エメラルドの空

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再会

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昔はこの森に、ラメルグレイという国名が付いていたらしい。隣国エメラグレイと対立していたとも聞いていたが、そこには数少ない生き物が仲良く暮らし、長い間平和を保ち続けていたそうだ。
しかし今は、ラメルグレイは存在しない。その国に住んでいたことがある生き物も、ほんの僅かしかいないらしい。僕はその僅かには含まれない。ここの国の存在は、この森にいる長老に聞いたのだ。

夜風に揺れる木の葉の音が、僕の耳に届く。月は遥か遠くに浮いていた。確かあの月にも、森の伝説があった気がする。かつてこの森に住んでいた、月を愛した獣の話。足元に咲く黄色の花には、男女の喜劇が眠っている。あの月の周りを優しく囲んでいる星たちも、それぞれの伝説があるのかもしれない。
思い返せば、僕はいろんな話をこの森の住人に聞いた。だが、それは人間の言葉を知っている生き物だけだ。喋ることの出来ない生き物にも、知っている物語がきっとあるはずだ。そう考えると、僕もまだ未熟者だと思う。

「……キウ」

「あ、長老……」

森の中でも一番に目立っている、大きく立派に育った木。そこから、僕の名前を呼ぶ声が心に届く。
彼はこの森に一番長く居る、長老。一見ただの大きな木にしか見えないが、彼は人間の言葉を覚え、口がないくせして、言葉を人間に伝える術を知っている。それも人だけでなく、動物や魔物、植物や精霊とも会話が出来るらしい。音としての声は聞こえないのに、色んな存在と語り合っているのだという。何故そんなことが出来るのかと昔に聞いたことがあるのだが、長い間生きていると不思議な事もあるんだよ、と、なんだか曖昧な回答が来た覚えがある。

「今夜は、夜風が気持ちいいね」

長老は、木の葉の音を鳴らした。この音は嫌いじゃない。ずっと静かに耳をすませて、この風に身を任せてみたい。だが、目を開けて光の元に顔を向ければ、月がそこにある。森を柔らかく照らしてくれる月はとても美しいのだが、見る事はどうも好きになれない。

「キウは、いつも月から目を背けるよね。なんで?」

長老とは何年も一緒にいる為、とても信頼している。しかし、触れてほしくないものも、命あらば誰にだってあるはずだ。あまり軽々しく口にしたくない。長老のように、言葉を相手の心に伝える術を知っていても、だ。

「今夜も綺麗だよ」

聞こえはしないないが、そう優しく囁いてくれる長老の声が届いた。

――今夜も月が綺麗だね、キウ。

僕は、懐かしい声を思い出した。
この耳から聞こえたあの声。僕にとって、一番近いようで遠い存在の、あの人。もう、当分会っていない。最後にあの声を聞いたのは、もうどのくらい前のことなんだろう。

「また、お兄さんのことを考えているの?」

「……まさか」

図星をつかれた。
長老は僕とあの人の秘密を知っている。
僕が月を嫌っている理由は知らないと思うが。

「どこにいるのかも、何をしているのかも……知らないからね」

僕があの人の元から離れ、森に住み始めたのは、六年前。僕がまだ十二の時だ。ここに居るようになる前、僕は家族と一緒に、ここから離れた場所に住んでいた。そこに唯一ある大きな学校に通っていたのだが、クラスメイトとあまり馴染めずにいた。まるで、話を合わせることを学びに行っているかのようだった。そして同じく通っていたあの人の顔も、日を重ねていくにつれて、わかりやすく窮屈そうになっていくのだ。
僕はそんな毎日を放り投げ、森に隠れた。あの人の苦しそうな顔を、笑顔に戻す事も出来ずに。
だから、僕はもうあの人に会わなくてもいいのだ。今どこにいて何をしているのかなんて、知る由もない。
知ってはいけない。知ったとしても、何もする予定などない。
何故なら僕はあの人にとって、何も出来ないから。

「お兄さんの元へ、行く気は無いの?」

「……どうして」

「だって、いつも寂しそうな目をしているから」

「……え」

気づかなかった。僕はそんな目を森の住人達に見せて来たのか。みんなに心配をかけるのは性にあわない。
僕はいつも被っている帽子を、目を隠すように深く被り直した。

「君のお兄さんね、今、エメラグレイという国にいるらしいんだ」

「あそこ、昔は厳しい国だったんだけどね。今じゃあんなにゆるい国だよ。あはは」

大木は、聞いてもいないことを話し出した。
いらない。そんな情報なんて、僕には必要ない。長老のおしゃべりな性格は、一番の悪いところだ。それに、一生その場を離れられない木のくせに、どうしてそんなに国のことを知っているんだ。不思議なことも、大概にしてほしい。疑問ばかりが頭に浮かぶ。
彼はひとつ間を置くと、ゆっくりと僕に話し出した。その内容は、余計に聞きたくなかった情報だった。

「……キウが思ってるよりも、すごくたくさんの人に愛されているよ。今は、そんな平和な国なんだよ。エメラグレイは」

「……何が言いたいのか、よくわからない」

僕はわからないままでいたかった。胸のあたりがざわつく。次の言葉を聞けば、僕は傷ついてしまう。何かが張り裂けてしまいそうだ。

「君は、お兄さんに会いたいんでしょ」

その言葉を受け、胸の奥が抉られるような感覚を覚えた。頭の中がじんわりとする。これは怒りなのか、それとも羞恥なのか。
別に会いたくなんてないし、なんて言葉は口で言えても、心からは言えない。
一度素直なことを言えば、本当は会って、逃げてしまったことを真正面から謝りたい。そうすればきっと、この心に残っている何かが消えて、素直に森の仲間たちとのんびり過ごすことが出来るはずと考えていたのだ。そうだ、決して、寂しいからとかでは無い。

僕は幹に向かって睨み、森の仲間たちの家へと駆け出した。
家というのも、動物がそばにあるもので造ったような、雨風を一応防げる程度の簡単なものだ。僕が今向かっているのは、長老よりは細めの、喋らない大木。その幹には大人が普通に入れる程の樹洞があり、僕はそこで手乗りサイズの小動物たちと暮らしている。

「あらおかえり」
「おかえり!」
「……」

「ただいま」

マフラーを巻いているような首周りの毛に、小さな頭にちょこんと可愛らしく乗った耳。短い手足に見合わない三本の長い尻尾。彼らには魔法使いのお供だった祖先が居るため、人間の言葉が喋れるらしい。まだ産まれたばかりで、あまり喋れていない子もいる。

幹の内側に作った小さな階段からトントンと軽い音をさせ、一匹が降りてくる。三匹のうちの一番年上でしっかり者の子は、いつも背中にランプを背負っている。背負うと言っても、腕は短いため、尻尾で支えている形になる。
森の住民たちに「テテ」と呼ばれている彼女は、部屋の中心に置かれたテーブルの上に飛び乗ると、巻き付けていた尻尾を緩め、ランプを置いた。

「遅いと思えば……何? 帰って早々どこに行くのよ」

僕が鞄を掛けてある場所に向かっただけなのだが、何も言っていないにもかかわらず、出掛けることが見破られてしまった。
テテの言葉に続き、まだ言葉がうまく話せない二匹も、声で何かを伝えようとしている。

「えぇ……まぁ、その、隣国にちょっと用事が」

「せっかく無事に帰って来れたんだから。紅茶でも飲んでから行きなさいよね」

それもそうかと思い、僕は彼女の言うことに従って椅子に座る。ちなみにこの椅子とテーブルは、僕がついこの前自分で木を選んで、家具にした物だ。我ながら、上出来だと思う。
すると、先程のテテが貰い物のコップを持ってきた。コップの中身は、ゆらゆらとランプの光を照り返している。

「この子たちが作ってくれたのよ。月光の花をわざわざ探しに行ってたんだから」

「へえ、頑張ったね。ありがとう」

月光の花、というのは、この森ではかなり知られている植物だ。月の出ている頃にしか花を咲かせず、また、月の光を受けて成長する花なので、この名前が付けられている。
見た目も、暗い夜の森をほんのりと照らす白色の美しい花で、その葉で作られた紅茶の香りもまた素晴らしい物だ。
一口飲めば疲れが取れ、いつもよりぐっすりと就寝出来ると言われている。しかし、滅多に採取出来る物でも無く、エメラグレイでは高く買い取ってくれる店が何軒もあるので、自然に生えている物を見つけた人の大体は、紅茶にすることが無い。

帰ってすぐに出かけてしまうような、こんな僕のために、頑張って作ってくれる。しみじみと感動しながら、甘い香りのする紅茶を飲み干した。

向こうで早く事を済ませて、森に囲まれたこの日常へと戻るためだ。
僕は森の家族たちに手を振って、家を後にし、足早に向かっていった。
近いようで遠いような、あの人の元へ。




実際の距離も、近いようで遠いようなものだった。

隣にある国なので、森を抜けるとすぐにエメラグレイの兵士たちに会えた。
彼らは夜の安全を確認しつつも、夜空に浮かぶ月をのんびり見ていたり、無防備にもあくびをしていたり、ほんのり光る夜行性の蝶を追いかけていたりした。もはや平和を守ると言うよりかは、兵士たちそのものが平和を象徴している様にさえ思える。逆にこちらが兵士たちを守りたくなる……のは言い過ぎかもしれないが。

「あ、へへ、どうもぉ。こんばんは。我が国エメラグレイへようこそ」

やはり、長老の言っていた「ゆるい国」ということは本当のことのようだ。
平和で、余計な心配がいらないという事は、とても良い状態だと思う。しかし、兵士たちがここまでのんびりしていたら危険なのではないのか。もし、僕がエメラグレイに罪を犯す為に訪れたとしたら、この笑顔で歓迎してくれている兵士は、僕のことを止められるのだろうか。

だんだん心配になって来たので、僕は眠たそうに笑顔を見せている兵士に聞いてみた。
すると彼は、少し照れたように答えてくれた。

「あはは、長年やってると、善人と悪人も見分けられるようになるんですよ」

思ったよりも、経験から生まれる職人技を行使しているようだ。
頭部の兜で顔は確認できないが、声が若かったので少し驚いた。老若どちらにせよ、尊敬する。

するとその矢先、向こうに生えた木の幹から、染み出るようにして現れた黒い物体が、木の近くに立っていた一人の兵士に襲いかかった。先程、蝶を追いかけていた兵士だ。
真っ先に彼を助けようと思ったのだが、その心配は必要なかった。

辺りに、黒い液体が飛び散っていく。月の光に照らされ、液体は元から無かったかのように、すぐに蒸発していった。返り血のように液体を浴びた兵士は、木陰から出てくると同時に、黒くなった剣を布で丁寧に拭いていた。そして僕の方をみて、ペコリと丁寧に会釈をした。

感心した。この国の兵士はなかなか知識を持っている。
先程の黒い物体は、僕の住んでいる森によく現れる、命ある物を襲って呑み込んでしまう悪物だ。ちなみに、奴の名前を探して、どんなに書物を漁ったとしても、見つかりはしないだろう。
奴は、命を失った生き物の恨みや怒り、悲しみなどを糧にし、大きく成長する。遙か昔、大切な家族を無くしてしまったある魔法使いが、魔法で無理矢理呼び戻そうとしたが失敗に終わり、誰からも望まれずに生まれてしまった魔物なのだそう。

そんな闇の塊から逃れるには、変に同情せず、瞬時に衝撃を与え、ばらばらの水滴にする必要がある。それから、その水滴に何かしらの光を浴びせる。すると蒸発していくように消滅する。兵士は、きちんと正しい方法で奴の対応をしていた。これは知識からによる判断であって、咄嗟に出来る事ではないはずだ。

「あら、あなた、その帽子についている耳の形って……」

エメラグレイの平和に納得が出来て安心していると、先程の、黒い液体を浴びた兵士がこちらに向かい、話しかけてきた。声の高さからして、女性のようだった。恐がりもせずに、勇ましく剣を振るっていた兵士がまさか、こんなに可愛らしい声をしていたとは。

「私、知ってるわ! 最近出来たあのお菓子屋さんの、イケメン店主くんの耳と同じじゃない!」

鉄で覆われた硬い両手で僕の手を掴み、カシャカシャと鎧の音を立てながらジャンプをしてそう言った。兜の中からは、女の子のはしゃいだ瞳がちらりと見えた。頑丈そうな鎧の中にいるのは、端麗な男に好意を示すような、立派な少女であった。

そう。彼女の言う、この、耳付き帽子。
可愛らしい見た目のこの帽子。
どこにでも売っているような代物ではない。

これは、僕の兄を指す、唯一の物だ。

「そのお菓子屋さんって……どこにあるんですか?」

「大通り沿いの、商店街にあるんですよ。私が案内しましょうか」

「お願いします」

兵士は興味深そうに、僕の帽子を定期的に伺いつつも、商店街へと向かう足を進めた。
靴が石畳の地を踏み始めた頃には、外はもう大分明るくなっていた。エメラグレイに住んで居るであろう平和な住民たちも、ちらほらと家から出てきては、早朝の空気を楽しんでいた。
日の出前のエメラグレイは、思ったよりも、涼しくて爽やかだ。気分が良く、自然と足も軽くなっていく。

もうすぐだ。もうすぐ、会える。

僕の姿を見たら、兄はどんな顔をするだろうか。六年という歳月を経て、僕もあの人も子供ではなくなった。
あれから六年……そうか。あの人はもう、今年で二十一になるのか。
なんだか、大人になった姿が容易に想像できない。
流石に、性格は変わらないよな。僕にとってあの人は、優しかった印象が強い。ただ、親の前では少し不機嫌になっていた気がする。今はどうなのだろう。
僕が以前と比べて変わった事と言えば、強くなった事、だろうか。
力はもちろんそうだし、弱虫で怖がりだった自分も、今はもう居ない。
あの人もきっと、強くなっているだろう。そうでなきゃ、困る。

僕たち兄弟は、揃って、かくれんぼをして生きていた。僕は、一緒に逃げてきた兄さえも鬼と見なして、森へ隠れた。
……兄はまだ、かくれんぼを続けているのだろうか。

いや、しかし。

今、前を歩いている兵士が言っていたように、お菓子屋さんの店主をしている人は、正しく僕の兄だ。
人がたくさん来るような所で働いているなんて、そんな、身を危険に晒す様なことはしないはず。
一体、どうして……。

「きゃっ、すごい! あの店主くん、起きるの早いのね!」

悶々と考え込みながら歩いていると、いきなり兵士が立ち止まった。少しぶつかりそうになり、軽くよろける。
どうやら、目的地の側までたどり着けたようだ。
彼女は「彼が店主くんよ」と、一人の男性を指した。それから、少しだけ名残惜しそうに仕事場に戻っていった。


夜風……いや、朝風が、植木の葉を揺らす。
男性の立っている場所は少し遠かったが、それでも不思議と、見ただけで、彼の正体に確信が持てた。

あれは間違いなく、僕の兄だ。

近くにある建物や植木と見比べてみると、とても背が高くなっている事がわかった。
さらに彼は、シルクハットを軽く被り、綺麗に仕立てられたシンプルで洒落たスーツを着ていた。
容姿は、記憶の中の兄とは変わった部分が多いが、立ち姿はやはり、変わっていないように思える。

彼の後ろ側から、太陽が昇っていく。反対側の空に浮くのは、月。

彼は月のある方に体を向けた。
目を見開く。僕のことを見つけてしまったみたいだ。

「え……キウ……?」

あぁ、兄ちゃん。久しぶりだね。元気だった?

「本当にキウ、なのかい……?」

そうだよ。僕たち、体つきが大分変わっちゃったよね。
話したいことがたくさんあるんだ。
月光の花って知ってる?
森のこと、皆にたくさん教わったんだよ……

兄が目の前に来て、僕の頬に人差し指を添えた。
彼の指に乗っていたのは、温かい水。

「あれ……?」

泣き顔を見せるつもりは無かったのだが、何故か、どうしようもなく、目の奥が熱くなった。
それと同時に、身体全体から、僕とは別の熱を感じた。昔よりも力強くなった腕。変わらない懐かしい香りが、昔の記憶を蘇らせた。

「会いたかった。ずっと、君に」

「ごめん……」

低くなった懐かしい声に、僕は震えた声でそう伝えた。



「ねえ、キウ、その帽子……まだ、被ってくれているんだね」

兄は自分の店のキッチンで、紅茶を淹れながら、背中でそう言った。スーツの中から出ている森の魔獣と同じ形の尻尾が、ゆらゆらとうごめく。
その度に、僕の胸の中はざわめいていた。意味もなく、人目が無いか確認してしまう。

僕はわからなかった。何故彼が、自分の本当の姿を、人に見せることが出来るのか。
そんな事をしてしまったら……どんな罰があったのかはもう忘れてしまったが、良くないという事だけは、色濃く記憶に残っている。

居ても立ってもいられなくなり、意を決して自分から聞こうとすると、なんと彼の方から話し出した。

「驚いているでしょ。ふふ、僕も、正直……自分でも驚いているよ」

彼はこちらを向いて笑顔を見せた。人に慣れたような愛想笑いだった。一瞬だけ、別人のように思えてしまった。
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