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第一話「死んだスライムだけが良いスライムだ」PART2
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一瞬で潰されたスライムの体液と擬態の眼球が少女の顔に飛び散ると、少女の顔も身体もドロドロになる……。
何が起こったのか理解できず呆然と顔に手をやると、粘液が少女の顔から糸のように伸びる。
顔にへばり付いていたスライムの眼球だったモノを手に取り、それが何かを理解したのか、少女の目から光が消え、まるで壊れた人形のように、力なくフラッと崩れ落ちる。
けれど、そんな彼女の身体を怪人は優しく抱き止めると、そっと地面に横たえる。
そして、煩わしそうに両手に付いたスライムの粘液を地面にこすりつけて拭う。
続いて、男は無言でナイフを抜くと店先で飛び跳ねていた二匹のスライムに投げつける。
恐るべき精度でナイフがスライムに刺さるとジュッと言う音を立て凍りついたようにスライムは動きを止める。
続いてスライムの体液が沸騰して、ボコボコと変形すると、ポポーンと言う間抜けな音と共に眼球が飛び出し、スライムは外皮だけを残してペシャリと潰れる。
続いて、男はお年寄りの連れた大型スライムに飛びかかるとスライムに次々とナイフを突き立てる。
これもまた先のスライム達と同じ様に、刺された箇所から噴水のように体液を巻き散らしながら見る間に萎んでいく……腰を抜かしたように座り込んで声にならない悲鳴を上げるお年寄り。
けれど、それは魔物の生態に詳しいものが見れば酷く奇妙な光景だと断じていただろう。
普通に剣で切ろうが殴ろうが、不定形生物のスライムにはさしたる効果はない……。
スライム自体は、外皮と呼ばれる半透明な薄皮に包まれ、粘液状の体組織、コアや細かい神経節を内包した構造をしている。
外皮についても、柔軟性と伸縮性が極めて高く、打撃も全く通用せず、切り裂くことも非常に困難、それに加え高い再生力を持ち、多少切り裂かれても一瞬で修復される……はずなのだが。
この男の薄いナイフの前にはその外皮が容易く切り裂かれ、その上刺された箇所から、体液を沸騰させられ、外皮の修復もできぬまま中身を撒き散らして呆気なく死んでしまうようだった……。
本来スライムは恐ろしく強靭であり、身体の半分を失っても死なない程の不死に近い生命力と、高い戦闘力を持つ凶悪な魔物なのだ……大型種ともなれば、ドラゴン種にも匹敵すると言われるほど……そんな危険生物を愛玩動物同然に扱う昨今の風潮は、魔物研究者などと言わせると、狂気の沙汰以外の何物でもなく、市街地での飼育規制などを行うべきだと言われていた。
いずれにせよ、そんなスライムを容易く葬り去るこの男の武器は並の物ではあり得なかった。
1mmに満たない薄い刃は、切り合いや対人戦は明らかに考慮されておらず、明らかに対スライム用に特化された武器だった。
その薄い刃は、外皮を切り裂くには十分過ぎる鋭さを持っており、小さな溝がいくつも切られているあたり対スライム用の毒物が塗布されているようだった。
……まさにスライムを殺す為の武器! 更にその鎧もバンディッドメイルのような構造をしているのだが、薄い刃が全身の至る所に設置されている……陽炎のように揺らめくのも、その鎧や刃が高熱を発している為だった。
対スライム戦闘用の装備……いや、まさに、この男自体がスライムを殺すための兵器に他ならなかった!
今頃になって、誰かが絹を裂くような悲鳴を上げた。
男の凶行はまだまだ続く……屋根の上にいた野良スライムや軒先に潜む愛玩スライムにナイフを投げつけ、先程のスライム同様呆気なく葬り去る。
やがて、中央広場付近にいた目に付く範囲のスライムをすべて殺し尽くすと、男は辺りを見渡し、今度は群衆に紛れていたハンチングをかぶった髭の男にターゲットを変える……赤い男は髭の男が身構えるより早く疾風の如く勢いで飛びかかったッ!
そして、間髪入れずナイフで切りつける……とっさに髭の男は腕で身体をかばう……無残にも断ち切られ、宙を舞う人の腕をしたモノッ! 当然流れるであろう真っ赤な鮮血……誰もがそう思った!
「ひ、人殺しーっ!」
女の悲鳴が響き渡り、あたりの人々がいよいよパニックを起こす!
けれど、実際に流れ撒き散らされたのは、赤い鮮血ではなく、粘ついた透明な粘液……地面に落ちた男の腕もブチョッと言う粘り気のある音と共にゼリー状の物体に変わっていた。
腕を斬られた髭の男が身を翻して逃げようとする……けれども、赤い男は容赦なくその背中にナイフを突き立て、えぐるように撚るっ!
声にならない悲鳴を上げて、髭の男がもがく……湯気を立てて、男の背中から透明な粘液が吹き出し始める……赤い男にも粘液がかかっているのだけど、ジュウジュウと音を立てて、粘液は蒸発していく。
たまたま風下にいた粘液の蒸気を浴びた若い女性が咳き込み倒れ込む。
スライムの体液は強酸性の毒物なのだ……けれども、シスター服の少女が彼女の元へ駆け寄ると、ペンダントを掲げて、魔術を行使する。
咳き込んでいた女性はピタッと咳こむのを止め、落ち着いた呼吸を取り戻す……病を癒す神の奇跡の行使……それは、シスター服の少女が高位の神官であることを意味していた。
髭の男はぐったりと動かなくなり、その身体がみるまに、液体状のドロドロしたものに変わっていく!
……それを目にした人々は、己が理解を超えた出来事に右往左往するばかりだった。
「……ちっ、さすがにこれだけデカいと、ヒートブレイドで切って刺しただけじゃあ簡単には死なないか……さすがに面倒だ……レイン、こいつを焼いてくれないか?」
男がシスター服の少女に声をかける。
思ったよりも若い少年のような声だった。
「え? わ、わたしがやるんですか! わ、わたし……サトル様のサポートと魔法陣の設置役のはずなんですけど……」
「アンチポイズンが使えるくらいならば、ターンアンデットくらい使えるだろう? 君もいい機会だから、スライムの一匹くらい殺せるようになっておくんだ……やるんだ」
有無を言わさない口調。
レインと呼ばれた少女も弾かれたように背筋を伸ばすと、ペンダントを掲げる。
「は、はいっ! やります! お、大いなる太陽神……我に不浄なるものを焼き尽くす蒼き炎を貸し与え給え……浄化の炎ッ!」
レインがそう呟くと、ペンダントから青い炎が吹き出し元ヒゲ男のスライムはその炎に包まれる。
青い炎に焼かれながらも、あちこちにぶつかりながらもがくのだけど、その火は男の衣服を含め、何かに燃え移る様子はなかった。
もはや、踊り狂う松明のようになったヒゲ男はどんどんその体積を縮めていく……。
対アンデットの浄化魔術……浄化の炎……アンデットや不浄の生物以外には全く効果がないのだが……スライムにも効果があるという事はなぜか意外と知られていない。
「うん、実によく燃えるな……悪しきものを滅する浄化の炎……これで焼かれる時点で神の敵、ひいては人の敵であることは明確って訳だ! これでスライムが善性の魔物とか言われているんだろ? 呆れた話だな」
「……ホントに効くんですね……それにこのスライム……普通の人にしか見えませんでした……サトル様の識別能力は絶対だって聞いてましたけど……話以上ですね……」
「ああ、僕にはひと目でスライムだって分かるからね……他に群衆の後ろの方でこっちを睨んでるやつがいるだろう? あいつと……買い物袋を持って、逃げ出してるデブったおばさん、角からこっちを伺ってる二人組の若いやつ……全部で4匹いるな。他にもう2匹居たけど、一目散に逃げやがった……。ひとまず、次はアイツをやる……向こうもやる気みたいだから、そっちも気をつけろよっ!」
そう言って、サトルと呼ばれた少年は、群衆の後ろの方にいるガッシリとした体つきの中年男性を指差す。
「こ、こいつら! 聖光教会のテロリストだぁ! 皆! 早く取り押さえるんだっ! あいつ、刃物を持ってるぞ!」
突如起こった惨劇を前に、思考停止していた人々がその声に弾かれるように無秩序に動き出す。
取り押さえようと前に出る者……逃げ出そうと背中を向ける者……必然的に大混乱になる。
けれども、サトルは右往左往する人々を縫うように素早く動くと、その声を発した中年男へまっすぐ駆け寄る。
今度はやや大きめの片手剣を抜くと下から上へ、男の股から脳天へバッサリ切り上げる。
先程のヒゲ男同様に血しぶきの代わりに、透明な粘液を撒き散らす男。
その粘液の危険性は、先程目の前で証明されたばかり……刺激臭のする液体がぶち撒けられると、蜘蛛の子を散らすように群衆は逃げ惑い、ポッカリと空間が出来る。
真っ二つに両断された中年男……信じられないことに男はまだ生きていた……目をぎょろりと動かすとニヤリと笑う。
両手を使って、無理やり切断面を合わせると、男は後ろに一歩下がった。
切断面を貼り合わせてしまうと、元通り……のつもりのようだけど、顔が真ん中で互い違いにズレていた。
その事に気づくと、頭の上と顎の下を叩いて、ズレを直すと楽しそうに笑う。
「えらく器用な真似をするな……とっさにコアを中央からずらすとは……下等生物にしては味な真似をやってくれる」
「はっ! ……君ィ、私が普通の人間だったら、即死だったよ? うん、これなら正当防衛が成立するね……殺されても文句言えないナァッ!」
そう言って、その腕を振りかざすとそれは長く伸びて、凄まじい速さでサトルに迫るっ!
サトルは構えた剣を盾にして、その触手のように伸びた腕を受け止める。
相当な勢いでぶつかったらしく、サトルはそのまま吹き飛ばされて、背後の噴水に叩き込まれる!
水飛沫だけでなく盛大な水蒸気が爆発のように広がる! 辺り一面もうもうたる湯気に包まれて、何も見えなくなる……。
何が起こったのか理解できず呆然と顔に手をやると、粘液が少女の顔から糸のように伸びる。
顔にへばり付いていたスライムの眼球だったモノを手に取り、それが何かを理解したのか、少女の目から光が消え、まるで壊れた人形のように、力なくフラッと崩れ落ちる。
けれど、そんな彼女の身体を怪人は優しく抱き止めると、そっと地面に横たえる。
そして、煩わしそうに両手に付いたスライムの粘液を地面にこすりつけて拭う。
続いて、男は無言でナイフを抜くと店先で飛び跳ねていた二匹のスライムに投げつける。
恐るべき精度でナイフがスライムに刺さるとジュッと言う音を立て凍りついたようにスライムは動きを止める。
続いてスライムの体液が沸騰して、ボコボコと変形すると、ポポーンと言う間抜けな音と共に眼球が飛び出し、スライムは外皮だけを残してペシャリと潰れる。
続いて、男はお年寄りの連れた大型スライムに飛びかかるとスライムに次々とナイフを突き立てる。
これもまた先のスライム達と同じ様に、刺された箇所から噴水のように体液を巻き散らしながら見る間に萎んでいく……腰を抜かしたように座り込んで声にならない悲鳴を上げるお年寄り。
けれど、それは魔物の生態に詳しいものが見れば酷く奇妙な光景だと断じていただろう。
普通に剣で切ろうが殴ろうが、不定形生物のスライムにはさしたる効果はない……。
スライム自体は、外皮と呼ばれる半透明な薄皮に包まれ、粘液状の体組織、コアや細かい神経節を内包した構造をしている。
外皮についても、柔軟性と伸縮性が極めて高く、打撃も全く通用せず、切り裂くことも非常に困難、それに加え高い再生力を持ち、多少切り裂かれても一瞬で修復される……はずなのだが。
この男の薄いナイフの前にはその外皮が容易く切り裂かれ、その上刺された箇所から、体液を沸騰させられ、外皮の修復もできぬまま中身を撒き散らして呆気なく死んでしまうようだった……。
本来スライムは恐ろしく強靭であり、身体の半分を失っても死なない程の不死に近い生命力と、高い戦闘力を持つ凶悪な魔物なのだ……大型種ともなれば、ドラゴン種にも匹敵すると言われるほど……そんな危険生物を愛玩動物同然に扱う昨今の風潮は、魔物研究者などと言わせると、狂気の沙汰以外の何物でもなく、市街地での飼育規制などを行うべきだと言われていた。
いずれにせよ、そんなスライムを容易く葬り去るこの男の武器は並の物ではあり得なかった。
1mmに満たない薄い刃は、切り合いや対人戦は明らかに考慮されておらず、明らかに対スライム用に特化された武器だった。
その薄い刃は、外皮を切り裂くには十分過ぎる鋭さを持っており、小さな溝がいくつも切られているあたり対スライム用の毒物が塗布されているようだった。
……まさにスライムを殺す為の武器! 更にその鎧もバンディッドメイルのような構造をしているのだが、薄い刃が全身の至る所に設置されている……陽炎のように揺らめくのも、その鎧や刃が高熱を発している為だった。
対スライム戦闘用の装備……いや、まさに、この男自体がスライムを殺すための兵器に他ならなかった!
今頃になって、誰かが絹を裂くような悲鳴を上げた。
男の凶行はまだまだ続く……屋根の上にいた野良スライムや軒先に潜む愛玩スライムにナイフを投げつけ、先程のスライム同様呆気なく葬り去る。
やがて、中央広場付近にいた目に付く範囲のスライムをすべて殺し尽くすと、男は辺りを見渡し、今度は群衆に紛れていたハンチングをかぶった髭の男にターゲットを変える……赤い男は髭の男が身構えるより早く疾風の如く勢いで飛びかかったッ!
そして、間髪入れずナイフで切りつける……とっさに髭の男は腕で身体をかばう……無残にも断ち切られ、宙を舞う人の腕をしたモノッ! 当然流れるであろう真っ赤な鮮血……誰もがそう思った!
「ひ、人殺しーっ!」
女の悲鳴が響き渡り、あたりの人々がいよいよパニックを起こす!
けれど、実際に流れ撒き散らされたのは、赤い鮮血ではなく、粘ついた透明な粘液……地面に落ちた男の腕もブチョッと言う粘り気のある音と共にゼリー状の物体に変わっていた。
腕を斬られた髭の男が身を翻して逃げようとする……けれども、赤い男は容赦なくその背中にナイフを突き立て、えぐるように撚るっ!
声にならない悲鳴を上げて、髭の男がもがく……湯気を立てて、男の背中から透明な粘液が吹き出し始める……赤い男にも粘液がかかっているのだけど、ジュウジュウと音を立てて、粘液は蒸発していく。
たまたま風下にいた粘液の蒸気を浴びた若い女性が咳き込み倒れ込む。
スライムの体液は強酸性の毒物なのだ……けれども、シスター服の少女が彼女の元へ駆け寄ると、ペンダントを掲げて、魔術を行使する。
咳き込んでいた女性はピタッと咳こむのを止め、落ち着いた呼吸を取り戻す……病を癒す神の奇跡の行使……それは、シスター服の少女が高位の神官であることを意味していた。
髭の男はぐったりと動かなくなり、その身体がみるまに、液体状のドロドロしたものに変わっていく!
……それを目にした人々は、己が理解を超えた出来事に右往左往するばかりだった。
「……ちっ、さすがにこれだけデカいと、ヒートブレイドで切って刺しただけじゃあ簡単には死なないか……さすがに面倒だ……レイン、こいつを焼いてくれないか?」
男がシスター服の少女に声をかける。
思ったよりも若い少年のような声だった。
「え? わ、わたしがやるんですか! わ、わたし……サトル様のサポートと魔法陣の設置役のはずなんですけど……」
「アンチポイズンが使えるくらいならば、ターンアンデットくらい使えるだろう? 君もいい機会だから、スライムの一匹くらい殺せるようになっておくんだ……やるんだ」
有無を言わさない口調。
レインと呼ばれた少女も弾かれたように背筋を伸ばすと、ペンダントを掲げる。
「は、はいっ! やります! お、大いなる太陽神……我に不浄なるものを焼き尽くす蒼き炎を貸し与え給え……浄化の炎ッ!」
レインがそう呟くと、ペンダントから青い炎が吹き出し元ヒゲ男のスライムはその炎に包まれる。
青い炎に焼かれながらも、あちこちにぶつかりながらもがくのだけど、その火は男の衣服を含め、何かに燃え移る様子はなかった。
もはや、踊り狂う松明のようになったヒゲ男はどんどんその体積を縮めていく……。
対アンデットの浄化魔術……浄化の炎……アンデットや不浄の生物以外には全く効果がないのだが……スライムにも効果があるという事はなぜか意外と知られていない。
「うん、実によく燃えるな……悪しきものを滅する浄化の炎……これで焼かれる時点で神の敵、ひいては人の敵であることは明確って訳だ! これでスライムが善性の魔物とか言われているんだろ? 呆れた話だな」
「……ホントに効くんですね……それにこのスライム……普通の人にしか見えませんでした……サトル様の識別能力は絶対だって聞いてましたけど……話以上ですね……」
「ああ、僕にはひと目でスライムだって分かるからね……他に群衆の後ろの方でこっちを睨んでるやつがいるだろう? あいつと……買い物袋を持って、逃げ出してるデブったおばさん、角からこっちを伺ってる二人組の若いやつ……全部で4匹いるな。他にもう2匹居たけど、一目散に逃げやがった……。ひとまず、次はアイツをやる……向こうもやる気みたいだから、そっちも気をつけろよっ!」
そう言って、サトルと呼ばれた少年は、群衆の後ろの方にいるガッシリとした体つきの中年男性を指差す。
「こ、こいつら! 聖光教会のテロリストだぁ! 皆! 早く取り押さえるんだっ! あいつ、刃物を持ってるぞ!」
突如起こった惨劇を前に、思考停止していた人々がその声に弾かれるように無秩序に動き出す。
取り押さえようと前に出る者……逃げ出そうと背中を向ける者……必然的に大混乱になる。
けれども、サトルは右往左往する人々を縫うように素早く動くと、その声を発した中年男へまっすぐ駆け寄る。
今度はやや大きめの片手剣を抜くと下から上へ、男の股から脳天へバッサリ切り上げる。
先程のヒゲ男同様に血しぶきの代わりに、透明な粘液を撒き散らす男。
その粘液の危険性は、先程目の前で証明されたばかり……刺激臭のする液体がぶち撒けられると、蜘蛛の子を散らすように群衆は逃げ惑い、ポッカリと空間が出来る。
真っ二つに両断された中年男……信じられないことに男はまだ生きていた……目をぎょろりと動かすとニヤリと笑う。
両手を使って、無理やり切断面を合わせると、男は後ろに一歩下がった。
切断面を貼り合わせてしまうと、元通り……のつもりのようだけど、顔が真ん中で互い違いにズレていた。
その事に気づくと、頭の上と顎の下を叩いて、ズレを直すと楽しそうに笑う。
「えらく器用な真似をするな……とっさにコアを中央からずらすとは……下等生物にしては味な真似をやってくれる」
「はっ! ……君ィ、私が普通の人間だったら、即死だったよ? うん、これなら正当防衛が成立するね……殺されても文句言えないナァッ!」
そう言って、その腕を振りかざすとそれは長く伸びて、凄まじい速さでサトルに迫るっ!
サトルは構えた剣を盾にして、その触手のように伸びた腕を受け止める。
相当な勢いでぶつかったらしく、サトルはそのまま吹き飛ばされて、背後の噴水に叩き込まれる!
水飛沫だけでなく盛大な水蒸気が爆発のように広がる! 辺り一面もうもうたる湯気に包まれて、何も見えなくなる……。
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