに私を信じるんだろう。特別扱いなどしたことがなく、優しくした記憶もない、忠誠を捧げられるほど共に過ごしていない。
精霊の審議・再審の記録はない。それが意味するのは生者がいないということ。

「あの儀はどんなものかわからない。伝承だけで記録はないんだ」

「貴重な記録になりますね。殿下、命じてください。私、体力はありませんが精神力は鍛えてましてよ。お任せください」

王家の事情に未成年のレティシアを撒き込みたくない。ただこの強い瞳のレティシアに嫌な予感がする。

「私が命じなければどうするんだ?」

「アリア様に直談判にいきます。クロード殿下に迷惑のかからないようにレオ様の名で行ったほうがいいですか?ただ王族の了承がないと意味はないので一芝居売って欲しいんです。アリア様を説得できなければ、殿下が許していただけませんか?」

決めたら揺るがない。王家の為に命を捧げる忠臣の血だろうか。
もしレオ達が主犯だった時のために私を庇おうとしているのか。止めたら、処刑場に乗り込むか、儀式をするために動くよな。家臣のために海の皇国の皇族と取引するレティシアはレオ達を絶対に諦めない。反対するよりも・・・。

「私は偶然真相を知った君に頼み込まれたと」

「優しい先輩は我儘な後輩の頼みは断れませんもの。お願いします。付き人はロダ様にお願いします。私が意識を失ったら容赦なく起こしてください。私はアリア様に嫌われてるのできっと許していただけます」

にっこり笑う年下の少女が決意を決めた。
覚悟を決めた臣下の期待に応えられないなんて王族失格だ。男としても情けない。迷いを断ち切り、自分を信じる。

「レティシア、死ぬことは許さない。守れるか」
「命に代えても。殿下の命に従いますわ」

強い瞳で頷く臣下に恥じない王族に。命を捧げられるのは名誉なことという教えを頭の中で繰り返す。
ロダの部屋でレティシアに休むように伝えて部屋を出る。

「彼女なら大丈夫ですよ。力を抜いてください。」

私の肩に手を置いて笑っているロダに気が抜けた。海の皇国の元皇子である友人は何があっても動じない。
未成年で落ち着いているロダを筆頭魔導士が評価していた。
儀式の説明をするとお任せくださいと静かに微笑むだけだった。何が起こるかわからない儀式に迷いもなく頷く有能な魔導士で頭の回転も速い、友人であり優秀な臣下はありがたい。王家ではなく私に忠誠を誓うので、使いやすかった。私の命令でないなら、脅されても動かない度胸も嫌がらせを涼やかに流す所も気に入っていた。ロダなら何があってもレティシアの傍で見守ってくれるだろう。権力にも情にも流されない私の命にだけ忠実なロダなら。初めての儀式に妨害しようとする者からも。


***

母上は父上にずっと付き添いながら、処刑の指示を出しているらしい。
ルーン公爵を呼び出すと説得は無理と言われた。

「ルーン公爵、精霊の審議・再審をレオの名代で受けたいと申し出があった」
「それなら時間が作れましょう。どなたが」

ルーン公爵は動揺せずに頷いた。確かに時間稼ぎには最善の方法だった。

「ビアード公爵令嬢」
「なぜ?」
「偶然話を聞いたと懇願された。母上に直訴する機会をほしいと。レティシアはレオの友人だ。この儀で死ぬなら本望と正しい道をと説かれた」
「ビアードの血か。答えは殿下にとって辛いものかもしれません」
「臣下で後輩の少女が命を賭けて臨むと決めた。その覚悟を保身のために踏みにじるなら王族たる資格はない」
「かしこまりました。アリア様にお話しましょう。冷静になっていただけるといいんですが」

ルーン公爵も母上に頭を抱えているのか。
ルーン公爵は無表情で感情が読めない。
母上に罵られようと何があっても動揺を見せず、全く感情を読ませない。
王家は精霊の審議は拒めば精霊の怒りに触れると言い伝えられている。
父上の傍を離れることを拒む母上を説得しレティシアと謁見する了承を得た。
ただ謁見で私は母上の正気を疑ってしまった。
遺書を渡し命を賭ける決意をしたレティシアに対価を求めるとは思っていなかった。
調査や儀式のことを手間と言った。誰よりも正しさを求め、臣下の忠誠を称賛すべき立場なのに。

「この儀で私の命が尽きましたら、遺体をご自由に使ってください」

目を閉じ思考していたレティシアが、目を開けてゆっくりと母上を見つめて、静かに話した。

「辱めを受けても?」

「はい。ビアードの瞳を持ち水属性の私の遺体は役に立つでしょう。シオン伯爵令嬢にもお墨付きをいただいておりますので、アリア様の貴重な時間をかける対価に値すると存じます」

口を挟む前にレティシアの言葉が続いた。これ以上非人道的なことをさせるわけにいかない。

「母上、流石にそれは」

「クロード、陛下の御身が危険なのに余計なことをさせるのよ。でもこの子なら数時間の猶予かしら。明朝の処刑の予定が昼までのびるかしら」

レティシアはすぐに死ぬと思われているのか。臣下の死を天気の話をするように軽く語る様子にぞっとした。命懸けで正しい道を説く決意を示した臣下に見せる姿ではない。心になくても表面でだけは讃えるべき立場だ。
諫める言葉は届かないだろう。王太子なんて名前だけで無力。レティシアは母上の言葉に動揺せず静かに沙汰を待っている。母上を頷かせるなら、冷たい空気を纏って母上に向き直る。

「レオ達を釈放するにあたり私が監視につきます。後輩であり臣下の最期の頼みを無碍にはできません」

「貴方がそこまで言うなら許しましょう。王家にとって役に立たない者を庇護するのもね・・」

母上は狂っているのかもしれない。
きっと私の勘は当たっている。命懸けで正しい道を示そうとするレティシアを役に立たないと切り捨てる姿にルーン公爵の視線も冷たい気がした。ビアード公爵がいないことが救いかもしれない。

神官に命じて儀式の準備をさせた。
初めての儀式に大勢の神官の同行願いが出されたが見世物ではないので許可しない。
余計なことはせずに言い伝え通りに儀式を執り行うように命じた。
封印してある宝具の封印を解き大神官に託したので儀式で私の役目はない。神官達の「お考え直し」をという声は無視してレオの軟禁されている部屋に向かう。
魔封じをつけられ、座っているレオに無感情な目を向けられた。

「父上の暗殺未遂の容疑がサラ様にかかっている。処刑の予定だが精霊の審議が行われる」
「は?」
「時間がない。記録にもない儀式だからどこまで時間が稼げるかわからない。サラ様とシオン嬢と調べて父上を救ってくれないか」
「俺達なんかのために誰が」
「レティシアが母上に交渉した。対価に自分の遺体を渡すから儀式をと」

リィーン

弦音が響いた。
この音は水の精霊の弓・・。儀式が始まるの早くないか!?
大神官が待ちきれなかったのか。処刑の時間に始めるように命じないと駄目だった。
後悔してももう遅いか。
始まったのなら止められない。茫然とするレオがゆっくりと立ち上がった。

「出してください。レティシアを殺したくありません」
「儀式の間には調査が終わるまで近づけないしきたりだ。誰も儀式の邪魔は許されない」

レオの顔つきが変わった。真剣な顔もできるのか。

「セリアを呼んでください。母上には俺が説明にいきます」

仮釈放許可書を渡し、レオの魔封じを解くと足早に消えた。
シオン嬢を急ぎで呼び出すように命じた。

「殿下、レティシアが危険な儀式を行うってどういうことですか」

真顔のリオに肩を掴まれた。

「リオ、時間がない。もう始まっている。この儀は調査が終わるかレティシアが諦めるまで中断はできない。」

呆然としたリオが、顔を歪めた。

「俺にできることはありますか?」
「マールの力は借りられない。」
「俺は不真面目なんで家なんてどうでもいいんです」

即答だった。
冷笑を浮かべているリオは察しただろう。リオは気分にムラがあるがやる気を見せた時は恐ろしく有能だ。特にレティシアが関われば。

「マールの妨害がないように抑えてくれ。母上が極秘で取寄せたものがないか調べろ」
「かしこまりました」

リオがレティシアが一番なのは今更か。
リオのレティシアへの執着を見ていると嫌な予感が確信に近い。執着のマールの血なのだろうか。

「殿下、アリア様が」

侍従に呼ばれて父上の寝室に行くと、母上が声を荒げサラ様と向き合っていた。

「陛下の傍に寄らないで」
「精霊の審議中です。その意味がお分かりになりません?」
「陛下の御身より大事なものはないわ。また」

リィーン

弦音が響いているならレティシアは生きている。
突然倒れた母上をルーン公爵が支え父上の隣に寝かせた。

「時間がないって研究を中断させられたのに。そのうち目覚めます。私は陛下を起こせばいいんですか?」

不機嫌な顔をしたシオン嬢が部屋に入り、父上の顔を眺めている。
母上を眠らせたのはシオン嬢か。研究第一で邪魔なものは排除することを躊躇わないところはシオンの血だろう。今回だけは何をされても目を瞑ろう。

「命に別状はないですが、ただ深い眠りについているだけです」
「父上に何が起こっているのか」
「御身に危険がなければ何をしても許していただけますか?」
「ああ」

妖艶に笑ったシオン嬢は年下には見えなかった。任せて大丈夫なんだろうか・・。
いつの間にか父上の血を採取している。

「サラ様、父上が倒れる前に何が?」
「お茶に呼ばれてお付き合いしただけです。お茶を飲み陛下は突然倒れました」
「そのお茶は」
「私は口をつけてません。治癒魔法も解毒魔法も効果がないのは・・。茶器は?」

「殿下、茶器は探させていますが見つかっていません。用意した者もわかりません」

兵や魔導士が見つけられないなら、使われているのは海の皇国の魔法かもしれない。
海の皇国の魔導書に空間魔法が記載されていた。
精霊魔法ではなく空間魔法で隠したなら兵達は見つけられない。
探し物が得意な人物・・・。
ロダはレティシアに付いているから除外。儀式の妨害が入らないように護衛も命じている。海の魔法なら元メイ伯爵はマールにいるから使えない。
直感に優れるビアード公爵は警備の見直しで手が離せない。
学園で一番長けているのはビアード兄妹。執事のロキは海の魔法を使えたはずだ。

「クロード殿下、エイベル様が謁見を希望されてます」

タイミングの良さはさすがだ。父上はレオ達に任せて通させるとエイベルはロキを連れていた。ビアードの勘の良さはいつも感心する。

「ロキ、空間魔法は使えるか?」
「はい。ロダ様達から教わっております」
「エイベル、どこかに茶器が隠されてないか探してほしい。王宮内の出入りや魔法は自由に」

指を切り血を瓶に入れ、エイベルに渡す。

「これがあれば王族専用も入れる。咎められれば精霊の審議と私の名を出せ」
「かしこまりました」

静かに頷く二人に任せれば見つかるだろう。

リィーン

王宮内の緊迫した空気はいつの間にか静まった。弦音の所為だろうか。
この音を聞くと頭が冷えて体が軽くなる。
いくつか指示を出しているとビアード公爵がいた。

「殿下、陛下が目覚めたら無礼を許していただけますか?」
「許す」
「ありがとうございます。失礼します」

まさか父上が一枚噛んでるわけはないよな・・・。ルーン公爵の様子からもその疑いが消えない。
レティシアのことは何も言わないのか。
礼をして立ち去りビアード公爵は兵達に指示を飛ばしている。
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