メティス・ラヴァルの冒険書

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学生編

41話 野営訓練8

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41話 野営訓練8

野営地に戻ってくると、殆どの生徒が戻ってきていて、ゆっくりとした時間が流れていた。
引率者用のテント近くに行くと、外で担任の先生が書類仕事をしていた。
私達が近付くとこっちに気がつき顔を上げて
「おや、三人とも今帰っきたのか?」

「はいっ!今帰ってきましたっ!先生、今お時間大丈夫ですかっ?」
いつもは、単なる根明で敬語なんて知らなさそうなのに、こういう時はしっかりと敬語を使えるネアカ君って、元は真面目なんだろうな!って思う。
人見知りしないようにキャラでも作ってるのかな?いや、キャラであんなり明るかったら、怖いよね。親の教員方針だったのかな?

「はい、大丈夫ですよ。」

「ロックタートルを三人で倒したのですがっ!解体の方法が分からないのでっ!教えていただけないかと思いますっ!」

「ロックタートルを三人で!それは素晴らしい。わかりました。では、明日朝一から取り掛かろう。」

「ありがとうございますっ!」

「ところで、今日は食用の肉は?」

「今日はないんですよーごめんなさい。」

「おや、今日はロックタートル以外何も狩らなかったのか?」

「いや、狩ったんですけど、毒殺みたいなもので、お肉は食べれないんですよ。」

「そうですか、、、ロックタートルはどうやって倒したんだ?」

「ロックタートルは毒と失血ですよ。」

「面白そうだな、詳しく聞かせてもらおうか。」


その後、先生に討伐方法を話したら、毒殺作戦は大きなモンスターを倒す時によくある戦法らしく、それを思いついてその場で実践できたのは素晴らしいって褒められたよ。本来は事前に準備して持って行くものらしい。
毒以外に、落とし穴、痺れ罠、閃光弾、音弾を使ったりするみたい。

アルマジロドラゴンの卵の話になったら、暖める必要はないけど、温度が安定している方がいいからという事になって、アルマジロドラゴンの皮で温度を一定にする魔道具を作ってくれた。
私も欲しくなって、作ってもらった。
お代はアルマジロドラゴンの皮二枚
ちなみに全部お腹側だよ。



~~~~~
野営訓練三日目

昨日、口では大丈夫だよーって言ってたけど、朝一に拠点を出てロックタートルを放置した現場について、昨日の状態から何も変わってなくて安心した。やっぱりちょっと不安はあったからね。

「立派なロックタートルですね。
では、解体をはじめよう。
刃物を入れる位置は、側面の前脚と後ろ足の間、背中部分との繋ぎ目を、、、、」

硬い生物も全身が硬いと動く時に無理が出るから、どうしても柔らかい部分がができて、それが解体の時の起点になるんだって。
さらに言うと、それを戦闘中に見極めて、その繋ぎ目を攻撃すればダメージが通りやすくなるらしい。
そう言われてよく観察すると、確かに背中とお腹の繋ぎ目に少し緩んだ場所があって、そこをやや内向きに刃を入れて行くと、綺麗に切れていく。
けど、コレを戦闘中に見つけるなんて、無理でしょ。慣れればなんとなくわかるって言うけど、、、必要なのは観察力と経験らしい。


「切り離したはいいけど。甲羅が持ち上がらないじゃん。」

「ちょっと待ってね、多分父さんから借りたマジックバックなら入ると思うよ。とりあえず預かっておくね。」

「でたっ!流石モンモランシさんっ!容量の拡張にも成功したんだなっ!」

「あ、うーん。多分ね。ギリギリ入ったよ。けど、まだ企業秘密らしいから、言ったらダメだよ。」
マジックバックはワザと容量を大きくしないようにして、戦争に使えないようにしているらしいから、あまりこの事広めちゃダメだよね。

「もちろんっ!そこは任せとけっ!」

「ファムちゃんもよ。」

「うん。もちろん、あのイケメンに嫌われたくないから言わない。」

「せんせぇも、、、」

「分かっている。マルゴ商店を敵に回したくはないからな。」

「ありがとうございます。」

「甲羅の解体も教えてやりたいが、なんせ道具がない。武器で無理矢理という方法もあるが、君達の武器じゃ強度が足りなくて壊れる可能性がある。ここは素直に持って帰ってギルドでやってもらいなさい。」

「は~い。」

「よし、じゃあ中身は、、、グロいんですけど。」

「ロックタートルの内臓は色んな回復薬系に使えるんだが、今回は毒に侵されてるから無しだな。魔核は大丈夫だから、取っておきなさい。」

「俺いってきますっ!」
躊躇なくロックタートルの内臓の海に飛び込むネアカ君、、、いや、あの、毒まみれだよそこ、、、まぁなんとかなるか。先生も止めてないし。

「あ!先生、尻尾はどうですか?魔鞭を作る時に、魔法が使えるモンスターの尻尾か翼が素材になるって言われたんですけど、、、」

「魔鞭用か。風魔法が使えて尻尾があるからいけそうと思うかもしれないけど、残念ながら適さないな。
人間から見たら立派な尻尾だが、本人からしたら短くて、大切なのはその生物にとっての長さの比率。魔鞭用なら基本、、、、、まぁ、長くなってしまうから、説明は別の機会にしよう。簡単に言うと比率が悪くて魔鞭には向かない。」

「そうなんだ~残念。」

「アルマジロドラゴンに魔法を使う変異種がいれば良かったんだが、、、いたか?」

「見てる限りいなかったです。」

「なら、今回は諦めなさい。
さ、次は爪だ。爪は武器に使えるからな。
一本で短刀分、五本で剣分になるから、武器を新調するのもいいぞ。
武器や防具を買ってモンスターと対峙する。
素材を集めて更に強いモンスターと対峙する。
上位のモンスターになる程攻撃が苛烈になるし、防御力も耐久力も上がる。
勝てないと思ったら、策に走るのもいいけど、装備を見直すのも大切だぞ!」

「はい。わかりました。」

「まぁ、実際は値段は上がるが、店売りの装備を買うという方法もあるがな。」

ロックタートルを解体して
・甲羅
・爪 十六本
・魔核
が手に入った。
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