向日葵のような君へ

Kaito

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第2話

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拓斗は高校に入ってからの友人だ。色黒で女子からは意外とモテる。野球がうまく、僕とよくキャッチボールなんかをしながらとりとめのないことをしゃべりあう親友である。
「達哉、達哉」
授業の休み時間に呼ばれた僕は達哉の嬉しそうな顔に話すことを大体予想した。
「ジャイアンツ、昨日負けたんだよ、やばいよな」
昨夜のプロ野球で大番狂わせがあったらしいが僕はよくわからない。
毎回呼ばれるがプロ野球についてはあまり興味がないのでいつも適当に相槌をうってごまかしている。

拓斗はつかみにくい性格だ。わかっているようでわかっていなくて、わかっていないようでわかっている。
勉強は僕が教えれば教えるほど点数が下がる。僕の教え方がわるいと言われればそれまでだが、僕が教える場合に限らないと最近気づいた。

「達哉君、ちょっといいかな」
担任の嶋津先生が少し曇った顔で僕を呼んだ。

唐突だが、これが全ての悪夢の始まりであるとは思わなかった。
父親が交通事故にあったこと、今すぐ病院に向かいなさいということを早口で言われた。

頭が真っ白になった。僕にとって高校生活とは親から一番離れたくて、一番離れがたい時間であると思う。
その複雑な存在が危ない状態にあるというのだから頭が真っ白になるのも当然だろう。

向かう途中のタクシーの中でふと今日新聞で見た交通事故を思い出した。
妻と子供を暴走車によって一瞬で失った人が記事になっていた。
愛する人を失うというのはどういうことか、考えがつかない。
悲壮、後悔、憎悪。
きっとそういう感情が僕を支配してしまうんだろう。
赤く染まりすぎた夕焼け空が妙に気味悪くて目を閉じた。

病室には父のかたまった体が横たわっていた。
「先生、」
僕は動揺した。混乱した。

間に合うことすらできなかった。

「残念です」

父が急に憎たらしくなり、父の顔を数発思いっきり殴ったが、すぐに止められた。

人の命は想像以上にはかない。
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