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第百六話 かみ合わない二人
アナ達との食事はお休みしています。リオの過激なファンに声を掛けられるので、迷惑がかからないように教室で食事をしています。
朝からリオの愛人にしてほしいと頼まれました。私が相応しくないとも。
血筋だけでしたら王妃も目指せるんですが……。
資質がないので王妃は無理ですし、面倒なので引き受けたくないですが……。
話が通じない方々と過ごすのは疲れます。初めて私的なことで学園で権力を使いたくなりましたが、なんとか踏みとどまりました。
「人気のない辺境伯に嫁ぎたい……。僻地で穏やかな民に囲まれて、畑を耕して自給自足の生活を……。幸せでしょう」
「爵位買おうか?」
「お父様より年上でも構いません。私が最期までお世話します。そして余生は慎ましく生活を」
「どのあたりの地域がいいの?」
「できれば水場が欲しいです。水の魔力が美味しいところで」
「レティシア、正気に戻れ」
頬の痛みに顔を上げると背中に重みが。振り向かなくてもわかります。
頬を引っ張っていたフィルと視線を合わせてため息を堪えました。宥めるようにフィルに頬を指で突っつかれました。今朝はリオのファンに絡まれ、今日はご本人も登場ですか。
「リオ様、離してください」
「爵位を手に入れるよ。ビアード公爵に勝つより簡単だ。二人で逃げようか」
「どうぞお一人で。ご用件は?」
「会いたかっただけ。求婚してないよな?」
「はい?」
「強くなって迎えに来てほしいって誰かに言った?」
求婚はしていませんが、似たようなことはふざけて言いましたわ。いつも頭を乱暴に撫でられますわ。無性に手の主が恋しくなってきましたわ。
「言いました」
「なんで!?好きなのか?俺と婚約破棄してあいつのところに行くのか」
耳元で荒げる声に睨みつけたくなるのを我慢します。貴族として相応しい行動をお願いしたいです。
行くも何もずっと一緒でしたが…。
お互いに帰る家は同じです。リオは頭がおかしくなったんでしょうか…。先程から言っていることもおかしいですし。
「私はビアードで共にあると幼き頃より決めてますよ」
「どこがいいんだ?俺のが頭も良いし、魔法だって、」
頭はリオのほうが良いですが、魔法の腕は劣ってないと思います。リオの本気は知りませんがストーム様がいますもの。侮辱は許しません。私の婚約者でも邪魔をするなら排除します。
「不器用ですが誰よりも努力している所は尊敬します。ポンコツですが、時々頼りになります。きっと立派な当主になりますわ。リオ様が当主を目指すなら敵ですわ」
「待って、レティシア、誰の話をしてる?」
荒げた声ではなくなりました。貴族としてふさわしくない行動に気づいたんでしょうか?
「エイベル以外にビアード公爵を目指す方がいるなら本気で排除します」
「ずっとビアードの話?」
先程とは正反対の気が抜けた声がしました。情緒不安定ですか?
「はい」
「銀の糸で刺繍したハンカチを贈った?」
「贈りました」
「ビアード以外に贈った?」
しつこいです。質問の意図がわかりません。
「はい。正直誰に贈ったか覚えてません。マオと風属性の方達です」
そして先程からリオに肩に頭を預けられて重いんですが。
「なんで、俺には……」
魔法陣を刺繍したハンカチが欲しかったのでしょうか?
そこまで実践で役に立ちませんが…。
「欲しいんですか?」
気まずい顔で頷くリオに苦笑します。
マールで研究したいなら相談してくだされば協力しましたのに。
マナに視線を送り風の魔法陣を刺繍したハンカチを受け取ります。
「どうぞ。お気づきの点があれば教えてください」
ハンカチを渡すとようやくきちんと顔を上げたリオのおかげで肩が軽くなりました。ハンカチを見ていたリオはなぜか不満そうに私に向き直りました。
マールで研究を独占したいんでしょうか?それは横暴ですわ。
「銀糸で刺繍したものを俺以外に贈らないで欲しいんだけど」
銀糸?この糸が気に入ったんでしょうか。
リオのためだけにこの糸を使うなんてできません。
それは商会に交渉すべきことです。
糸を取り寄せているのはビアードの商会なので、うまく商談がまとまるかはわかりませんが。
ビアードとしては銀糸の魔法陣の刺繍はこれからも続けたいです。そして私の刺繍の腕が酷くても課題なので、刺繍しないわけにはいきません。
「風属性はこの糸が一番なんですよ。お母様から刺繍の課題もありますし」
「深い意味はないってわかってるけど、勘違いする奴がいるんだよ。レティシアの手作りを俺以外が持っているのが嫌なんだよ」
不満そうな顔なのに声に元気がありません。
「具合悪いんですか?」
「心の問題。どうしたら伝わるんだよ」
心?
頭がさらにおかしくなったんでしょうか。
「レティシア様、マール様は妬いてるんですよ。令嬢達が自分の色の糸で刺繍したハンカチを贈るのは愛の告白ですわ」
楽しそうな顔で近づいてくるのはブレア・レトス伯爵令嬢です。
ハンカチを贈ることに意味をつける令嬢がいるのを忘れてましたわ。私の周りには実用性重視の方ばかり。気にする殿方がいるとも思いませんでした。
「リオ様、私が送ったハンカチは実験品ですよ。皆、特別な意味がないってわかってますよ。その情けない顔やめてください」
リオが生前の弟に似た拗ねた顔をしているので笑いが堪えられませんでした。可笑しくてたまりませんわ。ありえませんわ。
「放課後俺と過ごしてくれる?」
そんなくだらないことで拗ねてたんですか。
仕方がないので付き合いましょう。リオは子供だから仕方ありませんね。
「明日でしたら」
「約束だよ。放課後迎えに行くから」
流れるように頬に口づけされて離れていきました。
ブレア様がうっとり見惚れています。眼鏡をしてもリオの仕草に見惚れる令嬢が多く、巻き込まれたくなくてリオから避けてましたのに・・。
「マール様ってさ、レティシアへの態度でファンが増えてる自覚あるのか?」
フィルの呆れた声にため息をつきました。
「やめてくれません。婚約者なので明らかに拒否するのも失礼ですし。最近は弱った仔犬のような顔をされるんです。リオ様の所為で私の平穏が……」
「レティシア様とマール様が親し気な様子でずっと傍にいればファンは減ると思いますよ」
気になる言葉が…。
楽しそうな顔のブレア様を見つめます。
「ブレア様、詳しく教えてくださいませ」
「レティシア様が塩対応なので、令嬢達はマール様の心を自身に向けるチャンスがあると思って追いかけるんです。明らかに両思いに見えれば諦めますよ」
「愛人にしてくださいって迫ってきますのよ?」
「レティシア様が許したことをマール様に伝えて、心象を悪くしようとしてるんですよ」
「リオ様と親しくすることで、反感を買いさらに悪化ということは」
「ありえません。婚約者ですもの。見目麗しいお二人の様子は目の保養です。もしお困りならいくらでも力になります」
断言するブレア様に後光がさしていますわ。生前はリオが関わるとおかしくなってしまう方だったのですが今世は違うんですね……。
ブレア様の手を握ります。
「ありがとうございます。」
「どういたしまして」
ブレア様を信じてリオと一緒にいることにしました。
綺麗に笑うブレア様は頼もしいです。
今世は頼りにさせてもらいましょう。
朝からリオの愛人にしてほしいと頼まれました。私が相応しくないとも。
血筋だけでしたら王妃も目指せるんですが……。
資質がないので王妃は無理ですし、面倒なので引き受けたくないですが……。
話が通じない方々と過ごすのは疲れます。初めて私的なことで学園で権力を使いたくなりましたが、なんとか踏みとどまりました。
「人気のない辺境伯に嫁ぎたい……。僻地で穏やかな民に囲まれて、畑を耕して自給自足の生活を……。幸せでしょう」
「爵位買おうか?」
「お父様より年上でも構いません。私が最期までお世話します。そして余生は慎ましく生活を」
「どのあたりの地域がいいの?」
「できれば水場が欲しいです。水の魔力が美味しいところで」
「レティシア、正気に戻れ」
頬の痛みに顔を上げると背中に重みが。振り向かなくてもわかります。
頬を引っ張っていたフィルと視線を合わせてため息を堪えました。宥めるようにフィルに頬を指で突っつかれました。今朝はリオのファンに絡まれ、今日はご本人も登場ですか。
「リオ様、離してください」
「爵位を手に入れるよ。ビアード公爵に勝つより簡単だ。二人で逃げようか」
「どうぞお一人で。ご用件は?」
「会いたかっただけ。求婚してないよな?」
「はい?」
「強くなって迎えに来てほしいって誰かに言った?」
求婚はしていませんが、似たようなことはふざけて言いましたわ。いつも頭を乱暴に撫でられますわ。無性に手の主が恋しくなってきましたわ。
「言いました」
「なんで!?好きなのか?俺と婚約破棄してあいつのところに行くのか」
耳元で荒げる声に睨みつけたくなるのを我慢します。貴族として相応しい行動をお願いしたいです。
行くも何もずっと一緒でしたが…。
お互いに帰る家は同じです。リオは頭がおかしくなったんでしょうか…。先程から言っていることもおかしいですし。
「私はビアードで共にあると幼き頃より決めてますよ」
「どこがいいんだ?俺のが頭も良いし、魔法だって、」
頭はリオのほうが良いですが、魔法の腕は劣ってないと思います。リオの本気は知りませんがストーム様がいますもの。侮辱は許しません。私の婚約者でも邪魔をするなら排除します。
「不器用ですが誰よりも努力している所は尊敬します。ポンコツですが、時々頼りになります。きっと立派な当主になりますわ。リオ様が当主を目指すなら敵ですわ」
「待って、レティシア、誰の話をしてる?」
荒げた声ではなくなりました。貴族としてふさわしくない行動に気づいたんでしょうか?
「エイベル以外にビアード公爵を目指す方がいるなら本気で排除します」
「ずっとビアードの話?」
先程とは正反対の気が抜けた声がしました。情緒不安定ですか?
「はい」
「銀の糸で刺繍したハンカチを贈った?」
「贈りました」
「ビアード以外に贈った?」
しつこいです。質問の意図がわかりません。
「はい。正直誰に贈ったか覚えてません。マオと風属性の方達です」
そして先程からリオに肩に頭を預けられて重いんですが。
「なんで、俺には……」
魔法陣を刺繍したハンカチが欲しかったのでしょうか?
そこまで実践で役に立ちませんが…。
「欲しいんですか?」
気まずい顔で頷くリオに苦笑します。
マールで研究したいなら相談してくだされば協力しましたのに。
マナに視線を送り風の魔法陣を刺繍したハンカチを受け取ります。
「どうぞ。お気づきの点があれば教えてください」
ハンカチを渡すとようやくきちんと顔を上げたリオのおかげで肩が軽くなりました。ハンカチを見ていたリオはなぜか不満そうに私に向き直りました。
マールで研究を独占したいんでしょうか?それは横暴ですわ。
「銀糸で刺繍したものを俺以外に贈らないで欲しいんだけど」
銀糸?この糸が気に入ったんでしょうか。
リオのためだけにこの糸を使うなんてできません。
それは商会に交渉すべきことです。
糸を取り寄せているのはビアードの商会なので、うまく商談がまとまるかはわかりませんが。
ビアードとしては銀糸の魔法陣の刺繍はこれからも続けたいです。そして私の刺繍の腕が酷くても課題なので、刺繍しないわけにはいきません。
「風属性はこの糸が一番なんですよ。お母様から刺繍の課題もありますし」
「深い意味はないってわかってるけど、勘違いする奴がいるんだよ。レティシアの手作りを俺以外が持っているのが嫌なんだよ」
不満そうな顔なのに声に元気がありません。
「具合悪いんですか?」
「心の問題。どうしたら伝わるんだよ」
心?
頭がさらにおかしくなったんでしょうか。
「レティシア様、マール様は妬いてるんですよ。令嬢達が自分の色の糸で刺繍したハンカチを贈るのは愛の告白ですわ」
楽しそうな顔で近づいてくるのはブレア・レトス伯爵令嬢です。
ハンカチを贈ることに意味をつける令嬢がいるのを忘れてましたわ。私の周りには実用性重視の方ばかり。気にする殿方がいるとも思いませんでした。
「リオ様、私が送ったハンカチは実験品ですよ。皆、特別な意味がないってわかってますよ。その情けない顔やめてください」
リオが生前の弟に似た拗ねた顔をしているので笑いが堪えられませんでした。可笑しくてたまりませんわ。ありえませんわ。
「放課後俺と過ごしてくれる?」
そんなくだらないことで拗ねてたんですか。
仕方がないので付き合いましょう。リオは子供だから仕方ありませんね。
「明日でしたら」
「約束だよ。放課後迎えに行くから」
流れるように頬に口づけされて離れていきました。
ブレア様がうっとり見惚れています。眼鏡をしてもリオの仕草に見惚れる令嬢が多く、巻き込まれたくなくてリオから避けてましたのに・・。
「マール様ってさ、レティシアへの態度でファンが増えてる自覚あるのか?」
フィルの呆れた声にため息をつきました。
「やめてくれません。婚約者なので明らかに拒否するのも失礼ですし。最近は弱った仔犬のような顔をされるんです。リオ様の所為で私の平穏が……」
「レティシア様とマール様が親し気な様子でずっと傍にいればファンは減ると思いますよ」
気になる言葉が…。
楽しそうな顔のブレア様を見つめます。
「ブレア様、詳しく教えてくださいませ」
「レティシア様が塩対応なので、令嬢達はマール様の心を自身に向けるチャンスがあると思って追いかけるんです。明らかに両思いに見えれば諦めますよ」
「愛人にしてくださいって迫ってきますのよ?」
「レティシア様が許したことをマール様に伝えて、心象を悪くしようとしてるんですよ」
「リオ様と親しくすることで、反感を買いさらに悪化ということは」
「ありえません。婚約者ですもの。見目麗しいお二人の様子は目の保養です。もしお困りならいくらでも力になります」
断言するブレア様に後光がさしていますわ。生前はリオが関わるとおかしくなってしまう方だったのですが今世は違うんですね……。
ブレア様の手を握ります。
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