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第百四十九話 放棄
イナリアの教育を決めました。大事なのは実年齢ではなく外見年齢です。貴族令嬢には年齢は関係ありません。歩き言葉を話せるのなら教育をするべきですわ。イナリアは成長が早く、力も強いです。私の子供達はお転婆でしたがきちんとマナーが守れる子でした。ビアード公爵夫妻が甘いのは諦めました。いつも私を諫めるビアード公爵夫人は「幼いから。大きくなればわかるわ」と言いますが、公爵令嬢は幼いうちから視線に曝されます。ルーン公爵夫人やマール公爵夫人ほど難易度の高い社交を求められないビアード公爵夫人は気付いていないのでしょうか?生前の私は常に視線を意識することを教えられました。いつからかはわかりませんが淑女の笑みも礼も子供の頃から覚えていました。思い出したら寒気がしましたわ。体が震えるほど恐ろしい教育のおかげでどんなこともお母様のお説教を思い浮かべれば動揺を隠して微笑むことができましたわ。今は現実逃避している場合ではありません。
食事中に席を立とうとしたイナリアを魔法で拘束します。イナリアのメニューは食べやすいように一口サイズのものを用意してあります。食べこぼしくらいなら許しますよ。ですが立ち上がること食器をひっくり返すこと、カトラリーを投げること、机の上に登って料理を床に落とすことは許しません。何度目かわからない言葉を伝えます。
「食事中に席を立つことはいけませんと教えました。スプーンを投げないなど赤子でもできます」
「母上は」
スプーンを私に向かって投げようとしたイナリアの手を水魔法で投げれないように拘束します。よく話すイナリアの言葉遣いも訂正をいれます。
「お母様と呼びなさいと教えましたわ。言葉遣いもいけません」
「レティだって昔は同じだったって」
頬を膨らませる顔も公爵令嬢としていけませんがまずは大事なことから教えます。
「記憶にありませんわ。ビアード公爵令嬢に相応しくない行為は許しません。お母様達のように甘くありません。エイベルに頼っても無駄ですわ」
「酷い」
頬を膨らませ目を吊り上げているイナリアが潤んだ瞳でエイベルに縋る視線を送っています。泣けば全てを許してくれるビアード公爵夫妻はここにいません。常に笑顔の公爵令嬢は泣くなど許されませんが演技力があると便利です。
「嘘泣きは正しく使わないといけませんよ。常に泣いていたら誰にも相手にされなくなりますわ」
「どうしてレティは意地悪なの!?リオに嫌われるよ」
目を吊り上げて睨むイナリアはまだ子供。表情がコロコロ変わるところは可愛いですが、もう少しお淑やかになってほしいですわ。私も性格が悪い自覚はありますがきちんと真実を教えてあげましょう。私の隣で静かに食事をしているリオを通して人を見る目を養うのも大事ですわ。呼び方も諫めないといけません。
「リオのほうが意地悪ですわ。リオ様とお呼びしなさい。いずれ婿入りしても、家格が高く、年上のリオには礼儀正しくしなければいけません。せめて義兄様です」
「レティだってリオって」
不満そうな声のイナリアの言いたいことはわかります。私も敬称なしで呼ぶのに違和感があります。リオとは婚約者とはいえ血縁もありません。敬称をつけると拗ねた顔をして不満を訴えるリオの相手が面倒で、いえつい可愛らしくも見えてしまい甘やかしてしまいます。
「リオがしつこいからです。私はずっとマール様とお呼びしたいんですけど」
「レティ、捨てられるよ。お嫁にいけなくなるよ。意地悪な魔女は幸せになれないよ」
幼いのにきちんとわかっていることに感心しました。ふさわしくない振舞いをすれば婚約破棄されることもあるでしょう。ですが私は困りません。いざとなればビアードの騎士にもらってもらいます。ローナが淹れた美味しいお茶で喉を潤します。イナリアの興奮が収まったので手の拘束だけ解除します。
「リオ以外にもお話はたくさんありますわ。リオが嫌になったらいつでも、どうぞって。心配不要です」
「シア、詳しく聞かせて欲しいんだけど」
「内緒ですわ。最近は卒業が近いのでたくさんお誘いいただきます。リオの女遊びの所為ですわ」
静かに食事をしていたリオが驚いた顔をするのでリアナ直伝の悪戯っぽい笑みを浮かべます。リオの女好きの噂は未だになくなりません。女好きの酷い婚約者を持つ私に同情してくださる方も多いです。訂正しようにも常に令嬢に囲まれるリオを見れば不可能なので放置しています。
「お食事が終わるまでは魔法は解きません。きちんと食事なさい。お行儀が悪ければおやつのメニューが変わるのでお楽しみに」
「エイベル、助けて」
潤んだ瞳でエイベルも見ても無駄ですわ。エイベルはマナーを諫めないので頼りになりませんが口を挟むこともしません。
「終わったら遊んでやるよ」
「リオ」
「簡単だろう?」
リオの言う通り求めているのは簡単なことですわ。
「母上、帰ってきて!!悪魔しかいない」
「声を荒げるなんていけませんわ」
叫ぶイナリアはいつになれば覚えてくれるのでしょうか。
「レティが理想のお姉様なんて嘘!!こんなお姉様いや。邪魔!!レティなんて帰ってこなければいい」
イナリアが料理をひっくり返そうとするので魔法で拘束します。興奮したイナリアは私の言葉は一切聞かないので怪我をしないように結界で囲んで放っておくしかありません。私がいなくなれば頭を冷やすでしょう。今日はイナリアと過ごすつもりでしたが予定を変えましょう。
「わかりました。エイベル、ルーン公爵に家庭教師を頼まれ迷っていましたが受けます。不要な姉などいりませんね」
今まではイナリアばかり気に掛けていましたがティアラのための時間も作りましょう。
「レティはいなくていい。もう帰ってこないで!!レティのうちはここじゃないもん」
確かにイナリアの言葉は一理ありますわ。学園に残してきた仕事も多いので帰りましょう。きっとエイベルがイナリアを優しく宥めているでしょう。公爵令嬢として嘆かわしいですわ。たとえどんなに幼くても。クロード様の求めるものを用意したいのに忠臣のビアードが守れないのは避けたいですがどう教育すればいいかわかりませんわ。
「シア?」
部屋に勝手に入ってきたリオは涼しげな笑みを浮かべています。またイナリアを捨てようとされると困ります。「捨てるか」とイナリアを見て呟くリオを宥めるのも面倒ですわ。
「あの子の居場所ですから。口出しはやめてください」
無関係なので余計なことは言わないでくださいとは言えませんね。抱きしめられることに驚きながらも寂しがりやなリオの背中に腕を回します。
「リオ?」
「俺にはシアが必要だ。ここにいらないならマールに一緒に帰ろう。父上達がレティシアを外交官に欲しいって。俺ではなく」
マールに帰りたいなら帰っても構わないんですが。マール公爵夫妻からそんな言葉を聞いたことは一度もありませんわ。
「お戯れを」
「本気だよ。兄上にも引き抜きたいって。臨時外交官も大歓迎だって」
言葉を遮るリオの言葉に笑みがこぼれました。臨時外交官なんて聞いたことはありませんがいつでもお仕事をもらえるのはありがたいですわ。ビアードが財政難になれば頼りにさせていただきたいですがそれは最終手段ですわ。財政難は絶対に回避しないといけません。
「マールの皆様は優しい。ありがたいですが、甘えるわけにはいきません」
「送るよ。帰る前に出かけるか」
今日は様子のおかしいリオと過ごすことにしました。ビアード領で学んでくれているリオにマールに帰っていいですよとは言いにくいです。やる気を削ぐようなことはいけません。
リオと一緒に見上げる空は青く清々しい。イナリアのために疎かにしていたことがいくつも思い浮かびました。
学園に戻るとビアード公爵夫人からイナリアに厳しすぎると諫める文が届いていました。ビアード公爵夫人からの手紙を読んで肩の力が抜けました。いつもイナリアの味方をするビアード公爵夫人。私は自分が間違っているとは思いませんが本物の親子にお任せしましょう。これからはイナリアのための時間はビアード公爵夫人の社交を引き受けましょう。
執事長には魔石や回復薬等魔法に関係するもの以外はイナリアの好きにさせていいと伝えてあります。当分はビアード公爵邸に顔を出すのはやめましょう。ルーン公爵家に家庭教師を引き受ける承諾の手紙を書きました。ビアード公爵の一番の腹心である執事長にビアードの社交は支障のないものは全て私に回すようにとも。ビアード公爵夫人の社交はルーン公爵令嬢や王太子の婚約者よりも楽なものが多いのでイナリアの教育よりも気が楽ですわ。私はクロード様のためにイナリア以外の令嬢の教育を頑張りましょう。やることはたくさんあります。悩んで立ち止まっている暇はありません。
食事中に席を立とうとしたイナリアを魔法で拘束します。イナリアのメニューは食べやすいように一口サイズのものを用意してあります。食べこぼしくらいなら許しますよ。ですが立ち上がること食器をひっくり返すこと、カトラリーを投げること、机の上に登って料理を床に落とすことは許しません。何度目かわからない言葉を伝えます。
「食事中に席を立つことはいけませんと教えました。スプーンを投げないなど赤子でもできます」
「母上は」
スプーンを私に向かって投げようとしたイナリアの手を水魔法で投げれないように拘束します。よく話すイナリアの言葉遣いも訂正をいれます。
「お母様と呼びなさいと教えましたわ。言葉遣いもいけません」
「レティだって昔は同じだったって」
頬を膨らませる顔も公爵令嬢としていけませんがまずは大事なことから教えます。
「記憶にありませんわ。ビアード公爵令嬢に相応しくない行為は許しません。お母様達のように甘くありません。エイベルに頼っても無駄ですわ」
「酷い」
頬を膨らませ目を吊り上げているイナリアが潤んだ瞳でエイベルに縋る視線を送っています。泣けば全てを許してくれるビアード公爵夫妻はここにいません。常に笑顔の公爵令嬢は泣くなど許されませんが演技力があると便利です。
「嘘泣きは正しく使わないといけませんよ。常に泣いていたら誰にも相手にされなくなりますわ」
「どうしてレティは意地悪なの!?リオに嫌われるよ」
目を吊り上げて睨むイナリアはまだ子供。表情がコロコロ変わるところは可愛いですが、もう少しお淑やかになってほしいですわ。私も性格が悪い自覚はありますがきちんと真実を教えてあげましょう。私の隣で静かに食事をしているリオを通して人を見る目を養うのも大事ですわ。呼び方も諫めないといけません。
「リオのほうが意地悪ですわ。リオ様とお呼びしなさい。いずれ婿入りしても、家格が高く、年上のリオには礼儀正しくしなければいけません。せめて義兄様です」
「レティだってリオって」
不満そうな声のイナリアの言いたいことはわかります。私も敬称なしで呼ぶのに違和感があります。リオとは婚約者とはいえ血縁もありません。敬称をつけると拗ねた顔をして不満を訴えるリオの相手が面倒で、いえつい可愛らしくも見えてしまい甘やかしてしまいます。
「リオがしつこいからです。私はずっとマール様とお呼びしたいんですけど」
「レティ、捨てられるよ。お嫁にいけなくなるよ。意地悪な魔女は幸せになれないよ」
幼いのにきちんとわかっていることに感心しました。ふさわしくない振舞いをすれば婚約破棄されることもあるでしょう。ですが私は困りません。いざとなればビアードの騎士にもらってもらいます。ローナが淹れた美味しいお茶で喉を潤します。イナリアの興奮が収まったので手の拘束だけ解除します。
「リオ以外にもお話はたくさんありますわ。リオが嫌になったらいつでも、どうぞって。心配不要です」
「シア、詳しく聞かせて欲しいんだけど」
「内緒ですわ。最近は卒業が近いのでたくさんお誘いいただきます。リオの女遊びの所為ですわ」
静かに食事をしていたリオが驚いた顔をするのでリアナ直伝の悪戯っぽい笑みを浮かべます。リオの女好きの噂は未だになくなりません。女好きの酷い婚約者を持つ私に同情してくださる方も多いです。訂正しようにも常に令嬢に囲まれるリオを見れば不可能なので放置しています。
「お食事が終わるまでは魔法は解きません。きちんと食事なさい。お行儀が悪ければおやつのメニューが変わるのでお楽しみに」
「エイベル、助けて」
潤んだ瞳でエイベルも見ても無駄ですわ。エイベルはマナーを諫めないので頼りになりませんが口を挟むこともしません。
「終わったら遊んでやるよ」
「リオ」
「簡単だろう?」
リオの言う通り求めているのは簡単なことですわ。
「母上、帰ってきて!!悪魔しかいない」
「声を荒げるなんていけませんわ」
叫ぶイナリアはいつになれば覚えてくれるのでしょうか。
「レティが理想のお姉様なんて嘘!!こんなお姉様いや。邪魔!!レティなんて帰ってこなければいい」
イナリアが料理をひっくり返そうとするので魔法で拘束します。興奮したイナリアは私の言葉は一切聞かないので怪我をしないように結界で囲んで放っておくしかありません。私がいなくなれば頭を冷やすでしょう。今日はイナリアと過ごすつもりでしたが予定を変えましょう。
「わかりました。エイベル、ルーン公爵に家庭教師を頼まれ迷っていましたが受けます。不要な姉などいりませんね」
今まではイナリアばかり気に掛けていましたがティアラのための時間も作りましょう。
「レティはいなくていい。もう帰ってこないで!!レティのうちはここじゃないもん」
確かにイナリアの言葉は一理ありますわ。学園に残してきた仕事も多いので帰りましょう。きっとエイベルがイナリアを優しく宥めているでしょう。公爵令嬢として嘆かわしいですわ。たとえどんなに幼くても。クロード様の求めるものを用意したいのに忠臣のビアードが守れないのは避けたいですがどう教育すればいいかわかりませんわ。
「シア?」
部屋に勝手に入ってきたリオは涼しげな笑みを浮かべています。またイナリアを捨てようとされると困ります。「捨てるか」とイナリアを見て呟くリオを宥めるのも面倒ですわ。
「あの子の居場所ですから。口出しはやめてください」
無関係なので余計なことは言わないでくださいとは言えませんね。抱きしめられることに驚きながらも寂しがりやなリオの背中に腕を回します。
「リオ?」
「俺にはシアが必要だ。ここにいらないならマールに一緒に帰ろう。父上達がレティシアを外交官に欲しいって。俺ではなく」
マールに帰りたいなら帰っても構わないんですが。マール公爵夫妻からそんな言葉を聞いたことは一度もありませんわ。
「お戯れを」
「本気だよ。兄上にも引き抜きたいって。臨時外交官も大歓迎だって」
言葉を遮るリオの言葉に笑みがこぼれました。臨時外交官なんて聞いたことはありませんがいつでもお仕事をもらえるのはありがたいですわ。ビアードが財政難になれば頼りにさせていただきたいですがそれは最終手段ですわ。財政難は絶対に回避しないといけません。
「マールの皆様は優しい。ありがたいですが、甘えるわけにはいきません」
「送るよ。帰る前に出かけるか」
今日は様子のおかしいリオと過ごすことにしました。ビアード領で学んでくれているリオにマールに帰っていいですよとは言いにくいです。やる気を削ぐようなことはいけません。
リオと一緒に見上げる空は青く清々しい。イナリアのために疎かにしていたことがいくつも思い浮かびました。
学園に戻るとビアード公爵夫人からイナリアに厳しすぎると諫める文が届いていました。ビアード公爵夫人からの手紙を読んで肩の力が抜けました。いつもイナリアの味方をするビアード公爵夫人。私は自分が間違っているとは思いませんが本物の親子にお任せしましょう。これからはイナリアのための時間はビアード公爵夫人の社交を引き受けましょう。
執事長には魔石や回復薬等魔法に関係するもの以外はイナリアの好きにさせていいと伝えてあります。当分はビアード公爵邸に顔を出すのはやめましょう。ルーン公爵家に家庭教師を引き受ける承諾の手紙を書きました。ビアード公爵の一番の腹心である執事長にビアードの社交は支障のないものは全て私に回すようにとも。ビアード公爵夫人の社交はルーン公爵令嬢や王太子の婚約者よりも楽なものが多いのでイナリアの教育よりも気が楽ですわ。私はクロード様のためにイナリア以外の令嬢の教育を頑張りましょう。やることはたくさんあります。悩んで立ち止まっている暇はありません。
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