256 / 362
閑話 小さな少年の成長 ロキ視点
約束がある。
守らないといけない人がいる。
「ローナとナギを頼んだよ。女神様が救ってくれる。この国を出ないことだけ守ってくれ。お別れだ」
ナギと同じ瞳の父さんは母さんの長い髪を鋏でバサリと切った。耳に何かを呟くと座っていた母さんが崩れ落ちるのを父さんが抱きとめてベッドに運んだ。寝息が聞こえぐっすりと眠っている。父さんは眠る母さんの額に手を置いている。手がキラキラと光っている。
「君の名前はローナ。子供のロキとナギだ。それだけ覚えていればいい。あとはいらない記憶だ。ナギもごめんな」
父さんはナギの頭を撫で、僕に手を伸ばした。
父さんの光った手が触れる前に逃げる。父さんは魔法使い。僕はいつも優しく頭を撫でてくれる手がどうしてか怖かった。大事なものがなくなる気がした。
「嫌」
「私はロキ達を捨てるんだ。余計な記憶は」
捕まれば記憶を消される。だって父さんは人の記憶を操れるから。捨てると言うのに父さんの声は悲しそう。
「言わない。誰にも。俺が守るから、大きくなったらナギに教えてあげる」
「駄目だ。ロキ達が生きるためにはいらない記憶だ。わかったよ。ロキが誰かに話そうとすれば記憶が消えるようにしよう。ロキ達が招いたものしかこの家には入れないようにしてある。ここは安全だから」
大事なのは父さんと母さんと生まれたばかりのナギ。長い手で抱きしめてくれる父さんは見たことがないほど真剣な顔をしていた。行ってほしくないのに、背を向けて歩いていく父さんを追いかけることも引き止めることも出来なかった。喉は乾いてないのに声も出なかった。
目覚めた母さんは俺とナギのこと以外覚えていなかった。ぼんやりしている母さんに抱きしめられた時に涙が溢れた。父さんとはもう会えない気がした。父さんに託された俺は涙を拭いた。そして父さんのいない生活、父さんが教えてくれたことを思いだしながら新しい生活を始めた。父さんがたくさんのお金を残してくれたから、働かなくてもが食べ物に困らない。
父さんに教わった通りに帽子を被って鞄を持って買い物に行く。
食材を買い銀貨でお釣りをもらい帰路についていると目の前には大きな大人が三人。
「待て!!お前、その金は」
食材とお金が入っている鞄を取り上げられた。
「返して」
「お坊ちゃんにはまだ早い。使ってやるよ」
「駄目、大事なお金」
お金を見て笑う知らない大人に囲まれている。人がどんどん集まってきた。
「どうした?」
「こいつが俺の盗んで」
「違う。それは俺の」
「子供がこんなに大金を持てるわけがないだろう。その食べ物も盗んだものだろう?」
「盗ってない。これは……」
父さんのことは話せない。大人の手が伸びて体を取り押さえられポケットや靴の中、隠しているお金を全部盗られた。叫んでも誰も聞いてくれない。目の前にいる大臣と呼ばれた人は俺の隠していた金貨を手に持って笑った。
「家まで送ってやろう」
絶対に近づけてはいけないと思って足を蹴って逃げ出した。家は安全だから。お金のなくなった俺は盗みをして食べ物を手に入れるようになった。大人は信用できない。子供は仕事をもらえない。父さんが言っていた女神様に会えるまでナギと母さんは俺が守らないと。
俺が買い物に行き、母さんがナギの世話をしながら待っていてくれる。手段なんて選べない。助けてくれる手の持ち主はもういない。
母さんが倒れて父さんの言葉を信じられなくなった時に、俺は店主に捕まった。殴られた俺を助けてくれたのは綺麗な人だった。
「ロキ、迎えにくるのが遅れてごめんなさい」
キラキラとした銀の髪で、色白の傷一つない綺麗な手に触れられた途端に体の痛みが消えた。
「誰?」
「ごめんなさい。貴方が無事で良かったわ。レティシアです。お母さんの病気をみるから案内してください。貴方を家族と引き離したりしないから安心して」
頭を撫でてくれる優しい手、見たことがないほど綺麗な瞳に女神様だと思った。
父さんの言う通り女神様は俺達を助けてくれた。母さんの病気を治してくれた女神様。
でも女神様は女神様ではなかった。
あたたかい場所に連れて行ってくれた。母さんが元気になってから、外に散歩に行くと剣で大きな鳥の首を落とすのは血まみれの女神様ではなくお嬢様。
「大丈夫ですか?次は救援を呼んでください。このお肉は皆様で。マオ、お願い」
「お嬢様、手伝います」
「遊ぶのがお仕事です。汚れましたね」
近付いた俺の頭を撫でたお嬢様が祈りを捧げると雨が降って一面の血が流れ落ちる。
「ロキ、空を見ててください」
見上げると雲が晴れて虹が見えた。
「たくさん笑ってください。私が貴方達を守ります」
マナにお嬢様の笑顔は宝物だと教わった。
ビアードで一番大事なもの。
「ローナが忙しいなら私と行きましょう」
俺の手を繋いで歩くお嬢様に頼られるようになりたい。お嬢様がマナやマオに向ける顔は羨ましい。
「レティシアの撫でる手が懐かしい。知らないのに」
「お嬢様は女神ですから。僕はこの方々を恐怖に陥れたいんですが」
「教えてあげるよ。代わりに魔法を教えて」
「ありがとうございます。同じクラスになったら驚きますかね」
「いつも僕達を驚かすのはレティシアだ」
お嬢様の望み通りにエドワード様と友人になった。そしてエドワード様の部屋には情報がたくさんある。
ウォントに頼んで教えてもらった海の皇国語を覚えてからは新聞を読んだ。そしてお嬢様が僕を気にする理由も頻繁に遊びに誘うロダ様の正体も知った。
「エドワード様、髪の色をずっと変えたいです。フラン王国民の色に」
「用意しておくよ。学園が楽しみだ。話が通じる人間は楽しいよ。リオはどうするかな」
「お嬢様の隣に並びたいならお手並み拝見です。リオ様以外にも候補はいます」
ビアードは愛人を許さない。
お嬢様が許しているのでリオ様はビアード公爵家に迎えられている。
でもお嬢様の笑顔を曇らせたことを皆が覚えている。
お嬢様にビアード公爵令嬢らしくないと言っていたのも。
可愛くもない虫のような令嬢を恋人にしてお嬢様に仕事を押し付けていたことも。
笑顔で嗜めるお嬢様のために表面的には取り繕っているだけ。
ビアード公爵にはリオ様がお嬢様を泣かせたら斬っていいと命じられてる。エイベル様には近づけないようにとも。
これからビアードに住むから特に気を付けるようにと。
お嬢様は殿下のお手伝いで出掛けているからまたお土産をたくさん抱えて帰ってくるだろう。
僕はお嬢様が笑顔でいられるために今日も考えよう。港に馬車でお嬢様の迎えに行くと笑顔で手を振ってくれた。
「ただいま帰りました。お土産は邸に帰ってから渡しますよ。今度、フラン王国にもサーカスがきますよ。一緒に見に行きましょう。もちろんナギとローナも一緒です。交渉してくださった優しい殿下にお仕えできて幸せですわ。クロード殿下も晩餐に是非。残りのお仕事は明日またお手伝いします。帰国が予定より早いので明日王宮に帰りましょう。今日はお休みです」
「わかったよ。ロキ、何かあればいつでも。頼りにしているよ」
「ロキは優秀ですから。入学試験も二位ですもの。ビアード公爵令嬢として誇らしいですわ」
頭を撫でてくれる上機嫌なお嬢様とクロード殿下と一緒に馬車でお土産話を聞いた。ビアード公爵邸では突然王子殿下を迎える準備は教わっている。
「レティシアは気付いてない。楽しみにしているよ」
晩餐をすませたクロード殿下は楽しそうに笑って魔法で消えた。
きっと殿下は僕の学園初の快挙のことを言っている。
入学すれば目立ち、意地悪されることもわかっているけど後悔してない。
平等の学園での戦い方は知っている。
僕はお嬢様の役に立つためにたくさん学んで力をつける。
まずはリオ様を倒せるようになろう。
大事なものを守るために力がいる。
父さんの時は言えなかった。
今度は一緒に守るって言えるようになりたい。
僕はまだお嬢様に守られているから。
守らないといけない人がいる。
「ローナとナギを頼んだよ。女神様が救ってくれる。この国を出ないことだけ守ってくれ。お別れだ」
ナギと同じ瞳の父さんは母さんの長い髪を鋏でバサリと切った。耳に何かを呟くと座っていた母さんが崩れ落ちるのを父さんが抱きとめてベッドに運んだ。寝息が聞こえぐっすりと眠っている。父さんは眠る母さんの額に手を置いている。手がキラキラと光っている。
「君の名前はローナ。子供のロキとナギだ。それだけ覚えていればいい。あとはいらない記憶だ。ナギもごめんな」
父さんはナギの頭を撫で、僕に手を伸ばした。
父さんの光った手が触れる前に逃げる。父さんは魔法使い。僕はいつも優しく頭を撫でてくれる手がどうしてか怖かった。大事なものがなくなる気がした。
「嫌」
「私はロキ達を捨てるんだ。余計な記憶は」
捕まれば記憶を消される。だって父さんは人の記憶を操れるから。捨てると言うのに父さんの声は悲しそう。
「言わない。誰にも。俺が守るから、大きくなったらナギに教えてあげる」
「駄目だ。ロキ達が生きるためにはいらない記憶だ。わかったよ。ロキが誰かに話そうとすれば記憶が消えるようにしよう。ロキ達が招いたものしかこの家には入れないようにしてある。ここは安全だから」
大事なのは父さんと母さんと生まれたばかりのナギ。長い手で抱きしめてくれる父さんは見たことがないほど真剣な顔をしていた。行ってほしくないのに、背を向けて歩いていく父さんを追いかけることも引き止めることも出来なかった。喉は乾いてないのに声も出なかった。
目覚めた母さんは俺とナギのこと以外覚えていなかった。ぼんやりしている母さんに抱きしめられた時に涙が溢れた。父さんとはもう会えない気がした。父さんに託された俺は涙を拭いた。そして父さんのいない生活、父さんが教えてくれたことを思いだしながら新しい生活を始めた。父さんがたくさんのお金を残してくれたから、働かなくてもが食べ物に困らない。
父さんに教わった通りに帽子を被って鞄を持って買い物に行く。
食材を買い銀貨でお釣りをもらい帰路についていると目の前には大きな大人が三人。
「待て!!お前、その金は」
食材とお金が入っている鞄を取り上げられた。
「返して」
「お坊ちゃんにはまだ早い。使ってやるよ」
「駄目、大事なお金」
お金を見て笑う知らない大人に囲まれている。人がどんどん集まってきた。
「どうした?」
「こいつが俺の盗んで」
「違う。それは俺の」
「子供がこんなに大金を持てるわけがないだろう。その食べ物も盗んだものだろう?」
「盗ってない。これは……」
父さんのことは話せない。大人の手が伸びて体を取り押さえられポケットや靴の中、隠しているお金を全部盗られた。叫んでも誰も聞いてくれない。目の前にいる大臣と呼ばれた人は俺の隠していた金貨を手に持って笑った。
「家まで送ってやろう」
絶対に近づけてはいけないと思って足を蹴って逃げ出した。家は安全だから。お金のなくなった俺は盗みをして食べ物を手に入れるようになった。大人は信用できない。子供は仕事をもらえない。父さんが言っていた女神様に会えるまでナギと母さんは俺が守らないと。
俺が買い物に行き、母さんがナギの世話をしながら待っていてくれる。手段なんて選べない。助けてくれる手の持ち主はもういない。
母さんが倒れて父さんの言葉を信じられなくなった時に、俺は店主に捕まった。殴られた俺を助けてくれたのは綺麗な人だった。
「ロキ、迎えにくるのが遅れてごめんなさい」
キラキラとした銀の髪で、色白の傷一つない綺麗な手に触れられた途端に体の痛みが消えた。
「誰?」
「ごめんなさい。貴方が無事で良かったわ。レティシアです。お母さんの病気をみるから案内してください。貴方を家族と引き離したりしないから安心して」
頭を撫でてくれる優しい手、見たことがないほど綺麗な瞳に女神様だと思った。
父さんの言う通り女神様は俺達を助けてくれた。母さんの病気を治してくれた女神様。
でも女神様は女神様ではなかった。
あたたかい場所に連れて行ってくれた。母さんが元気になってから、外に散歩に行くと剣で大きな鳥の首を落とすのは血まみれの女神様ではなくお嬢様。
「大丈夫ですか?次は救援を呼んでください。このお肉は皆様で。マオ、お願い」
「お嬢様、手伝います」
「遊ぶのがお仕事です。汚れましたね」
近付いた俺の頭を撫でたお嬢様が祈りを捧げると雨が降って一面の血が流れ落ちる。
「ロキ、空を見ててください」
見上げると雲が晴れて虹が見えた。
「たくさん笑ってください。私が貴方達を守ります」
マナにお嬢様の笑顔は宝物だと教わった。
ビアードで一番大事なもの。
「ローナが忙しいなら私と行きましょう」
俺の手を繋いで歩くお嬢様に頼られるようになりたい。お嬢様がマナやマオに向ける顔は羨ましい。
「レティシアの撫でる手が懐かしい。知らないのに」
「お嬢様は女神ですから。僕はこの方々を恐怖に陥れたいんですが」
「教えてあげるよ。代わりに魔法を教えて」
「ありがとうございます。同じクラスになったら驚きますかね」
「いつも僕達を驚かすのはレティシアだ」
お嬢様の望み通りにエドワード様と友人になった。そしてエドワード様の部屋には情報がたくさんある。
ウォントに頼んで教えてもらった海の皇国語を覚えてからは新聞を読んだ。そしてお嬢様が僕を気にする理由も頻繁に遊びに誘うロダ様の正体も知った。
「エドワード様、髪の色をずっと変えたいです。フラン王国民の色に」
「用意しておくよ。学園が楽しみだ。話が通じる人間は楽しいよ。リオはどうするかな」
「お嬢様の隣に並びたいならお手並み拝見です。リオ様以外にも候補はいます」
ビアードは愛人を許さない。
お嬢様が許しているのでリオ様はビアード公爵家に迎えられている。
でもお嬢様の笑顔を曇らせたことを皆が覚えている。
お嬢様にビアード公爵令嬢らしくないと言っていたのも。
可愛くもない虫のような令嬢を恋人にしてお嬢様に仕事を押し付けていたことも。
笑顔で嗜めるお嬢様のために表面的には取り繕っているだけ。
ビアード公爵にはリオ様がお嬢様を泣かせたら斬っていいと命じられてる。エイベル様には近づけないようにとも。
これからビアードに住むから特に気を付けるようにと。
お嬢様は殿下のお手伝いで出掛けているからまたお土産をたくさん抱えて帰ってくるだろう。
僕はお嬢様が笑顔でいられるために今日も考えよう。港に馬車でお嬢様の迎えに行くと笑顔で手を振ってくれた。
「ただいま帰りました。お土産は邸に帰ってから渡しますよ。今度、フラン王国にもサーカスがきますよ。一緒に見に行きましょう。もちろんナギとローナも一緒です。交渉してくださった優しい殿下にお仕えできて幸せですわ。クロード殿下も晩餐に是非。残りのお仕事は明日またお手伝いします。帰国が予定より早いので明日王宮に帰りましょう。今日はお休みです」
「わかったよ。ロキ、何かあればいつでも。頼りにしているよ」
「ロキは優秀ですから。入学試験も二位ですもの。ビアード公爵令嬢として誇らしいですわ」
頭を撫でてくれる上機嫌なお嬢様とクロード殿下と一緒に馬車でお土産話を聞いた。ビアード公爵邸では突然王子殿下を迎える準備は教わっている。
「レティシアは気付いてない。楽しみにしているよ」
晩餐をすませたクロード殿下は楽しそうに笑って魔法で消えた。
きっと殿下は僕の学園初の快挙のことを言っている。
入学すれば目立ち、意地悪されることもわかっているけど後悔してない。
平等の学園での戦い方は知っている。
僕はお嬢様の役に立つためにたくさん学んで力をつける。
まずはリオ様を倒せるようになろう。
大事なものを守るために力がいる。
父さんの時は言えなかった。
今度は一緒に守るって言えるようになりたい。
僕はまだお嬢様に守られているから。
あなたにおすすめの小説
本の通りに悪役をこなしてみようと思います
Blue
恋愛
ある朝。目覚めるとサイドテーブルの上に見知らぬ本が置かれていた。
本の通りに自分自身を演じなければ死ぬ、ですって?
こんな怪しげな本、全く信用ならないけれど、やってやろうじゃないの。
悪役上等。
なのに、何だか様子がおかしいような?
悪役令嬢と転生ヒロイン
みおな
恋愛
「こ、これは・・・!」
鏡の中の自分の顔に、言葉をなくした。
そこに映っていたのは、青紫色の髪に瞳をした、年齢でいえば十三歳ほどの少女。
乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』に出てくるヒロイン、そのものの姿だった。
乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』は、平民の娘であるヒロインが、攻略対象である王太子や宰相の息子たちと交流を深め、彼らと結ばれるのを目指すという極々ありがちな乙女ゲームである。
ありふれた乙女ゲームは、キャラ画に人気が高まり、続編として小説やアニメとなった。
その小説版では、ヒロインは伯爵家の令嬢となり、攻略対象たちには婚約者が現れた。
この時点で、すでに乙女ゲームの枠を超えていると、ファンの間で騒然となった。
改めて、鏡の中の姿を見る。
どう見ても、ヒロインの見た目だ。アニメでもゲームでも見たから間違いない。
問題は、そこではない。
着ているのがどう見ても平民の服ではなく、ドレスだということ。
これはもしかして、小説版に転生?
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?
ねーさん
恋愛
アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。
何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。
何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。
「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
好感度0になるまで終われません。
チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳)
子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。
愛され続けて4度目の転生。
そろそろ……愛されるのに疲れたのですが…
登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。
5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。
いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。
そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題…
自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。
毒状態の悪役令嬢は内緒の王太子に優しく治療(キス)されてます
娯遊戯空現
恋愛
ハイタッド公爵家の令嬢・セラフィン=ハイタッドは悪人だった……。
第二王子・アエルバートの婚約者の座を手に入れたセラフィンはゆくゆくは王妃となり国を牛耳るつもりでいた。しかし伯爵令嬢・ブレアナ=シュレイムの登場により、事態は一変する。
アエルバートがブレアナを気に入ってしまい、それに焦ったセラフィンが二人の仲を妨害した。
そんな折、セラフィンは自分が転生者であることとここが乙女ゲーム『治癒能力者(ヒーラー)の選ぶ未来』の世界であることを思い出す。
自分の行く末が破滅であることに気付くもすで事態は動き出した後で、婚約破棄&処刑を言い渡される。
処刑時に逃げようとしたセラフィンは命は助かったものの毒に冒されてしまった。
そこに謎の美形男性が現れ、いきなり唇を奪われて……。