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第一話「壁の中にいる何か」⑥
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誰? そう思う暇もなく、その気配は一瞬で背後に近づき、次にザワっと……。
――何かが左肩に触れた感触。
誰かが追い越していって、軽く肩に触れていった……そんな感触。
駅のホームなんかで、たまにギリギリの所を後ろから来た奴に、追い抜かれる事ってあるじゃない?
ちょうどあんな感じの感触。
何より、一瞬感じた生ぬるい体温……それは恐ろしくリアルな人の感触だった。
「……うわっ! あ、すみません!」
反射的にそんな言葉が口をついて出た。
感覚的には、後ろから来た誰かが立ち止まってた俺にぶつかっていった……そんな感じだったから。
だから、思わずペコペコしながら、その追い越していった誰かに謝ってしまったのだ。
でも、俺は即座に凍り付く。
俺の左側は10cmほどの距離を空けて、すぐ壁だったのだ。
誰かが無理矢理通れるような隙間もないし、何より左からすり抜けるように、追い抜いていったはずのその誰かは……影も形も無かった。
(いやいやいや! 今の何っ! 誰かが触った……絶対、肩が当たった! でも、こっち壁! 壁っ! 誰もいねぇし!)
もはや、一瞬でパニック状態になって、思考がまとまらない。
極限までテンパった人間ってのは、叫んだり、駆け出したりも出来ない。
ただ固まって、何もできなくなるのだと……理解する。
正面を見ると、高藤が俺の異変に気づいたのか、5mほど前で立ち止まって、怪訝そうな表情を浮かべていた。
もう一回横を見る……やっぱり壁、スレスレと言っても良い。
……気のせい……? 俺、ちょっと疲れてるんだ。
灰峰ねーさんとかに、色々言われて自己暗示にかかったとか?
……そんな風に思い始めた。
でも、今のリアルな感触……と言うか、なんか変じゃなかったか?
押しのけられたような感じだったのに、実際は衝撃もなかったし、押されてもいない……?
強いて言えば、ゆっくりと身体をすり抜けていった……そんな感じだった。
一瞬、どこかで嗅いだ匂いが漂った気がした。
クレゾールとアンモニアの入り混じった匂い……病院の匂い。
廃墟になって10年近いようなところでするはずもない匂いなのだけど、もう一度壁を見た時に、あの匂いがした……全身に鳥肌がブワッと立つのが解る。
「はぅわああああああっ!」
高藤の絶叫で強制的に意識を引き戻される。
見ると、高藤が左腕で、右肩を押さえながら、目を見開いて絶叫していた!
「な、何かが……透明な……何かがっ! 俺の体の右半分をすり抜けていったーっ!」
右? 右? 右って言った? 高藤っ?
何いってんの? 右って言ったよな?
そいや、俺のは左だったよなー。
なら、気のせいだ! 高藤が意味不明の事言うのなんて、いつものことだ!
でも、なんで右なんだよ……俺は左、右って俺と逆だよ! 高藤は右って言った。
なら、関係ない!
そこまで考えて、高藤と俺は向かい合わせだった事に気付く。
高藤から見て右は……もう隙間なんて、数cmでいきなり、壁! 壁! 壁!
それに、俺はまだ、何があったかなんて、高藤には伝えてない。
高藤から見たら、俺は突然キョドったようにしか見えなかっただろう。
……もう、理屈抜きでわかった。
俺の肩に触れた何かは、そのまま真っすぐ壁の中に半分めり込みながら、まっすぐ進んでいって、向かいから来ていた高藤の身体を通り抜けていったのだ。
もちろん、高藤の後ろには誰もいない! 高藤が叫ぶまでの間の数秒間……俺はキョドりながらも周囲を見渡していたのだけど、お互いの間に何も見てない!
何か……何かが……! 俺たちに触れて行ったのだ!
そう、目に見えない得体の知れない何か……。
壁にめり込んだまま、ただひたすらまっすぐに突き進む、目に見えないナニかがっ!
高藤が振り返って逃げようとするので、即座に駆け寄って、腕を掴んで引き止める!
「何すんだっ! 今のは! 今のはっ! なんだったんだよっ! 離せーっ! 離してくれっ!」
「バカ! あれは、向こうに行ったんじゃねぇのかっ! 追いかけてどうするっ! こっち来いっ!」
それだけ言って、そのまま踵を返して、廊下も階段もめちゃくちゃに走って降りる。
高藤もすごい勢いでついてくるのが解った。
「ちょっと待て! 俺をおいていくなっ! いいから待てって!」
「うっせーっ! 早く逃げるぞ! ヤベェ! ヤベェッ! ヤベェッ!」
一階を有無を言わさず駆け抜けて、高藤と押し合いながら、後ろを気にしつつ、入口から揃って、ほうほうの体で抜け出す。
外では、一足早く出ていた灰峰ねーさんが驚いた様子で佇んでいた。
「おかえり……その様子だと、何かあったみたいだね」
「ねーさんっ! 何かいた! 何かいたっ! ナニかいた!」
「ふぉおおおおっ! 見延……人を見捨てて、真っ先に逃げるとか、あんまりだっ!」
「うるせぇ! トチ狂って、アレの方へ行きそうになってたのを、引き止めてやったんだから、それで勘弁しろよな! おい、アレが追いかけてきたりとかしてないよな!」
「知るか! 後ろなんて見てる余裕あると思うか? てか、怖くて後ろ見れねぇっ! 早く逃げようっ!」
「まぁまぁ、二人共、ひとまず落ち着こうか……もう大丈夫だから。外には何も居ないし、なにか来る気配もない……。その様子だと、二人揃って何か見たとか……そんな感じみたいだね。いずれにせよ、深呼吸でもして、気分を落ち着けてから、何があったか話してくれないかな?」
ねーさんの冷静さに助けられる。
テンパった人間を前にすると、人間以外と冷静になれる……ねーさんもそんな様子だった。
とりあえず、もう大丈夫なのが解ると、思考もまとまってくる。
思わず、高藤ともども、地面にへたり込む。
「見延! あれはお前の方から来たみたいだったが……なにかしたのか? と言うか、なんだったんだ……アレは! あんなの俺も初めてだったぞ……!」
「俺は……普通に二階の廊下をウロウロしてただけだよ。そしたら、高藤が来たからさ……。なぁ、そっちから見て、俺、どんな感じだった? 様子おかしくなかった?」
「途中までは普通だったけど、いきなり立ち止まってキョドってたな……。で……何か様子がおかしかったから、そっちへ行こうとしたら、唐突に壁の方に気配だけが湧いて、そのまま俺の身体に重なって、通り過ぎていったんだ……すっげぇ生々しい感触だった! あれは……気配だけの透明な見えない何かが身体をすり抜けていった……そんな感じだった。なんだ! あれはっ! お前、何か見えてたのか?」
「俺は、何も見てない……でも、いきなり背後に人の気配がして、気配だけが俺の肩に触れていったんだ……。俺、壁に向かって何か言ってたろ? あれ、邪魔になってて、ぶつけられたと思って、反射的に謝ってたんだよ……そしたら、もうっ! すぐ壁だったのよ!」
どちらか一人だけで、もう一人は何も感じてなかったら、ここまで動揺はしなかっただろう。
たぶん、今の何? 程度で、気のせいってことにして、終わってただろう。
……実際、俺の思考はそんな感じだった。
正常性バイアスとも言う思考……非日常の出来事に対して、それを否定する人の心理傾向。
けれど、僅かなタイムラグを挟んで、二人が、口裏も合わせずに全く同じ体験をしたと言うこと。
これは、お互いがお互いの体験を事実だと保証したようなものなのだ。
そして、その間も……人が歩く程度の速度なら、ピッタリ合う。
……俺達二人は、言うまでもなく同じ結論にたどり着いていた。
壁に半分めり込みながら歩く、見えない何かが俺達にぶつかっていったのだと。
「とりあえず、もう帰ろう……俺、ここに長居したくない……ははっ、ごめん。誰か手を貸してくれないかな? 腰が抜けた……」
騒ぎを聞きつけたのか、残ってた二人が戻ってくる。
高籐と灰峰ねーさんが二人がかりで手を貸してくれて、俺もやっとの思いで、立ち上がる。
もう一度、相模外科を見上げてみる……さすがに、もう入りたいとかこれっぽっちも思わない。
もはや、長居は無用とばかりに、俺達は無言で駅前へと朝日の中を帰路に着くのだった……。
――何かが左肩に触れた感触。
誰かが追い越していって、軽く肩に触れていった……そんな感触。
駅のホームなんかで、たまにギリギリの所を後ろから来た奴に、追い抜かれる事ってあるじゃない?
ちょうどあんな感じの感触。
何より、一瞬感じた生ぬるい体温……それは恐ろしくリアルな人の感触だった。
「……うわっ! あ、すみません!」
反射的にそんな言葉が口をついて出た。
感覚的には、後ろから来た誰かが立ち止まってた俺にぶつかっていった……そんな感じだったから。
だから、思わずペコペコしながら、その追い越していった誰かに謝ってしまったのだ。
でも、俺は即座に凍り付く。
俺の左側は10cmほどの距離を空けて、すぐ壁だったのだ。
誰かが無理矢理通れるような隙間もないし、何より左からすり抜けるように、追い抜いていったはずのその誰かは……影も形も無かった。
(いやいやいや! 今の何っ! 誰かが触った……絶対、肩が当たった! でも、こっち壁! 壁っ! 誰もいねぇし!)
もはや、一瞬でパニック状態になって、思考がまとまらない。
極限までテンパった人間ってのは、叫んだり、駆け出したりも出来ない。
ただ固まって、何もできなくなるのだと……理解する。
正面を見ると、高藤が俺の異変に気づいたのか、5mほど前で立ち止まって、怪訝そうな表情を浮かべていた。
もう一回横を見る……やっぱり壁、スレスレと言っても良い。
……気のせい……? 俺、ちょっと疲れてるんだ。
灰峰ねーさんとかに、色々言われて自己暗示にかかったとか?
……そんな風に思い始めた。
でも、今のリアルな感触……と言うか、なんか変じゃなかったか?
押しのけられたような感じだったのに、実際は衝撃もなかったし、押されてもいない……?
強いて言えば、ゆっくりと身体をすり抜けていった……そんな感じだった。
一瞬、どこかで嗅いだ匂いが漂った気がした。
クレゾールとアンモニアの入り混じった匂い……病院の匂い。
廃墟になって10年近いようなところでするはずもない匂いなのだけど、もう一度壁を見た時に、あの匂いがした……全身に鳥肌がブワッと立つのが解る。
「はぅわああああああっ!」
高藤の絶叫で強制的に意識を引き戻される。
見ると、高藤が左腕で、右肩を押さえながら、目を見開いて絶叫していた!
「な、何かが……透明な……何かがっ! 俺の体の右半分をすり抜けていったーっ!」
右? 右? 右って言った? 高藤っ?
何いってんの? 右って言ったよな?
そいや、俺のは左だったよなー。
なら、気のせいだ! 高藤が意味不明の事言うのなんて、いつものことだ!
でも、なんで右なんだよ……俺は左、右って俺と逆だよ! 高藤は右って言った。
なら、関係ない!
そこまで考えて、高藤と俺は向かい合わせだった事に気付く。
高藤から見て右は……もう隙間なんて、数cmでいきなり、壁! 壁! 壁!
それに、俺はまだ、何があったかなんて、高藤には伝えてない。
高藤から見たら、俺は突然キョドったようにしか見えなかっただろう。
……もう、理屈抜きでわかった。
俺の肩に触れた何かは、そのまま真っすぐ壁の中に半分めり込みながら、まっすぐ進んでいって、向かいから来ていた高藤の身体を通り抜けていったのだ。
もちろん、高藤の後ろには誰もいない! 高藤が叫ぶまでの間の数秒間……俺はキョドりながらも周囲を見渡していたのだけど、お互いの間に何も見てない!
何か……何かが……! 俺たちに触れて行ったのだ!
そう、目に見えない得体の知れない何か……。
壁にめり込んだまま、ただひたすらまっすぐに突き進む、目に見えないナニかがっ!
高藤が振り返って逃げようとするので、即座に駆け寄って、腕を掴んで引き止める!
「何すんだっ! 今のは! 今のはっ! なんだったんだよっ! 離せーっ! 離してくれっ!」
「バカ! あれは、向こうに行ったんじゃねぇのかっ! 追いかけてどうするっ! こっち来いっ!」
それだけ言って、そのまま踵を返して、廊下も階段もめちゃくちゃに走って降りる。
高藤もすごい勢いでついてくるのが解った。
「ちょっと待て! 俺をおいていくなっ! いいから待てって!」
「うっせーっ! 早く逃げるぞ! ヤベェ! ヤベェッ! ヤベェッ!」
一階を有無を言わさず駆け抜けて、高藤と押し合いながら、後ろを気にしつつ、入口から揃って、ほうほうの体で抜け出す。
外では、一足早く出ていた灰峰ねーさんが驚いた様子で佇んでいた。
「おかえり……その様子だと、何かあったみたいだね」
「ねーさんっ! 何かいた! 何かいたっ! ナニかいた!」
「ふぉおおおおっ! 見延……人を見捨てて、真っ先に逃げるとか、あんまりだっ!」
「うるせぇ! トチ狂って、アレの方へ行きそうになってたのを、引き止めてやったんだから、それで勘弁しろよな! おい、アレが追いかけてきたりとかしてないよな!」
「知るか! 後ろなんて見てる余裕あると思うか? てか、怖くて後ろ見れねぇっ! 早く逃げようっ!」
「まぁまぁ、二人共、ひとまず落ち着こうか……もう大丈夫だから。外には何も居ないし、なにか来る気配もない……。その様子だと、二人揃って何か見たとか……そんな感じみたいだね。いずれにせよ、深呼吸でもして、気分を落ち着けてから、何があったか話してくれないかな?」
ねーさんの冷静さに助けられる。
テンパった人間を前にすると、人間以外と冷静になれる……ねーさんもそんな様子だった。
とりあえず、もう大丈夫なのが解ると、思考もまとまってくる。
思わず、高藤ともども、地面にへたり込む。
「見延! あれはお前の方から来たみたいだったが……なにかしたのか? と言うか、なんだったんだ……アレは! あんなの俺も初めてだったぞ……!」
「俺は……普通に二階の廊下をウロウロしてただけだよ。そしたら、高藤が来たからさ……。なぁ、そっちから見て、俺、どんな感じだった? 様子おかしくなかった?」
「途中までは普通だったけど、いきなり立ち止まってキョドってたな……。で……何か様子がおかしかったから、そっちへ行こうとしたら、唐突に壁の方に気配だけが湧いて、そのまま俺の身体に重なって、通り過ぎていったんだ……すっげぇ生々しい感触だった! あれは……気配だけの透明な見えない何かが身体をすり抜けていった……そんな感じだった。なんだ! あれはっ! お前、何か見えてたのか?」
「俺は、何も見てない……でも、いきなり背後に人の気配がして、気配だけが俺の肩に触れていったんだ……。俺、壁に向かって何か言ってたろ? あれ、邪魔になってて、ぶつけられたと思って、反射的に謝ってたんだよ……そしたら、もうっ! すぐ壁だったのよ!」
どちらか一人だけで、もう一人は何も感じてなかったら、ここまで動揺はしなかっただろう。
たぶん、今の何? 程度で、気のせいってことにして、終わってただろう。
……実際、俺の思考はそんな感じだった。
正常性バイアスとも言う思考……非日常の出来事に対して、それを否定する人の心理傾向。
けれど、僅かなタイムラグを挟んで、二人が、口裏も合わせずに全く同じ体験をしたと言うこと。
これは、お互いがお互いの体験を事実だと保証したようなものなのだ。
そして、その間も……人が歩く程度の速度なら、ピッタリ合う。
……俺達二人は、言うまでもなく同じ結論にたどり着いていた。
壁に半分めり込みながら歩く、見えない何かが俺達にぶつかっていったのだと。
「とりあえず、もう帰ろう……俺、ここに長居したくない……ははっ、ごめん。誰か手を貸してくれないかな? 腰が抜けた……」
騒ぎを聞きつけたのか、残ってた二人が戻ってくる。
高籐と灰峰ねーさんが二人がかりで手を貸してくれて、俺もやっとの思いで、立ち上がる。
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