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第五話「迷宮事変」PART1
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エルフの精霊術師……サレナは、冒険者である。
故郷の森を飛び出して、はや3年……色々ありながらも、一端の冒険者と言われるCクラスにまで昇格し、派手な活躍などは無いものの……二人の仲間と共にこのアルレッタの街を拠点に活動している。
冒険者の平均寿命は約一年……そんな風に言われるほどには、冒険者とは危険と隣り合わせの職業だった。
この街に来て、半年ほど経つ……当初六人だったパーティーも色々あって、三人になってしまった。
二人は戦死、一人は移籍……それ故に生き延びた者同士の結束は硬く、信頼感もあるのだけど、さすがに戦力不足は否めない。
可能ならば、三人、せめて二人くらい仲間がいれば、選べる仕事も増えるのだけど。
今のところ、当てはなかったし……ギルドに頼めば、メンバーの都合も付けてくれたりするので、無理に探す必要性もなかった。
何より、最近、付近のダンジョンや近隣の街での冒険者の不審死の噂などを聞く……。
冒険者のふりをして冒険者を狩る謎の存在……冒険者に成り代わるモンスター。
……そんな噂がまことしやかに流れていた。
素性の知れぬ者には近づかない……気心の知れた仲間が一番……そんな風に思ったりもする。
「うーん……どの依頼を受けるべきだと思う? サレナ」
掲示板に貼られている依頼票を見ながら、重剣士のルークが聞いてくる。
まだまだ10代の若造なのだけど……腕は悪くない。
こう見えても100年以上生きているサレナから見れば、若造にすぎないのだけど……サレナもエルフにしては若い方なので、背も低く、容貌も幼い事も相まって、ルークからは何かと年下扱いされていた。
「雑用だの、ゴブリン退治とか、スライム捕獲はパスかな……その辺はFやらEランの初心者に残しておいてあげるのがマナー……ファトリは何か気になるのない?」
引っ込み思案でいつもオドオドしてるファトリにも一応意見を求めてみる。
本来はBランク相当くらいの腕利きなのだけど、性格的に消極的で臆病なのでCランク止まり……絶対損をしてるとサレナは常日頃思っていた。
「えっと……これなんかどうです?」
そう言ってファトリが依頼票の一つを指差す。
『ダンジョン捜索の護衛依頼、当方騎士と神官の二名のみ、Cクラス以上の腕利き求む』
概要としてはそんな内容。
報酬額も金貨10枚とむしろ破格だった……相場と言うものを解ってない依頼人なのかもしれない。
「お、良いじゃん……これ! サレナ! これにしよう! 目的地も「暗闇の迷宮」だってよ……あそこなら、俺達の庭同然じゃないか!」
……神官付きと言うのが少し気になったけど、条件もCクラス以上とこちらはクリアしている……問題なかった。
ルークの方の上に乗ったスライムがキューと言う同意するような鳴き声を上げる。
別にこんなところにまで連れてくる必要もないだろうに……とサレナも舌打ちをしそうになる。
愛玩種といえど、一度スライムによって地上で溺死しかけたサレナにとっては、スライムが近くにいるというのは、あまり落ち着かなかった。
無害と言われてはいるものの、何処にだって入り込み、その気になれば人一人を軽く殺せる始末に置けない魔物なのだ……見慣れた光景と言えど、やはり抵抗があった。
ルークも前はこんな物を連れ歩く趣味はなかったはずなのだけど、彼は3ヶ月ほど前から突如、どこからか拾ってきたスライムに名を付けて、連れ歩くようになった。
ファトリも可愛いとか言ってる始末なので、結局多数決でサレナも折れた……。
「……おう、誰かと思ったらサレナちゃん! まだ生きてたのか?」
隣に来ていたヒゲモジャのドワーフがそう言いながら、サレナのことを覗き込む。
「ゴズロフ! 相変わらず、下品な髭ね……いっそ剃っちゃえばいいのに……少しは女の子にモテるんじゃないの?」
「うっせ、余計なお世話だっての! ところで、この依頼、お前らが受けるのか? 受けないってのなら、俺らがもらうぞ?」
そう言いながら、ゴズロフはサレナ達が受けるかどうか迷っていた依頼票に手をかける。
「だ、駄目っ! これは私達が先に目を付けてたんだからねっ! 皆……これにしましょう!」
迷ってる暇はない……その事がサレナを迷わず突き動かした。
そう言って、依頼票を引っぺがすと顔見知りのギルドの受付嬢の元へ走った。
故郷の森を飛び出して、はや3年……色々ありながらも、一端の冒険者と言われるCクラスにまで昇格し、派手な活躍などは無いものの……二人の仲間と共にこのアルレッタの街を拠点に活動している。
冒険者の平均寿命は約一年……そんな風に言われるほどには、冒険者とは危険と隣り合わせの職業だった。
この街に来て、半年ほど経つ……当初六人だったパーティーも色々あって、三人になってしまった。
二人は戦死、一人は移籍……それ故に生き延びた者同士の結束は硬く、信頼感もあるのだけど、さすがに戦力不足は否めない。
可能ならば、三人、せめて二人くらい仲間がいれば、選べる仕事も増えるのだけど。
今のところ、当てはなかったし……ギルドに頼めば、メンバーの都合も付けてくれたりするので、無理に探す必要性もなかった。
何より、最近、付近のダンジョンや近隣の街での冒険者の不審死の噂などを聞く……。
冒険者のふりをして冒険者を狩る謎の存在……冒険者に成り代わるモンスター。
……そんな噂がまことしやかに流れていた。
素性の知れぬ者には近づかない……気心の知れた仲間が一番……そんな風に思ったりもする。
「うーん……どの依頼を受けるべきだと思う? サレナ」
掲示板に貼られている依頼票を見ながら、重剣士のルークが聞いてくる。
まだまだ10代の若造なのだけど……腕は悪くない。
こう見えても100年以上生きているサレナから見れば、若造にすぎないのだけど……サレナもエルフにしては若い方なので、背も低く、容貌も幼い事も相まって、ルークからは何かと年下扱いされていた。
「雑用だの、ゴブリン退治とか、スライム捕獲はパスかな……その辺はFやらEランの初心者に残しておいてあげるのがマナー……ファトリは何か気になるのない?」
引っ込み思案でいつもオドオドしてるファトリにも一応意見を求めてみる。
本来はBランク相当くらいの腕利きなのだけど、性格的に消極的で臆病なのでCランク止まり……絶対損をしてるとサレナは常日頃思っていた。
「えっと……これなんかどうです?」
そう言ってファトリが依頼票の一つを指差す。
『ダンジョン捜索の護衛依頼、当方騎士と神官の二名のみ、Cクラス以上の腕利き求む』
概要としてはそんな内容。
報酬額も金貨10枚とむしろ破格だった……相場と言うものを解ってない依頼人なのかもしれない。
「お、良いじゃん……これ! サレナ! これにしよう! 目的地も「暗闇の迷宮」だってよ……あそこなら、俺達の庭同然じゃないか!」
……神官付きと言うのが少し気になったけど、条件もCクラス以上とこちらはクリアしている……問題なかった。
ルークの方の上に乗ったスライムがキューと言う同意するような鳴き声を上げる。
別にこんなところにまで連れてくる必要もないだろうに……とサレナも舌打ちをしそうになる。
愛玩種といえど、一度スライムによって地上で溺死しかけたサレナにとっては、スライムが近くにいるというのは、あまり落ち着かなかった。
無害と言われてはいるものの、何処にだって入り込み、その気になれば人一人を軽く殺せる始末に置けない魔物なのだ……見慣れた光景と言えど、やはり抵抗があった。
ルークも前はこんな物を連れ歩く趣味はなかったはずなのだけど、彼は3ヶ月ほど前から突如、どこからか拾ってきたスライムに名を付けて、連れ歩くようになった。
ファトリも可愛いとか言ってる始末なので、結局多数決でサレナも折れた……。
「……おう、誰かと思ったらサレナちゃん! まだ生きてたのか?」
隣に来ていたヒゲモジャのドワーフがそう言いながら、サレナのことを覗き込む。
「ゴズロフ! 相変わらず、下品な髭ね……いっそ剃っちゃえばいいのに……少しは女の子にモテるんじゃないの?」
「うっせ、余計なお世話だっての! ところで、この依頼、お前らが受けるのか? 受けないってのなら、俺らがもらうぞ?」
そう言いながら、ゴズロフはサレナ達が受けるかどうか迷っていた依頼票に手をかける。
「だ、駄目っ! これは私達が先に目を付けてたんだからねっ! 皆……これにしましょう!」
迷ってる暇はない……その事がサレナを迷わず突き動かした。
そう言って、依頼票を引っぺがすと顔見知りのギルドの受付嬢の元へ走った。
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